第14回:アルキメデス

 今回は、自らが「アキルメデスフェチ」と認める、中村亨センセが講師を務める「たけしのコマネチ大学数学科」の第14回。

Ex_1401  問題は、「立方体の各面に垂直な方向に正四角柱の穴をあけた立体をA、B、Cの3点を通る平面で切ったとき、切り口に現れる図形を描きなさい。ただし、各穴の正方形の一辺は立方体の一辺の1/3とする」

 解答図も「Shade」で描こうと思ったが(完全に「エクセル」は忘れ去られている)、老人性痴呆症のため、断念。降参です。

 んで、この図形を見て、数年前、朝日新聞の1面を飾った記事を思い出した。それは「エネルギーの空中採取可能? 電磁波を蓄える夢の宝箱開発」という記事。

 なにぶん、昔の記事なので「asahi.com」には、データが残っていない。ネットで調べてみると、「おもしろ実験室《フジカット有限会社》」に記事の全文が残されていた(表示されるページの下のほう)。

Ex_1402  記事を要約すると、フラクタルな穴のあいた立方体に電磁波を投射すると、投射をやめたあとも電磁波が1000万分の1秒ほど、内部に留まるというもの。名づけて「フォトニックフラクタル」。これが、どんなにスゴイことかというと、朝日新聞の見出しにあるように、空中からエネルギーを採取できるということ。携帯電話の充電は必要なくなるし、光だって無数のフラクタルな穴に閉じ込め、必要なときに取り出すことができる(電気を蓄える「電池」ならぬ「光池」)。と、今世紀最大の発見と、朝日新聞の1面で大々的に紹介されたのだ。

 ところが、この世紀の大発見、ネットで調べてみても、その後、どうなったのかよくわからない。地道な基礎研究が進んでいるのかも知れないが、どなたか、ご存知なら教えてほしい。

Ex_1403  「フラクタル」といえば、「コッホ曲線」や「シルピンスキーのギャスケット」が有名だが、それを立方体にしたのが、「フォトニックフラクタル」だ。フラクタル図形は、細部を取り出したときにも全体の図形と相似しているのが特徴。究極の姿を考えると、2次元なのに面積がない、立方体なのに体積がないというようなおかしなことになる。次元数を考えると、とても中途半端な次元になる、不思議な図形なのだ。朝日新聞の記事を読んでも「フォトニックフラクタル」がどのように作用しているかは、依然不明でよくわからない。ひょとして、中途半端な次元に電磁波や光が吸い込まれちゃうのかぁ~と思いたくなる。

 「シルピンスキーのギャスケット」を正方形にすると、なんとなく、「曼荼羅」に似ているよね。イリア・プリゴジンは、「散逸構造」でノーベル賞を受賞した物理化学者だけど、最先端科学と東洋思想との類似性にも言及しているんだよね。この辺の話を膨らませると、竹内薫センセの「夜の物理学」という本にも言及したくなっちゃうけど、それは、またの機会に……。

 じつは、私、一時期、複雑系などの「ニューサイエンス」に凝っていたときがあって、フリーになって間もなく「日経BPデジタル大事典」に「複雑系」の記事を書いたことがある。興味のある方は「ガスコン研究所(本館)」の「複雑系の話」を見てね。

第13回:ソファー問題

 去年の12月に購入したばかりのパソコン(Windows XP)が壊れた。リカバリーもできないことから、ハードウェアのどこかが壊れた可能性がある。こうなるとお手上げだ。使用期間、半年ちょっとで、なんで壊れるのかなーと、かなりヘコんだ状態で「たけしのコマネチ大学数学科」を見る。

Ex_1301  まずは例題「図のような直角に曲がった幅1mの通路で運ぶことのできる長方形のソファーの最大面積を答えなさい」

 コマ大数学研究会の面々が体を張って出した答えが「0.98」平方メートル。そこへマス北野が「1m×1mの正方形でも、それより大きい」と、するどい突っ込みが入った。

Ex_1302_2  これに対してコマ大数学研究会の面々は、「1平方メートルまではいきませんよね」と、竹内薫センセに助けを求めるが、「数学的には入るということで…」と薫センセも困惑ぎみだ。「引越し屋さん的には、そうはいきません」ダンカンの言うとおり、現実的には、1mの通路に1mの幅のソファーを通せと言われても、引越し屋としてはコマってしまうだろう。必ず「余裕」、「遊び」が必要だ。

Ex_1303_1  それはともかく、長方形の場合も、面積は1平方メートルになるとのこと。

 さて、これを踏まえ、今回の問題は「この1m幅の通路を通ることのできる最大のソファーの形は?」

Ex_1304  東大生の解答は、円を半分にした形。面積は「Π/2」で約1.57平方メートル。マス北野は、角を曲がりやすくするため、ヘコみを入れると、さらに面積の大きなソファーを通すことができることまで気が付いたが、具体的な形、最大面積までは出すことができなかった。結論から言うと受話器のような「ハマースレー型」になるらしい。

Ex_1305  数学的なことはともかく、このヘンテコな形をしたソファーが1m幅の直角の通路をすり抜ける様を見せられたら納得するしかない。さらに「ハマースレー型」の角を少し丸めた「ガーバー型」もあるらしい。

Ex_1306  通路の壁に沿って90度回転する「ハマースレー型」のソファーを見て、マス北野は「ロータリーエンジンみたいな動き」と称したが、興味のある人は、Wikipedia「ルーローの三角形」と「式から求めるトロコイド曲線 ~オニギリ・ジョーPresents~」のサイトが参考になるかも。もっとも、数式の部分は、私には難しすぎて理解しようという気にもなれず、ビジュアルを眺めただけだが……。

 ところで、竹内薫センセの「ビジュアル式 数学嫌いが治る本」を読んだ。副題に「絵で考えると、面白いほどわかる」とある。この本は、「ルーレットとモンテカルロ法」(確率入門)から始まり、「サイン・コサイン・タンジェント」(三角関数)や「微かに分けたり積み重ねたり」(微分積分入門)といった章に分かれていて、「数学オチこぼれ」の私にもわかりやすいように、難しい数式よりもビジュアルを多用して説明してくれている。「なるほど、そうだったのか」と唸りながら読み進めた。途中「コマネチ大学数学科」の第5回「ケプラー予想」の問題も登場する。

 で、この本には、じつは大きな野望が秘められている。それは、「数学嫌い」を治すだけでなく、最終的に、今、株価分析などで話題を呼んでいる「ブラック・ショールズ方程式」を理解させるところまで、私たちを連れて行こうという無謀とも言える試みだ。モンテカルロ法も三角関数も微分積分も、そのための伏線、一歩ずつ登る階段なのだ。

 「数学オチこぼれ」の私にとって「微分積分」は難関中の難関。よく「微分はグラフの傾き」、積分は「グラフの面積」を求めると書かれているが、意味としてはわかるのだが、いまいち感覚的に「わかった!」とは、言い難かった。本書は「文科系ビジネスマン?」を対象にしているので、微分は「売上」の「前年度比」と説明している。もちろん「前月比」、「前日比」と微分していくことが可能だ。一方、積分は「前日比」、「前月比」を積み上げていくと「総売上」になるという説明をしている。「なるほど~」とわかった気になる。

 ビジュアル的に解釈すれば、デジカメ写真をどんどん拡大(ズームイン)していけば、ドットのギザギザが見えてくる。これが「微分」で、逆にズームアウトしていけば、滑らかに見える。これが積分だ。

 たとえば、第10回の「トイレットペーパー」でトイレットペーパーに切り込みを入れ、それを展開して台形にすることで、その断面積を求め、トイレットペーパーの厚みや巻き数を求める問題だって、細かく見ると、トイレットペーパーの厚み分の段差(ギザギザ)があるはず。そこには微分積分という考え方が入っているはず(間違っていませんよね?>竹内薫センセ)。

 本書で竹内薫センセは、とりあえず「紙と鉛筆を使って計算してみる」ということを力説している。難しい数式を「難しい」とあきらめて、何もしなかったら、何も生まれず、何も理解を得られない。

 私は本書を読み通した(つまり眺めた)だけで、まだ何も実践をしていないので大きいことは言えない。でも、いつか「エクセル」で「ブラック・ショールズ方程式」を使って株価分析に挑戦してみたいと思う。そのとき、あらためて、本書を再度、紹介したい。

 最後に本書を読んで、「へぇ~そうなのか!」と驚いたこと。それは「勾配」に関すること。よく道路や鉄道で勾配率を表す「5%」といった標識があるよね。この「勾配率」なんだけど、じつは角度「45度」を勾配「100%」と表記するのを知った。tan(45度)=1、=100%だからだ。

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 で、本書の受け売りだが「勾配率100%は45度、では勾配率10%は、角度に変換すると何度か?」という問題。勾配率100%が45度だから、その1/10で「4.5度」という答えは、性急すぎて竹内薫センセの「思うツボ」にはまってしまう。要は「tan(?)が「0.1」になればいいはずだ。「エクセル」を使って、結果から逆計算してみよう。

Ex_1308

 tan(45度)が「1」、つまり「100%」になる。エクセルでは、引数の角度はラジアン値で指定するので、セルC2は「=radians(45)」として、ラジアン値を求める。セルD2は「=tan(C2)」とする。すると「1」になるわけ。
勾配が「1/10」になるということは「tan(ラジアン値)」が「0.1」になるということなので、このときのラジアン値を求めるには、タンジェントの逆数、アークタンジェント「=ATAN(D3)」とする。さらに、このラジアン値を角度に変換するには「=DEGREES(C3)」で、結果は「4.5度」ではなく、約「5.71度」になる。

 というわけで、Windows XP(Office 2003)が壊れてしまったので、普段、あまり使っていないWindows 2000(Office 2000)で作成した……;;

数学嫌いが治る本
ビジュアル式 数学嫌いが治る本

著者:竹内 薫
販売元:インデックスコミュニケーションズ


第12回:1000

 いつものように「たけしのコマネチ大学数学科」の番組が始まる頃は、すっかり酔っ払って「へべれけ」になっていた。その日のTBS「日本語王」という番組で「へべれけ」の語源はギリシャ語の「ヘーベーエリュエケ」で「ヘーベーのお酌」という意味だと、学者の人(名前忘れた)が言っていた。手元に「トリビアの泉」のボタンがあったら「へえ~へぇ~へぇ~」と12回くらい押していただろう。ところが「日本語王」に異議を唱えているのが「豆知識王」だ。

 「へべれけ」論議はともかく、今回の問題は「1~1000の数字が振られている1000個の電球がある。すべてOFFの状態の始めて、1の倍数、2の倍数、3の倍数……1000の倍数まで該当する電球のON、OFFを切り替えていくと最後に点灯している電球は何個か?」

Ex_1201

とりあえず、1~10の電球で試してみると「10」までいったとき、点灯しているのは「1」、「4」、「9」番の電球ということになる。

これは、たとえば「6」の約数を考えると「1、2、3、6」で、約数の数が偶数のときは、ON、OFF、ON、OFFときて「OFF」で終わっちゃう。「9」の約数「1、3、9」のように約数の数が奇数の場合のみON、OFF、ONで「ON」で終わる。つまり電球が点灯したままになる。

で、約数の数が奇数になる状態というのは「4=2×2」や「9=3×3」のように、約数で割った答えが約数と同じ数、つまり平方になっている場合だ。

いつも体を張って難問に挑む「コマ大数学研究会」の面々だが、今回は「米粒」に1~1000までの数字を書き、ON、OFFの代わりにひっくり返していくという手法をとった。番組内では「コマ大」ならぬ「コメ大」だと揶揄されていたが、論より証拠、実証が大事だ……「米百俵」という言葉があるが、今回は「米千粒」の心意気だ。

Ex_1202_1

私も「エクセル」で検証。セルA1に「1」と入力。「編集」メニューの「フィル」から「連続データの作成」をクリック。範囲に「列」を選び、停止値を「1000」にして「OK」ボタンをクリック。

Ex_1203Ex_1204_1  セルB1に「=SQRT(A1)」と入力(SQRTは平方根を求める関数)。セル枠の右下隅にカーソルを合わせると「+」マークになるので、ダブルクリックする。 「エクセル」は、一瞬で1~1000までの平方根を表示する。で、このうち解が整数になっている数を数えればよい。

Ex_1205Ex_1206  条件付き書式で整数の場合と、そうでない場合を色分けしてみよう。「MOD」は、割り算の余りを求める関数。数値を「1」で割って、余りが出なければ「整数」ということになる。

Ex_1207 というわけで「コメ大数学研究会」と同レベルだが「31個」という正解にたどりついた。めでたし、めでたし。

第11回:アインシュタインに挑戦

 録画しておいた「たけしのコマネチ大学数学科」を見る。今回の問題は、アインシュタインが晩年、新聞に連載していたものらしい。「図のA~Iの□の中に1から9までの数字を1つずつ入れ、7つの三角形の3つの頂点に入る数の和がすべて等しくなるようにしてください」

Ex_111  「ACD」「BEF」「DEG」「GHI」の小さな三角形の他に「ABG」「CEH」「DFI」の大きな三角形を合わせて7つということ。それぞれの頂点に入る数の和が等しくなるようにする。このブログの「六芒星のパズル」でも紹介したが、まず、3つの数の和がいくつになるかを考える。1~9をすべて足すと「45」、それを3で割ると、「15」になる。

Ex_112  で、このパズル、3×3マスの「魔方陣」として考えると、容易になる。ここが今回の「美しき数学」のポイントなのだろう。ここで図の「DEG」は、3つの三角形の頂点になる。他の点は2つの三角形で使われる。これを魔方陣で考えると四隅は3回、中央4回、その他2回になる。つまり対角線の組み合わせは「8、5、2」か「6、5、4」になる。四隅と中央が決まれば、あとは残りの数字を当てはめていくだけだ。

Ex_113  「マス北野」は、いちはやく正解にたどり着き、正解のパターン数、つまり「何通りの答えがあるか」について悩んでいたようだが、入れ替え3通り、回転4通り、鏡像2通りで、3×4×2で「24通り」。

※2010年4月11日追記:これはあくまで3×3の魔方陣の場合で、アインシュタインの魔方陣にはあてはまらないようだ><;

Ex_114  ところで、今回の「魔方陣」を9個並べると、「数独」(ナンバープレイス)と呼ばれるゲームになる。こちらは、3×3マスの中には、1~9の数字が入るだけで、足して「15」になる縛りはない。しかし、列、または行においても、1~9の数字が入り、同じ数字が重複してはならない。

Ex_115  この場合「B、C、D」「E、F、G」「H、I、J」の各列、「2、3、4」「5、6、7」「8、9、10」のそれぞれの各行を入れ替えることが可能、また3×3マスを1ブロックとした場合、縦のブロック、横のブロック単位で入れ替えることも可能だ。

 「数独」の問題の中には、稀にこのようにパターンを入れ替えただけの問題も含まれることがあるようだ。

 番組の最後には、自ら「アインシュタイン」マニアと称する竹内薫センセの著書「アバウトアイシュタイン」(アインシュタインをめぐる70のミステリー)の中から、エピソードを紹介していた。30分番組ということで、途中でカットされてしまっていたが……;;。


アバウトアインシュタイン

アバウトアインシュタイン
―アインシュタインをめぐる70のミステリー

著者:竹内 薫
販売元:秀和システム


第10回:トイレットペーパー

 ワールドカップ特番編成で放送時間が変更になり、あやうく録画を失敗しそうになった「たけしのコマネチ大学数学科」。今回の問題は「芯の直径4cm、ロールの直径11cm、ロールの長さ60mのトイレットパーパーは何回巻き?」

Ex_101_1  今回の問題、トイレットペーパーの断面積を長さで割れば、ペーパーの厚みが出る。厚みが出れば、何回巻きかがわかる。
ペーパーの厚さ=((A3/2)^2*PI()-(B3/2)^2*PI())/C3
巻き数=(A3-B3)/2/C5

 しかし、ここまでは想定内。竹内薫センセは、驚きの解法を見せてくれた。

Ex_102  トイレットペーパーに切り込みを入れ、それを広げると「台形」になるんですね。つまり、台形の面積からもトイレットペーパーの厚み、巻き数が出せるってわけ。これぞ「美しき数学」。

第9回:美術館定理

 「たけしのコマネチ大学数学科」第9回のテーマは「美術館定理」。問題は「下図のような形をした美術館に防犯カメラを設置する場合、館内全体を監視するには最低、何台のカメラが必要でしょうか? ただし、カメラは360度見渡せるものとします」

Ex_091  南北に分断された韓国の「離散家族」問題は、聞いたことがあるけれど、今回の問題は、中村亨センセによると「離散幾何学」で扱われる問題らしい。ばらばらに離散した点や図形の配置の最適化や極値を考える学問のようだ。美術館問題の他にも、警備問題や、刑務所問題などいろいろなバリエーションがあるみたい。たとえば「すべての壁が鏡張りの部屋の中のどこでも電灯を灯すと部屋全体に明かりが行き渡る」という照明問題の証明もある。

Ex_092  さて、今回の問題を単純化して考えてみる。美術館が三角形の場合は、どの角にカメラを置いても1台ですべてをカバーできる。

Ex_093

 ここでは、柱がない場合の8角形を考えてみる。それぞれの角どうしを結び、三角形で分割すると、黄丸や青丸にカメラを置いた場合は、3台必要になるが、赤丸の角にカメラを置けば2台で済む。8角形の部屋の場合、必要十分なカメラの数は2台ということになる。柱がない場合、n角形の部屋をカバーするカメラの台数は、[n/3]で表すことができる(※[ ]は、整数部分を取り出すガウス記号)。

Ex_094  柱がある場合も、角どうしを結び、三角形で分割する。この場合、角は、部屋の角「8」と柱の角「4」を足して「12」。角の数を「n」、柱の数を「m」とすると、美術館全体をカバーする必要十分なカメラの台数は、[(n+3-m)/3]になる。なんの証明にもなっていないが、もう、これ以上、書くことに飽きてきたことの証明にはなる(><;

Ex_095  INT(インテジャー)は、数値の小数部分を切り捨て、整数を返す「エクセル」の関数。

第8回:トポロジー

 木曜深夜は、仕事を早めに切り上げ、風呂に入り「いいちこ」を飲みながら「たけしのコマネチ大学数学科」を見るのが楽しみ。テレビの番組表を見たら、今回のテーマは「トポロジー」だったので、てっきり「一筆書き」の問題が出ると予想していたのだが、そうは問屋が卸さない。一筋縄ではいかないのが中村亨センセだ。「折り紙」に続き、今回は「粘土」ということで、またしても「エクセル」では、太刀打ちできない問題となった。

Ex_081 Ex_082  まず、予備知識として、上の図のように上下左右がつながった世界とは、どんな世界かを想像すると、それは右の図のように球体の世界。上の図は、球面を引き伸ばし、上はすべて北、下はすべて南とする、メルカルト図法で描かれたものということになる。これを踏まえて……。

Ex_083  「ドラクエ」などのロールプレイングゲームでおなじみの世界、上に進むと、下から出てくるような、上下左右がつながった世界は、どんな形をしているか、それを粘土で作りなさいというのが今回の問題。しかし「ドラクエ」の世界がこんな形をしていたなんて……。もしも、こんな形の星があるとしたら、重力はどのように働くのだろうか。

Ex_084  ひさしぶりに「Shade」で図形を描こうとしたら、すっかり忘れていてしまっていた。私の場合、一時、熱病にかかったかのように夢中になるが、飽きるとそれっきりで、すっかり忘れてしまう傾向がある。

 冒頭で「一筆書き」の問題を予想したと書いたが、「トポロジー」というと、有名な「ケーニヒスベルクの橋渡り」という問題がある。

Ex_085  「ケーニヒスベルクの町内を流れるプレーゲル川の中に島があり、7つの橋を1回限りで、すべての橋を渡ることができるか」という問題。言葉を変えると「一筆書き」ができるかということになる。

Ex_086  「オイラー」は、一筆書きができる必要十分条件として、「すべての頂点の次数が偶数」または「次数が奇数の頂点の数が2で、残りの頂点の次数はすべて偶数」のいずれかとした。つまり「ケーニヒスベルクの橋渡り」は不可能ということで、この問題に決着をつけた。

Ex_087  左の図の場合は、頂点や交点がすべて偶数。右の図の場合は、家の土台の部分が奇数で2つ、残りがすべて偶数なので、どちらも一筆書きができる。

Ex_088  今回はいくつかの図版を作ることだけに始終してしまった……(;;。

第7回:必勝法

 「たけしのコマネチ大学数学科」の第7回目。今回の問題は、ゲーム「三山くずし」の必勝法を考えなさいというもの。

 問題:「3個、5個、7個の石がある。交互に石を取っていき、最後の石を取ったほうが勝ち。石はいくつ取ってかまわないが、違う山(色)の石を同時に取ることはできない。このゲームの必勝法を考えなさい」

Ex_071_1  例によって「エクセル」で表を作ってみる。A列は「=DEC2BIN(C2)」として、C列に入力された石の数を参照して、二進数に変換している。B列の石の山は「=REPT("●",C2)」で、石の数ぶんの「●」を表示している。

 ここまで作成すると、やはり、対戦してみたくなる。しかし「エクセル」でインタラクティブなものを作ろうとすると、どうしても「VBA」を使わざるをえない。「VBA」とは「Visual Basic for Applications」の略で、マイクロソフトの「Office」製品で処理を自動実行させるためのプログラム言語だ。今回の問題は「VBA」の入門として、ちょうどいいかもしれない。

 さっそく「表示」メニューの「ツールバー」から「コントロールツールボックス」をクリックし、ボタンをひとつ作成。このボタンが押されたときの処理を「VBA」で記述する。第6回の二進数の説明のとき「エクセル」では、論理演算子はビット演算ができないと書いたが、「VBA」を使えば、話は別だ。「Xor」(排他的論理和)も使うことができる。

Ex_072  (※クリックで拡大)

 これで、石の数を減らし「決定」ボタンを押すと、「エクセル」の番になり、石を取る。何も考えていない「エクセル」に必勝法を教えるということは、同時に自分自身がこの問題の「必勝法」に対する理解を深め、より短い記述で整理することにつながる。その結果、先手必勝だが、途中で一度でもミスをすると負けてしまうことになる(^^;。必勝法は、番組を見た方なら、すでにご存知のはず。

補習[2]:ヨセフスの問題

 少し、時間に余裕ができたので、前回の「たけしのコマネチ大学数学科」で出題された「ヨセフスの問題」を復習してみたいと思う。

問題「200枚のカードが1から順に並んでいます。1番上のカードを1番下に持っていき、次のカードを捨てるという作業を繰り返したとき、最後に残るカードは何番か答えなさい」

Ex_16  番組内では200枚のカードだったが、簡略化して13枚のカードで試してみよう。1枚おきにカードを捨てていくので、2周目に入るとき、奇数枚なので、数え始めた「1」のカード(トップ)は捨てられる。残りカードは7枚なので、3周目でもがトップが入れ替わる。残り枚数は4枚なので、トップの入れ替わりは起こらず、「11」枚目が最後に残るカードとなる。

 これを数式にすると、カードが偶数の場合は(2n)枚、奇数の場合は(2n+1)枚のカードがある。1周した時点で残るカードの枚数は、偶数の場合(2n/2^2)、奇数の場合は(2n/2^2)+1になる。3周時は(2n/2^3)……と続き、最終的に(2n/2^s+1)+1となるはずで、f(n)=2(n-2^s)+1という式になる。

 ここでの「s」とは、何周したかであり、つまり2の何乗かであるかだ。

 番組内でも、カードが200枚の場合、それを2進数で表し、「1」のところは「0」、「0」のところは「1」として、その数を引くと、最終的に残るカードを求めることができると解説していた。

 で、いきなり説明もなく、結論だけを「nを2進数で表し、頭の1を取り、最後尾に付け加える」としたわけだが、これは、ビット演算という手法。10進数を「DEC2BIN」関数で2進数に変換し、先ほどの「2(n-2^s)+1」の式にあてはめてみる。

Ex_17  「2n」は、2進数の場合、左シフト、ローテーションを行うと、その数を2倍したことになる。たとえば、13の2進数である「1101」を左にひとつずらすと、「11010」になり、それを10進数で表すと「26」。それから「2(2^3)」を引くということは、「2^4」だから、二進数では「10000」、十進数では「16」を引いて、「1」を加えると、答えは、2進数表記で「1011」、十進数表記では「11」となるわけだ(コンピュータの内部では、こんなふうに2進数のビット演算で計算が行われているんですね)。

 このブログは「たけしのコマネチ大学数学科」で出題された問題を「エクセル」で解くことを目的としているが、私を含め、数学にあまり縁のない人にも、とりあえず、難しく考えず「エクセル」を使えば、答えが出せるよ……というのが趣旨だったはず。

Ex_18  ビット演算なんて、普通の生活の中では、使いません……というか「エクセル」では、10進数を2進数に変換することはできても、AND OR NOT などの論理演算子は、「真:TRUE」か「偽:FALSE」を返すだけで、ビット演算をすることができません。ましてや、左シフト命令なんてありません。そこで文字列操作で「=RIGHT(B2,LEN(B2)-1)&LEFT(B2,1)」とし、左の1文字を取って、右の末尾に加えています。

 今後は、わかりにくい「美しさ」よりも「たけし軍団:数学研究会」のメンバーになったつもりでがんばります。今回、唯一、正解を出したのは、じつは「数学研究会」ですもの。難しい理屈なんて、わからなくても、楽しければいいんだ……。

第6回:ヨセフスの問題

 木曜深夜は、ちゃんと、お風呂に入り、身を清めて「たけしのコマネチ大学数学科」に望むつもりでいたのですが、風呂上りに「いいちこ(麦焼酎)」を飲んでいたら、番組が終わる頃には、すっかり、出来上がっていました。

 さて、今回のテーマは「ヨセフスの問題」ということで「200枚のカードが1から順に並んでいます。1番上のカードを1番下に持っていき、次のカードを捨てるという作業を繰り返したとき、最後に残るカードは何番か答えなさい」というもの。

Ex_15_5  じつは、今回の問題は、以下のサイトをカンニングしてしまいました。

「数学の部屋:『まま子立て(ヨセフスの問題)』」

というわけで、番組を見た方なら、答えはわかっているわけで、なんの説明もない、答えを提示しても、無意味なのですが、酔いも限界なので、このへんで……。

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《追記》

 目が覚めて、「いかん! 書きかけのブログの記事をアップせねば!」とあせったのですが……。ブログを見ると、ちゃんと載っている……記事をアップしたことさえ、忘れるほど、酔っていたみたい。しかも、答えが間違ってました。申し訳ない。

 解説は「数学の部屋」を見てもらえれば、詳しい説明が載っているので、そちらを見てください。

 ひとつだけ、フォローしておくと、ここで使用している「DEC2BIN」や「BIN2DEC」の関数は、アドインの「分析ツール」を組み込んでいないと「エラー」になってしまいます。この他にも、便利な関数が追加されますので、ぜひ、組み込んでおいてください。

 また「これは、手動で^^;」とありますが、セルB5に「=RIGHT(B2,LEN(B2)-1)&LEFT(B2,1)」と入力すれば、手動で入力しなくて済みます(というか、式を入力するほうが手間がかかる……)。