■モンティ・ホール問題

FIFTH EDITION: ベイズの定理と3囚人問題、モンティ・ホール問題を言葉だけで納得してもらう方法を募集。

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ゲームのルール(引用:Wikipedia「モンティ・ホール問題)

1:3つのドア (A, B, C) に(景品、ヤギ、ヤギ)がランダムに入っている。
2:プレイヤーはドアをひとつ選ぶ。
3:プレイヤーがどのドアを選んだかにかかわらず、ホストは残りのドアのうちひとつを必ず開ける。
4:ホストは景品のあるドアを知っていて、必ずヤギの入っているドアを開ける。もし、両方ともヤギだった場合はコインを投げて決める。

で、このゲームのポイントは、プレイヤーは最初、3つのドアの中からひとつを選ぶが、ホストは、残りふたつのうち、ハズレのドアを開け、その時点で、プレイヤーは、選んだドアを変更することができること。もちろん、最初に選んだドアがアタリの可能性はある。そこで、最初に選んだドアのままでいくか、もうひとつのドアに変更すべきか、どちらがベストなチョイスなのかというのが、この問題の核心部分だ。

私もこの問題をFlashで作成しようと思ったが(上の画像は作りかけの素材)、すでに、非常にわかりやすく、かつ、丁寧に作られたFlashムービーがあるので、私が作るまでもないと思い、断念した。

ネコでもわかるモンティホール・ジレンマ
http://ishi.blog2.fc2.com/blog-entry-182.html

冒頭、リンクの「FIFTH EDITIION」の「pal」さん曰く、

結論からいうと、これは、選択すべきとなる。論理的には正しいが、納得しにくい。

それは「ネコでもわかる……」についた多くのコメントを見れば、そのジレンマぶり(?)がわかってもらえると思う。

こういった、楽しい問題を理科系の人たちだけの楽しみにしているのは、ズルイよね。とゆーか、この「ベイズの定理」は、経済など、さまざまな分野で応用されているという。ぜひとも、palさんには、文系の人の言葉で、この面白さ、有効性をわかりやすく語ってほしい。

もし私が出場者なら、ホストの人がコインを投げるそぶりをしたら、最初に選んだドアのままにします。(だから、そーゆー問題じゃ、ないって;;)

この問題の面白いところは、最初のプレイヤー(仮にAさんとする)と、仮にもうひとり、ホストがハズレのドアを開けたあとに登場したプレイヤーBさんとでは、確率が違うこと。Bさんから見ると、すでにひとつのドアが開いているので、ふたつにひとつで景品を当てる確率は「1/2」になる。でも、Aさんは、一連の出来事を見ているので、自分が選択したドア(確率1/3)じゃないほうのドアが「2/3」の確率であることがわかる。なんかパチンコの「確率変動モード」に突入したみたいな(^^;

※追記:モンティ・ホール問題のFlash完成版は
Flash:モンティー・ホール問題」を見てね。


■「誕生日」問題の答え合わせ

弾さんの「誕生日が同じ夫婦問題回答篇」が提示された。

私も「出題の意図」を考えなくもなかったのだが……。そもそも、「直感的な定理の反直感的な帰結」のエントリは、palさんの「事前確率」によって統計の見方が変わってくるという問いかけに書かれたもので、ヒントはたくさん提示されていたにもかかわらず、問題ばかりに気をとられ、考えが及ばなかった。

確かに事前確率がゼロの状態では、いくらカップルを集めても答えは「ゼロ」になる。たとえば弾さんの言う「同じ誕生日の人とは結婚してはならない」という法律がある国の場合だ。

いくらなんでもそれは「無茶苦茶」と感じる人は、現実に目を転じてほしい。ここ数年「いじめ」による児童や生徒の自殺者は「ゼロ」という文部科学省の統計データなどは、事前のルールそのものをよく考えなければならない。

文部科学省は「いじめ」を「強い者が弱い者に継続的に行う暴力」、いわゆる弱い者いじめとしか捉えていない。言葉の裏には、いじめられる側にも何か問題があるのではないかという含みを感じさせる。いじめの構図は、弱い者の集団(多数)が決して弱い者ではない個人(小数)への有形、無形の暴力なのだ。

文部科学省のルールに少しでも当てはまらない事例は、「いじめ」としてカウントされない。また「いじめ」と「自殺」の因果関係を厳密な意味で証明することは困難だ。これに、学校側の「見て見ぬフリ」、「ことなかれ主義」、「保身のための隠蔽体質」などが加わると、いじめによる自殺者ゼロという、反直感的な帰結となる。

まあ、文部科学省のあからさまな統計データは、誰しも「おかしい」と感じるが、統計データを扱う際には、どのようなルールで集められたデータなのかをよく見極める必要があるようだ(;;

■コマネチ大学数学研究会「誕生日」

今日は「たけしのコマネチ大学数学科」は休講。代わりに弾さんが11月22日の記事「直感的な定理の反直感的な帰結」で問題を出してくれたので、考えてみよう。

最後に問題。妻と私は誕生日が同じなのだが、カップルどおしの集まりにおいて、何組以上のカップルがいれば我々のようなカップルが一組以上含まれるでしょう?

この問題を解く前に、竹内薫センセの「頭がよみがえる算数練習帳」で出されている問題を考えてみてほしい。

30人のクラスの中で、ふたりの誕生日が同じになる確率はどのくらいでしょう?

誕生日が一致する確率は、1(100%)から誕生日が一致しない確率を引いたものと考えることができる。
つまり「=1-(364/365)」、3人なら「=1-(364/365)×(363/365)」。30人の場合は……。

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こんな計算をすることを考えただけで、脳のブレーカーが落ちて、真っ暗闇の脳停止状態に陥ってしまう。そこで、コマ大数学研究会らしく、あれこれ考えず、まず体を動かしてみよう。

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エクセルのA列1行目に「364」と入力し、2行目に「363」と入力。この2行分を選択して、オートフィルで29行目まで連続入力する。

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30行目に1行から29行までの数値を掛け合わせる関数、「=PRODUCT(A1:A29)」と入力する。B列の30行目には「=365^29」(365を29回掛けた数)と入力。どちらも、あまりに大きな数なので、表示できず、指数形式で表示される。ちなみに「5.94803E+73」とは、「5.9…」を約「6」とすると、その後ろに「0」が73個つく数だ。こうなると読み上げることも難しい。

話を戻すと、A列は「分子」、B列は「分母」に分けて積を計算したので「=A30/B30」とすると約「0.3」つまり、誕生日が一致しない確率は、約30%。誕生日が一致する確率は「=1-A30/B30」で約70%ということになる。

1クラス30人の中で、誰かと誰かさんの誕生日が一致する確率は、予想(直感)に反して意外にも大きい……というのが、この問題の趣旨だ。

そこで、冒頭の弾さんの問題に戻る。これを確率の問題としてとらえると、カップルのふたりの誕生日が一致する確率は「1/365」であることは明白(うるう年は考慮外)。同じ結果を導くのに、わざわざ式を「=1-(364/365)」などと複雑にする必要はない。つまり、どのカップルも誕生日が一致する確率は、1/365なので、365組のカップルを集めたら、そのうちの1組くらいは、同じ誕生日のカップルがいると考えてもいいんじゃないの。弾さん夫妻と同じ誕生日のカップルとは、一言も言っていないので、どんな誕生日だろうが、とにかく誕生日が同じカップルがいればいいのだから。

で、もしも、これを確率の問題として捉えないとどうなるか。「サイコロを振って『1』の目が出る確率は?」と聞かれれば「1/6」だが、「サイコロを何回振ったら『1』の目が出るでしょう?」と聞かれたら、予想や直感に反しても「実際、やってみないと、わからない」と答えるしかない。

■コマネチ大学数学科27:一筆書き

 世界女子バレー、日本は残念ながらメダルに手が届かず。ロシアとブラジルが世界1位の争いを繰り広げる中、「たけしのコマネチ大学数学科」の第27回。今回のお題は「一筆書き」。下のおダンゴを4つ串刺しにしたような図形のAから描き始め、Bに辿り着く書き順は何通りあるか答えなさいというもの。

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 ひとつの円に注目すると、最初の分岐は3通り。で、戻るときは、来た道を引き返せないから「3-1」の2通り。つまり、ひとつの円に対して3×2=6通りの書き順があるわけで、それが4個だと、6^4=1296通り。ここまでは、誰しも納得というか、すぐに計算できる。

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 問題は、複数の円にまたがり、たとえば、上の円弧だけを続けて書き、戻る方法だ。しかし、これもよく考えると、連続して書き始めたポイントまで戻るしかないことがわかる。ひとつ目の円はすでに組み込み済みなので「a」は除外される。残りは3つ。戻る手順は2通りなので、2^3=8通り。つまり、(6^4)×(2^3)=1296×8=10368通りが答えとなる。
円がn個つながったときの公式は、

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 番組では、東大生チームがみごと正解してフィールズ賞を獲得した。

 ちなみに、ある図形が一筆書きができるかどうか、有名な「ケーニヒスベルクの橋渡り」については、過去の記事「第8回:トポロジー」を参照してね。

■世界の中心で愛を叫ぶ?

「Going My Way」の11月16日の記事で紹介されていた「geoGreeting!」。おもしろいので、さっそく私も試してみた。

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メッセージを入力すると、すぐさま、文字を建物の形で表示してくれる。同時にリンクが生成される。
http://www.geogreeting.com/view.html?zehBcMit+tbh
「Preview link」をクリックすると、以下のような画面が表示される。作成されるリンクをメールで送れば、グリーティング・メッセージになるわけだ。

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■Google Earth でタイムスリップ

Google Earth Blog の11月13日の記事「Old world meets new on Google Earth」。
20061116_01 David Rumseyという人の古地図コレクションの中から16点がGoogle Earthで見ることができるようになった。

「Layers」の「Featured Content」の中にある「Rumsey Historical Maps」をクリック。日本語版だと「特集コンテンツ」なのだが、現時点では、まだ登録されていないので、「ツール」メニューの「オプション」、「全般」タブ画面で「言語設定」を「English」にして「OK」ボタンをクリック。いったん、Google Earth を終了し、起動しなおせば、英語版のGoogle Earthになる(再び、日本語版に戻すには「デフォルトにリセット」ボタンをクリックしてGoogle Earthを終了すればOKだ)。

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■コマネチ大学数学科26:ナポレオンに挑戦

 ラベルにもちゃんと「下町のナポレオン」と印刷されている、麦焼酎「いいちこ」を飲みながら、いつものように「たけしのコマネチ大学数学科」を見る。今回の問題と解答は、以下のFlashムービーのとおりだが、完全に「ネタばらし」なので、自分で考えたい人は見ないでください。

 なぜ今回の問題が「ナポレオンに挑戦」なのか。中村センセの解説によると、「ナポレオン」は数学に対する関心が高く。国を栄えさせるためには数学が必要だと考えた。そしてイタリア遠征のとき、この問題の解法を知り、国へ持ち帰ったとのこと。

 ところで竹内センセのブログ「薫日記」の11月8日の記事によると、来年の始めあたりに「コマネチ大学数学科」の本が発売されるようだ。年末特番も決まったみたいで、今から楽しみだ。

■Google Earth ネタ あれこれ

■3Dギャラリーの日本語版公開!
20061105_01  ブログの更新をさぼっている間も、Google Earthの進化はとまらない。すでにご存知の方も多いと思うが、Google Earth の3Dギャラリーの日本語版が公開された。
 まず「3Dギャラリー ネットワークリンク」をダウンロードすると、Google Earthに3Dモデルの場所が家のアイコンで表示される。気に入った3Dモデルを探し、Google Earthに表示させるだけでいい。
 3Dモデルの作成には、英語版だが「Google SketchUp」が公開されている。これにハマってしまうと大変なので、私的には、しばらく封印しておこう。^^;

■鳥のように飛びたい
2006103103  「Going My Way」の10月29日の記事で知ったのだが、鳥のように大空を飛ぶ快感を味わせてくれる「Wings – a google maps explorer」。
 Kengoさんの指摘のように、これまでにGoogle Earth上を飛行機で飛ぶというのは、これまでもあった。しかし、羽ばたく鳥の視点(まさしく鳥瞰図)で、飛ぶのは楽しい。上記のサイトから、国と都市を選ぶだけでいい。私は、日本の東京上空へ。皇居の外堀の水面に反射する光が美しい。警視庁のヘリポートでひと休みしようかしらん(^^;

■ロボット型住所関連情報検索システム
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 大阪大学大学院情報科学研究科萩原研究室のWeb検索チーム(リーダー:藤本典幸 助教授)の研究成果として公開された、このシステムは、あなたに代わり、ロボットが検索キーワードに適合する住所データを探し、それを地図の位置情報に変換してくれるシステムだ。

 Google Maps APIを利用するためには、ライセンスキーを取得する必要があるが、Google Earth のKMLファイルを自動生成する「KML Generator」ならば、設定は不要。検索後にGoogle Earthが自動的に起動し、検索結果を表示してくれる。

 で、実際に使ってみた印象だが、期待が大きかったせいか、さまざまなキーワードで検索してみたが、思ったほど、検索にマッチする位置情報をウェブから得ることができなかった。「ロボット検索」の時間は、ディフォルトで「30秒」だが、もちろん、もっと長く設定することもできる。検索が終わると、自動的にGoogle Earthが起動し、検索結果の位置情報に「ピン」止めされ、詳細を見ることができる。

 「ロボット検索」なので、収集したデータは、精査する必要がある。しかし、KML形式(実際には圧縮されたKMZ形式)で出力するため、データの取捨選択、修正は容易だ。コツコツとデータを収集することを考えると、やはり、多大な効率化となり、企業、自治体、個人レベルでも、データベース構築という点で、非常に頼もしい存在になるのではないかという、期待感が募る。

 余計なお世話だが、「KML Generator」をインストールするには、住所データと、データを位置情報に変換するための作業ファイルが作成され、ハードディスクには2GB程度の空き領域が必要になる。

 また、「Going My Way」の2005年6月30日の記事で紹介されている「KML Generator v0.1」とは、別のものだ。

■小寺信良:写真+GPSがもたらす世界
 IT業界の人向けでなく、すごく懇切丁寧に、わかりやすく写真とGPSの可能性について書かれた記事。この記事を読んで、私もソニーのGPSユニット「GPS-CS1K」を欲しくなったが、家から一歩も外に出ない、ひきこもり爺の私がGPSを持っても、意味がないと、悟った。

■コマネチ大学数学科25:和算

今回は江戸時代の数学書「塵劫記」に出てくる「百五減算」という算術の問題。

ある人の年齢を 3、5、7 でそれぞれ割った余りがそれぞれ 1、2、3 になるとき、その人の年齢はいくつでしょうか?

で、さっそく私も「エクセル」で「百五減算」を作ってみた。「塵劫記」や「百五減算」は、Wikipediaに詳しい解説が載っているので、そちらを参照してほしい。

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※ガダルカナル・タカさんの場合

ポイントは、3、5、7の最小公倍数が105になること。エクセルでは「=LCM(3,5,7)」とすれば、簡単に求めることができる。もっとも、3、5、7は素数なので、3×5×7=105ということだ。

で、105をそれぞれ3、5、7で割ると、35、21、15になる。求める数(年齢)を「n」とし、3、5、7それぞれの数で割った余りを、a、b、cとすると、
百五減算の公式は、
n=70a+21b+15c-105k となる。(kは、nが105よりも大きいとき、何回が引くという意味)

番組を見ていて、一番ひっかかったのは、なぜ「35」だけを2倍して「70」にするかだろう。ちゃんと竹内センセは解説をしてくれているのだが、こちらの理解力が足らず、モヤモヤした感じが残った。

これは実際に「=mod(35,3)」としてみるとわかる。「35」を「3」で割ると、余りが「2」になる。

つまり、こーゆーことだ。
70は、5と7で割り切れるが、3で割ると1余る数
21は、3と7で割り切れるが、5で割ると1余る数
15は、3と5で割り切れるが、7で割ると1余る数
105は、3でも5でも7でも割り切れる数(最小公倍数)

番組では、全員が正解した。しかし、納得がいかないのは「コマネチ・フィールズ賞」をコマ大数学研究会が取ったこと。東大生チームは、ちゃんと数式を立てて解き、条件を満たす数として、52、157、262を出した。そこで、コマ大のロケで問題と同じ余りが「1、2、3」になった番組プロデューサの「吉田さん」が、157歳や、262歳はありえないから、「52歳」という答えだった。これを「最終的には見た目」と判断されたが、これが現実的な答えだ。百五減算だって、江戸時代105歳を超える長寿の人はいなかったろうから、105を引いているわけで、その点では同じだと思う。

私はコマ大数学研究会を応援しているが、今回の竹内裁定には疑問が残る。マス北野も「こういう情けが番組の視聴率を下げる」と発言していた。

でも、今回は全員正解の引き分けなので、オープニングの
ダンカン「倍数の例を挙げてください」
ガンビーノ小林「9は3の倍数」
〆さばアタル「25は5の倍数」
無法松「501はリーバイス」
という、久々のヒットで「フィールズ賞」をもらったと考えれば納得。コマ大、ファイト、ファイト、ファイト!!

■無料版のGoogle Earthで経路が可能に!

小飼弾氏の「404 Blog Not Found」の「Alpslab Route」(11月1日の記事)

これが3Dになったりしたらさらに面白いけど、そんなことはとっくに考えてるだろうなあ。

20061102_01 出発地点から目的地まで、3Dカーナビゲーションのように表示する「ルート検索」は日本語版では未対応なのだが、無料版のGoogle Earthでも、パスが打てるようになった。これまでパスが打てるのは、有料版だけだったんだよね。

で、さっそくパス(経路点)を打って、再生ボタンを押すと、出発地点から目的地までぐるりぐるりと方向を変え進んでいくじゃありませんか。

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ちなみに
Google Earth 4.0.2416 (beta)
Build Date Oct 31 2006