■コマ大数学科134講:消えた数

「老兵は死なず、ただ消えゆくのみ」という言葉がある。「すげー昔、ラジコンの漫画を描いた漫画家がいたよな」とか、昔「ファミ通にガスコン金矢っていたけど、今、何しているんだろう?」とか、爺は世間から、消え去った存在だけれど、どっこい、まだ生きてて、こんなブログ記事を書いているの「たけしのコマ大数学科」。

問題:たろうくんは、1から順番に1、2、3、4、5……とある数までを黒板に書きました。じろうくんがその中の1個の数を消してしまいました。すると、残りの数の平均は(590/17)になりました。じろうくんが消した数はいくつですか?

※出典:2000年第9回 算数オリンピック トライアル問題

【遊び方】たろうくんが書いた数と、じろうくんが消した数をダブルクリックして、キーボードから数字を入力する。平均が(590/17≒34.7058)と同じになったら正解!

 我らがコマ大数学研究会は、「えびす駄菓子バー」でロケ。この店、500円で駄菓子が食べ放題だとか^^; で、コマ大生は、とりあえず、たろうくんの書いた数が100までとし、メニューから食べたいものを選び、それが、人気ランキングの何位に位置するかで、その順位の数を消した合計の平均を計算する。何度かトライするも、正解の平均には近づかない。ここで、アタルチャンス! たろうくんの書いた数は、もっと、小さい数なのでは、と気づく。

 そんなかんなで、たろうくんの書いた数は、「69」まで、じろうくんの消した数は「55」、とゆー答えに到達した。

 マス北野は、たろうくんが書いた数の最大値を「x」、じろうくんが消した数を「y」とすると、「(x(x+1)-y)/(x-1)=(590/17)」と方程式を立てた。この式は、あきらかに間違い。正しくは、「((x(x+1)/2)-y)/(x-1)=(590/17)」になるはず。しかし、マス北野の頭の中では正しい数式になっていたのか(たんなる書き間違い?)、それでも正解を導き出す。答えは「55」。

 生駒尚子さんがコマ大を休学してしまったので、東大生チームは、小橋りささんと、岡本麻希さんが新コンビを結成。一瞬で答えを書いた。数の平均は、(590/17)で、17は素数なので、じろうくんが消したあとの数字の数は、17の倍数になる。つまり、たろうくんの書いた最大の数は、(17x+1)。よって、消したあとの総和は、
(590x)……(1)式。
消す前の総和は、(1+(17x+1))*(17x+1)*(1/2)=
(289/2)x^2+(51/2)x+1……(2)式。

 「消したあとの総和:(1)式<消す前の総和:(2)式」の条件を満たす、(x)は、x=4のとき。

東大生の答え

答え「55」。

中村亨センセの「美しき数学の時間」

解法1:ふまじめ?
最後の数を(n)、消した数を(x)とする。
(1コ消した平均)=((1~nの和)-x)/(n-1)=590/17
したがって、(n-1)は、17の倍数。
(n)も、(n-1)も1コ消した平均の約2倍。
(590/17)*2=69.4…←(n-1)は、これに近い17の倍数。
69.4÷17≒4
(n-1)=17*4=68、(n)=69
(69*70)/2-(x)=(590/17)*68
(x)=(69*70)/2-(590*4)
(x)=2415-2360
(x)=55

解法2:もう少しまじめ

美しき数学の時間

解法3:まじめ

美しき数学の時間

 しかし、知りたいのは、(n)と(x)のふたつなのに、方程式はひとつなので、解は無数にあるという。これをクリアーするには、整数解に限って、ディオファントス方程式を使うらしい。結局、まじめに方程式を立てても、解けなくなってしまい、「ふまじめ」でやったように、整数の性質を利用して、解くしかないようだ。

 このあと「平均」とゆーことで、いろいろな平均、「相加平均(算術平均)」「相乗平均(幾何平均)」「調和平均」などを紹介してくれた。

相乗平均
幾何平均

(※出典:ガスコン研究所/著「速攻活用!エクセル関数2007

幾何平均

 2と8の相加平均(ふつうの平均)は、(2+8)/2=5だが、「相乗平均」では、2と8を掛け合わせて平方根を取る。つまり、√16=4だ。売上の成長率などを予測するときにも使われる。

調和平均

調和平均

(※出典:ガスコン研究所/著「速攻活用!エクセル関数2007

調和平均

 低い「ド」を「2」、1オクターブ高い「ド」を「1」としたとき、平均は「1.5」で「ファ」となるが、調和平均を求めると「1.33」で「ソ」となる。ピタゴラス音階はこのようにして決められた。「調和平均」は、単位あたりの生産率が違う工場に、どのような分配で発注をかけたら効率的か……などを考えるときにも用いられる。

 さて、今回の問題は「算数オリンピックのトライアル問題」。もちろん、方程式なんて使わない。どのように説明しているのだろうか。以下、引用。

算数オリンピック

すべての数の平均は、(590/17)-(1/2)より大きく、(590/17)+(1/2)より小さい。すなわち、34+(7/34)より大きく、35+(7/34)より小さい。

すべての数の平均は、整数になるか、整数+(1/2)になる。この範囲で考えられるのは、34+(1/2)か、35だ。

すべての数の平均が34+(1/2)のときは、
(34+(1/2))*2-1=68
すべての数の平均が35のときは、
35*2-1=69

ところが、1個の数を消した平均が(590/17)なので、すべての数の個数は、17の倍数+1になるはず。

これにより、すべての数の個数は「69」個。
消した数は、
(1+2+3+4…68+69)-(590/17)*(69-1)
=2415-2360
=55

ふう、なんとか、答えにたどりついた><;

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算数オリンピック委員会/編
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※Pencil Missaileは、[SPACE]キーでも発射できるよ^^;

※コマネチ大学数学科の「過去問題」はこちらから。
コマ大数学科:2008年度全講義リスト(暫定版)
コマネチ大学数学科:2007年度全講義リスト
コマネチ大学数学科:2006年度全講義リスト


“■コマ大数学科134講:消えた数” への1件の返信

  1. たけしのコマ大数学科#134 「消えた数」

    たけしのコマ大数学科#134(番組的には129回?)
    (旧名称・たけしのコマネチ大学数学科)
    フジテレビ 2009年5月21日 深夜OA
     
    今回のテーマは、
    「消えた数」
     
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