■海外ドラマ:ミディアム 霊能捜査官アリソン・デュボア

 私はテレビ漬けの毎日で、「海外ドラマ」が大好きだ。「ミディアム 霊能者アリソン・デュボア」も「WOWOW」で何回も再放送されているし、「FOX」でも放送されているので、ついつい見てしまう。昔「推理小説」の作法として「探偵は超能力を使ってはならない」というルールがあった。しかし、ルールは破られるためにある。おもしろければ、それでいいのだ。


(※画面内をクリックしてほしい)

上のFlashは、下記のサイトで公開されているスクリプトを参考にしたとゆーレベルではなく、そのまんま、使わせてもらっている^^; 感謝!!

Flash Memo for Designers

 このドラマは決まって、ある夢からスタートする。主人公の「アリソン・デュボア」は、夢で死者の声を聞くとゆーか、ある映像(シーン)が浮かび上がる。その夢が現実の事件とどう結びつくのかが、ドラマの縦軸であるのだ。

 そこに謎解きとしてのミステリーがあるわけね。前提として、アリソン・デュボアは、彼女に授けられた不思議な力によって事件を解決していくのだけれど、先に述べたように、夢の解析が事件解明につながるという謎解きになっていて、ストーリーとして楽しめるものになっている。同じ超能力者を主人公にした「デッドゾーン」が、あまりおもしろくないのは、謎解きの組み立てがいまいちなのかも知れない。

 もうひとつ、この番組をついつい見てしまうのは、霊能者でありながら、ごく普通な幸せそうなアメリカの家庭が描かれていること。夜中にアリソンが夢を見て飛び起きることを除いては……;; 隣で寝ているダンナはたまったものではないが、アリソンが事件で忙しいときは、子どもたちを学校に送り、子守をし、すごく優しい。アリソンの不思議な能力にも理解を示している。ダンナの「ジョー」は航空宇宙産業で働くエンジニアだ。3人姉妹の子どもたちがいるが、とくに次女の「ブリジッド」がおもしろい。あるときは、自転車レースでつけるヘルメットが気に入り、家の中でも、学校へ行くのにも、そのヘルメットをかぶり続けている。ジョーは、そんなブリジッドが学校の先生や友達から「ヘンな奴」と思われ、浮いてしまうのではないかと心配し、説得しようとするが、ブリジッドは意に介さない。つまり、超常現象を扱ったドラマであるが、超日常の生活も、しっかり描かれている。自転車のヘルメットをかぶるのを止めたと思ったら、今度は「音がおもしろい」という理由で、家の中でも長ぐつを一生履き続けるというブリジッド。殺人などの凄惨な事件ばかりで暗澹たる気分になるのを、ブリジッドが救ってくれる。

 しかし、私は、ふたつほど気になっている部分があるのだ。ひとつは、映像的なことで、絶えず「フレーム」が定まっていないこと。まるで、手持ちの家庭用ビデオカメラで撮ったように、フレームが細かく動く。一度、気になると、フレームが定まっていないことで、酔ったような気分になる(いつも本当に酔っているけれど^^;)。唯一、フレームが定まるのは、クルマの中のシーンだ^^; たぶん、クルマの運転席を映すには、小型のカメラを固定する必要があるからだと思う。

 シリーズを通して、フレームが定まらないことは共通しているので、これは、視聴者に不安感を植え付ける、確信犯的な演出方法なのだろう。

 そして、それ以上に気になるのは、番組を見ていない人には、細かい点でわからないかもしれないが、その内容だ。シーズン1の13話「究極の選択」で、パイロットの奥さんが行方不明になる。でも、アリソンは、そのパイロットが、悪天候の中、飛行機とその乗客を救う夢を見る。夫であるパイロットが殺害犯人であるならば、彼は逮捕、留置され、飛行機の墜落と乗客を救うことはできない。同時にパイロットの夫が犯人である夢も見る。

 まぁ「究極の選択」とも言える、ディレンマに陥るわけだが、その話の中で、アリソンは、パイロットの夫の家から「IDカード」を勝手に盗んでしまう。鑑定の結果、IDカードのケースに奥さんを埋めた砂漠の砂が入っていることが決定的証拠となる。もちろん、違法に収集された証拠は、証拠能力がないわけだが、警察は、捜査令状を取り、家を徹底的に調べ上げ、掃除機を使って砂漠の砂の一粒も逃さないと夫を脅迫して、自白を迫る。

 この違法捜査という点が如実に現れるのが、次の14話「無罪と有罪」。アメリカの検事局と警察の関係はよく知らないけれど、検事局に勤めるアリソンは、刑事のスキャンロンと捜査を行う。話は10年前、当時、交通巡査だったスキャンロンは、検問である男を止める。後部座席には少女が乗っていたが、不審な点はなく、そのまま行かせてしまう。数日後、その少女が行方不明になっていることが発覚する。スキャンロンは、運転していた男を執拗に追い求めて所在を確認するが、彼が少女を誘拐し殺害したという証拠はない。そうして何年も過ぎ、刑事となったスキャンロンは、ある麻薬密売人の拳銃による自殺現場に遭遇する。スキャンロンは、その拳銃を拾い上げ、少女誘拐の男のクルマに置き、証拠をねつ造し、逮捕する。

 男は無罪を主張するが、拳銃が決定的な証拠となり、有罪になる。アリソンは、男がバスケットボールの試合を観戦している夢を見て、捜査する。たまたま、麻薬密売人が自殺した時刻に開催されていたバスケットボールの試合会場のビデオテープに男が映っている証拠を掴む。同時にアリソンは、同僚のスキャンロンが証拠をねつ造した事実も知り悩む。

 結局、アリソンは、そのビデオテープを提出し、男の冤罪は証明され、釈放される。いっぽう、10年前に失踪した少女の遺体は、アリソンの超能力によって発見され、男は、釈放と同時に10年前の少女誘拐、殺人の容疑で逮捕されるという、あらすじである。

 私が気になったのは「証拠をねつ造したスキャンロン刑事の罪は問われないのか」ということである。このドラマはフィクションであり、だからこそ、その設定、霊能者が捜査を行うという世界を受け入れている。しかし「アリソン・デュボア」は、実在の人物だ。

 ドラマの中では、私たちは、アリソンとともに夢を見、推理し、神の視点で事件現場を見ることができる。しかし、現実となると、そうはいかない。誰も、アリソンの見た夢を共有することはできないし、真実がどこにあるのかもわからない。逆に、このような捜査が現実に行われたら怖い。ある日、「夢」や「お告げ」によって、捜査員が自分の家へ踏み込んで来たとしたら……。警察官の証拠ねつ造によって逮捕されたら……と考えると、おちおち、安心して眠って夢を見ることもできないではないか。

 デープ・スペクターによると、「ミディアム 霊能捜査官アリソン・ディボア」の番組は世界100カ国以上に配信されていると言う。それぞれの国で、どういうふうに捉えられているのだろうか。

 現実のアリソン・ディボアさんは、なかなかの美人。来日したとき、江原啓之と対談したみたいだ。

江原啓之でしあわせオーラをだそう

WOWOW ONLINE
ミディアム 霊能者アリソン・ディボア

(※過去のエピソードはこちら)
(※註:WOWOWでは「霊能捜査官アリソン・ディボア」」ではなく「霊能者アリソン・ディボア」となっている」)

ミディアム 霊能捜査官アリソン・デュボア DVDBOX
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