■コマ大数学科191講:九州大に挑戦

名門大学に挑戦シリーズ。宇宙飛行士、若田光一さんの出身校でもある、九州大に挑戦だよ「たけしのコマ大数学科」

問題
:いくつかの半径3の円を半径2の円Qに外接し、かつ互いに交わらないように配置します。このとき、配置できる半径3の円の最大個数を求めなさい。
※2008年 九州大学(理系)入試問題

オレンジ色が半径2の円Q、黄色が半径3の円ね。「Duplicate」ボタンを押すと、半径3の円が複製される。マウスでドラッグ&ドロップして配置してほしい。やり直すときは「Remove」ボタンを押してね。答えはすぐわかると思うけれど、きちんと証明をするのがややこしい?

さて、今回は「九州大に挑戦」ということで、コマ大数学研究会は、九州大学出身の社長さんにコンタクト。

九州大学工学部卒業の坂本剛さんは、(株)産学連携機構九州の社長。福徳長酒類との共同研究で酵母菌を開発。九大オリジナル芋焼酎「いも九」の商品化を実現した。

もうひとり、九州大学法学部卒業の實藤政子さんは、秀和システムから「WMS導入と運用のための99の極意」という本を著わしている、(株)オプティマイズの社長。

おふたりは、九州大OBであるばかりでなく、幼なじみだそうだ。さっそく問題を解いてもらう。

九州大OB社長の記録
坂本社長 4分22秒
實藤社長 5分42秒

どのような解法かは不明だが、おふたり共、正解。今回はタイム争いなので、コマ大のVTRの後に問題を提示。マス北野&ポヌさんチームと、小橋りささん&岡本麻希さんの東大生チームが挑戦した。

小橋りささん&岡本麻希さんの答え

図(1)

半径2の円Qの中心と半径3の円の中心までの距離は「2+3=5」円Qの中心から、半径3の円の接線を引くと、3:4:5の直角三角形が2個できる。

図(2)

3:4:5の直角三角形の角度(θ)を求めることができれば、半径3の円を何個配置することができるか、簡単に求めることができるけれど、肝腎のθの値がわからない。そこで、東大生は、1:1:√2の二等辺直角三角形(角度は45°)と、2:1:√3の直角三角形(角度は30°)と比較した。45°のときは、円が4個、30°のときは6個の円を配置できる。

45°>θ>30°4個と6個の間をとって、答えは「5個」

マス北野&ポヌさんの答え
ポヌさんの答え 5個
マス北野の答え 4個

マス北野とポヌさんも同様に考えたが、答えがわかれてしまった。ポヌさんの計算も、結局、30~45°の間というアバウトな証明しかできなかった。マス北野は「5個入る」というのは、ひっかけだと言う。最後は勘で、4個という答え。

正解は「4個」。正解者はマス北野だが、タイムは5分42秒で、コマ大フィールズ賞のトロフィーには、坂本剛社長の名が刻まれることになった。

中村亨センセの「美しき数学の時間」

半径2の円と半径3の円が接しているとき、ふたつの円の中心を結ぶ線と、接線のなす角度をθとすると、2θが円1個分になる。

図(3)

東大生チームが比較したように、45°なら、円が4個配置することができる。

図(4)

45°>θなので、4個以上配置できることは明白だが、はたして、円5個を配置することができるのか?

図(5)

というわけで、正五角形の黄金比を使うと、円を5個配置できないことを証明できたんだね。

図(6)

ちなみに、黄金比を使わずに、cos 36°を求めようとすると、かなり大変なことになる。中村センセのホワイトボードを見たとたん、「うへ~」と驚嘆とも、諦めともとれる溜息がもれた。番組内では時間的制約があり、解説はなし><; でも、せっかく中村センセが書いてくれた板書なので、書き写しておこう^^;

図(7)

図(8)

ガスコン爺のどーでもいい話

爺は、今回の問題は簡単に解けたぞ。たまたま「数検に挑戦」の回で、3:4:5になる「エジプトひも」の図版を描いたので、3:4:5の直角三角形の角度が約36.87度であることを覚えていただけなんだけどね。これって反則かな^^;

図(9)

asin(アークサイン)は、たとえば、sin θ=3/5になるような、θを求める、逆三角関数。戻り値は弧度(ラジアン)なので、角度に変換。角度がわかれば、5個入らないことが一目瞭然だ。

≪参考≫
2008年 九州大学(理系)問題解答

※たけしのコマ大数学科の「過去問題」はこちらから。
コマ大数学科:2009年度全講義リスト
コマ大数学科:2008年度全講義リスト
コマネチ大学数学科:2007年度全講義リスト
コマネチ大学数学科:2006年度全講義リスト

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