今日は「たけしのコマネチ大学数学科」は休講。代わりに弾さんが11月22日の記事「直感的な定理の反直感的な帰結」で問題を出してくれたので、考えてみよう。
最後に問題。妻と私は誕生日が同じなのだが、カップルどおしの集まりにおいて、何組以上のカップルがいれば我々のようなカップルが一組以上含まれるでしょう?
この問題を解く前に、竹内薫センセの「頭がよみがえる算数練習帳」で出されている問題を考えてみてほしい。
30人のクラスの中で、ふたりの誕生日が同じになる確率はどのくらいでしょう?
誕生日が一致する確率は、1(100%)から誕生日が一致しない確率を引いたものと考えることができる。
つまり「=1-(364/365)」、3人なら「=1-(364/365)×(363/365)」。30人の場合は……。
こんな計算をすることを考えただけで、脳のブレーカーが落ちて、真っ暗闇の脳停止状態に陥ってしまう。そこで、コマ大数学研究会らしく、あれこれ考えず、まず体を動かしてみよう。

エクセルのA列1行目に「364」と入力し、2行目に「363」と入力。この2行分を選択して、オートフィルで29行目まで連続入力する。

30行目に1行から29行までの数値を掛け合わせる関数、「=PRODUCT(A1:A29)」と入力する。B列の30行目には「=365^29」(365を29回掛けた数)と入力。どちらも、あまりに大きな数なので、表示できず、指数形式で表示される。ちなみに「5.94803E+73」とは、「5.9…」を約「6」とすると、その後ろに「0」が73個つく数だ。こうなると読み上げることも難しい。
話を戻すと、A列は「分子」、B列は「分母」に分けて積を計算したので「=A30/B30」とすると約「0.3」つまり、誕生日が一致しない確率は、約30%。誕生日が一致する確率は「=1-A30/B30」で約70%ということになる。
1クラス30人の中で、誰かと誰かさんの誕生日が一致する確率は、予想(直感)に反して意外にも大きい……というのが、この問題の趣旨だ。
そこで、冒頭の弾さんの問題に戻る。これを確率の問題としてとらえると、カップルのふたりの誕生日が一致する確率は「1/365」であることは明白(うるう年は考慮外)。同じ結果を導くのに、わざわざ式を「=1-(364/365)」などと複雑にする必要はない。つまり、どのカップルも誕生日が一致する確率は、1/365なので、365組のカップルを集めたら、そのうちの1組くらいは、同じ誕生日のカップルがいると考えてもいいんじゃないの。弾さん夫妻と同じ誕生日のカップルとは、一言も言っていないので、どんな誕生日だろうが、とにかく誕生日が同じカップルがいればいいのだから。
で、もしも、これを確率の問題として捉えないとどうなるか。「サイコロを振って『1』の目が出る確率は?」と聞かれれば「1/6」だが、「サイコロを何回振ったら『1』の目が出るでしょう?」と聞かれたら、予想や直感に反しても「実際、やってみないと、わからない」と答えるしかない。