■コマネチ大学数学科36講:フラクタル

マス北野によると、映画「TAKESHI’S」の元タイトルは「フラクタル」だったとか「たけしのコマネチ大学数学科」第36講。

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問題:以下の規則に従って白玉と赤玉を64段まで並べるとき、必要な赤球は何個でしょうか。
規則
1:1段目に白玉を置く
2:2段目以降、両端には白玉を置く
3:3段目以降、斜め上2個が同じ色なら赤だまを、違う色なら白玉を置く

というわけで、コマ大数学研究会にならって、ひたすら並べてみるものの……。32段目で挫折;;

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8段目までで白玉は27個、64段では、この形が27個あり、27×27で白玉は729個。玉の総数は「n+(n+1)/2」で、64*65/2で2080個、2080-729で、赤玉の数、1351個が求められる。

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竹内薫センセの「美しき数学」の時間では、もっと簡単に求める方法を紹介していた。すべてが白玉になる段に注目すると、1,2,4,8……段。このときの白玉の総数は、1,3,9,27……と3倍になっている。

パスカルの三角形」の奇数、偶数を塗り分けると、シェルピンスキーのギャスケットになる話は、以前のエントリーで書いた。

●マンデルブロ

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マス北野もマンデルブロやフラクタルにはまっていたことがあるそうだが、私も、十数年前、はまっていたことがある。当時は、書籍などに載っていたプログラムを参考にして、「X68000」というパソコンのBasicで描いていたのだが、描画が遅くて、その後、Visial Basicに直して描いたりしていた。「日経デジタル大事典」の記事を書いたとき図版として使用した画像は残っていたものの、プログラムは残っていない;;

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マンデルブロ図形の細部に入り込んでいくと、行けども行けども果てしなく、不思議な図形が現われる。

●Flashでシェルピンスキーのギャスケットを描いてみた。

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手書きでは、正確な正三角形を描くのが難しいため、最初の三角形を、Action Scriptで描く。Action Scriptで描いたのは2フレームまで、あとは、これを断片のひとつとして、シンボル化し、手作業で貼り付けた(^^;

■コマネチ大学数学科35講:ペンタゴン

 昨日、酔っ払いながら作成した「Google入社問題」のActionScriptは、ループ回数を変更していなかったことが判明;;でも、それを修正しても正解にたどりつかない「コマネチ大学数学科」の第35講。
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今回の問題は、図のように紙テープ1本を5回結んで正五角形を作り内側が正十角形になるようにします。テープの幅が2cmのとき、必要な紙テープの長さは何cmでしょうか。小数点以下を四捨五入して整数で答えなさい。

 この問題を入学試験とか入社試験とかで出されたら、私には絶対解けない。問題の正五角形折り紙の展開図(もちろん一本のテープなのだけれど、その折り目)を頭の中だけで描ける人は、そういないのではないかと思う。実際に紙テープを結んで、それを展開すれば、話は別。でも、紙テープの結び目がちゃんと正五角形になるように折ることは意外と難しい。手元にあった割り箸の袋でやってみたが、折り目の角度などに気をつかって慎重にやらないと、なかなかキレイな正五角形にはならない。それは図を描くときも同じ。じつにアバウトないいかげんな図になってしまった。
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 で、折った紙テープを広げると、結び目に4つの台形、辺にあたる部分も同じ形の台形がつながることがわかる。つまり、この正五角形の折紙は、25個の台形が交互につながった形になる。
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 ひとつの台形の長さを求め、それを25倍すればいい。正n角形の1つの内角は、(n-2)/n*180°これに5を代入すると「108度」。108-90で三角形の尖がった部分の角度は18度、直角三角形のもうひとつの角は、72度になる。あとは、三角関数で計算するだけだ。
a=2/sin(72)で、2.102924448
b=2/tan(72)で、0.649839392
(a+b)*25=68.81909602
答えは、約69cmになる。

 「エクセル」で計算するときは「=2/SIN(RADIANS(72))」のようにラジアン値に変換してから三角関数に渡すことを忘れないようにしましょうね;;

 さて、今月いっぱいの締め切りを抱えている私としては、編集者の目が怖いので、このへんで……。

■コマネチ大学数学科34講:素数

部屋の電灯つけっ放し、テレビつけっ放しで、酔いつぶれて寝ていたが、番組が始まると、ハッと目が覚めた「コマネチ大学数学科」の第34講。もちろん、前回の轍を踏まじと、しっかり録画予約してあったのだが、朦朧とした頭で番組を見終わると、再び夢の中へ……。夢の中では、なにやら難しい数式が出てきて「わかったぞ!」と叫んでいたが、それがなんであったか覚えていない。

問題は、隣り合う数の和を下図のように加えていく作業を1万回繰り返し行ったとき「101」という数は、何回出現するでしょうか。

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番組では触れられていなかったが、これは「チューリング・マシン」ではないかと思う。チューリング・マシンとは、コンピュータが登場する以前の1937年、アラン・チューリングが発表した「計算可能な数-決定問題に対する応用」という論文に登場する仮想的な装置のこと。

チューリング・マシンは、マス目が書かれた長~~い紙テープと、ひとマスごとに移動できるヘッドから出来ている。ヘッドはマス目に書かれている記号を読み込んだり、書き込んだり、消去することができると想定されていた。なにせ、仮想の装置なので現実にそういう装置があったわけではない。

アラン・チューリングは、こんな簡単な仕組みの装置でも、命令次第でさまざまな演算ができることを証明して見せたんだよね。これがコンピュータの登場につながった。昔の映画などに登場するコンピュータはオープンリールのテープ(外部記憶装置)がガチャガチャと動いている映像があるでしょ、そんなカンジ。

チューリング・マシンのヘッドは、マス目の数字を読み込んで、足し、書き加えていく。テープを巻き戻して、最初からもう一度……さて、この作業を1万回繰り返すと「101」という数は何回出現するか……という問題に置き換えられる。

コマ大数学研究会は、手作業でテープに数字を書き、足していった。最初の「1、1」と書かれたテープを1本目とすると、14本目で「40」個という答えを出した。このときのテープの長さをチューリング・マシンのマス目の数で表すと「2^(14-1)+1」で、8193となる。8193個のマス目の中に「101」は40回出現したというわけだ(コマ大数学研究会が計算ミスをしていないと仮定しての話^^;検証はしていない;;)。

無理やり、ひとつのマス目をコンピュータのメモリ(1バイト)に対応させてみると、8193バイト、約8キロバイト。日本で組み立てキットの「マイコン」が登場したときは、確かメモリが8キロバイト程度だった。しかし、この計算を1万回ではなく、100回繰り返したとしよう。そのとき必要なメモリはどのくらいになるというと……。
「2^(100-1)+1」で「6.33825E+29」。これをテラバイト(10^12=1兆バイト)で割ると、63京テラバイトにもなってしまう。1万回なんて、とんでもない。どれだけ長いテープを用意しなきゃならないの! 体当たりのコマ大数学研究会にとっては、酷過ぎる;;。

で、マス北野は、今回も冴えていた。3、5、7などの素数の出現数は「n-1」になっていることを発見。答えは「101-1」で「100」。東大生コンビは時間切れで、マス北野、ただひとりが正解した。

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竹内薫センセの「美しき数学」の時間では、この問題の解法を「ユークリッドの互除法」(参照:~さんすう・数学のお勉強~)を使って解説。素数を「n=a+b」のように表すと、必ず、aとbは互いに素(最大公約数が「1」)になるという。通常の約分法ではないが、例えば「7」を「5+2」のように分けて、小さいほうの数を残し、大きい数から小さい数を引くと「3,2」のようになり、最終的に「1,1」となる。これはちょうど、問題を逆のぼる形になる。「7」を「a+b」のような形にできる組み合わせは「6,1」「5,2」「4,3」「3,4」「2,5」「1,6」の6通り。つまり「101」の場合は、「101-1」で「100」個ということになるらしい。

番組の冒頭で、980万桁の素数を紹介していたが、竹内薫センセ曰く「素数は大きな広がりを持っている。宇宙が素粒子で出来ているように、数学では、素数が重要な存在」と。番組では、素数を「素敵な数」と表現していた。数学に素養のない私は、素敵な人ではなく、ただの「素人」(シロウト)だ^^;

竹内センセの「薫日記」の1月17日のエントリ「重版おめでとう!」で中村亨センセの「数学21世紀の7大難問」の重版が決定したことを知り、これを機会に「薫日記」から注文した。まだ届いていないのだけれども、私もアフィリエイトをば……。

数学21世紀の7大難問
数学21世紀の7大難問

著者:中村 亨
販売元:講談社


■コマネチ大学数学科33講:中国人郵便配達問題

シャブリの気になったもの:コマネチ大学#33

酔いつぶれて録画予約を失敗してしまった「コマネチ大学数学科」だが、上記のブログに問題と、非常に丁寧な解説が載っていた。詳細は上記ブログを参照してもらうとして、酔っ払い爺としては、実践あるのみ。ホントにそうなのかを検証してみよう。

「スタート」ボタンを押してから、キーボードの方向キーで郵便配達夫を操作してほしい。

問題は「郵便局から出発して、すべての家に郵便物を配達し、再び、郵便局に戻る、この間の移動距離が最小となるような経路を見つけよ!というもの。小さいひとマスの辺を「1」としたとき、最短経路の移動距離を求めることになる。

で、経路を最短にするには、できるだけ、同じ道を通らないこと。一筆書きができれば(無駄な移動を省くという意味で)それに越したことはないのだが、どうやら、この図形は一筆書きができない。ならば、どうすればよいのか、というのが、この問題のポイントだ。

重複して通る経路をどこにするか。「ケーニヒスベルクの橋」問題で、オイラーは、一筆書きができる必要十分条件として、「すべての頂点の次数が偶数」または「次数が奇数の頂点の数が2で、残りの頂点の次数はすべて偶数」のいずれかとした。つまり、奇数点を偶数にすれば、いいんだよね。そう考えると、自ずとバイパスを設置するポイントが見えてくる。

そんなわけで、パターンを知ってしまうと、意外と簡単な問題。このバイパスを設置する(二度通る経路を決める)と、スタート地点がどこにあろうが、最短距離ですべての家に郵便物を配達できる。この問題の答え(1マスの辺を1とすると)、最短距離「28」で、すべての家に郵便物を届け、出発点の郵便局に戻ってほしい。

■郵便配達夫は、N!度ベルを鳴らす

ついにやってしまった;;これまで、出来の悪い生徒ながら皆勤賞だけが唯一の取得だったのに、録画予約を失敗して受講できなかった「コマネチ大学数学科」。とくに今回の問題は「郵便配達問題」ということで楽しみにしていただけ残念だ。

「郵便配達問題」とは、郵便物を配達するのに最短のルートを求める問題だ。郵便局をスタート地点とすると、配達する家が5軒なら、その経路は、5!=120通り。10軒なら、10!=約360万通り……これが1000軒とか、1万軒となると、すべての経路を計算して答えを見つけるやり方では対処できなくなる。

現在のノイマン型コンピュータを使う限り、計算可能な問題(P)と、検算可能な問題(NP)は、等しくないと思われている。「P≠NP予想」は、ミレニアム懸賞問題のひとつで、賞金100万ドルが懸けられている。

量子コンピュータなどが作られ、もしも、この問題が「P=NP」であることが証明されたら、現在のRSA暗号などは、その安全性を確保できないことになっちゃう。

ということで、「コマネチ大学」の10分で解ける「郵便配達」問題とは、いかなるものだったのか……(orz)。

■良い子はマネしちゃいけない回答篇

コマネチ大学数学科マス1グランプリ
●ROUND1 問8
「365/1365=」を約分しなさい。

あの「数学オリンピック」の2年連続の覇者、西本さんでも「適当に割算しました」というのに、こんな解法があったとは……^^;。

シム宇宙の内側にて:良い子は真似しちゃいけません

GIGAZINE:何もかもが間違っている数学の回答

上記ブログで紹介している回答例には、意表をつかれた。あまりに面白かったので、応用問題を作れないか……とゆーか、これが可能な仕組みを考えてみた。

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例題を踏まえて、以下の分数を約分しなさい。
で、約分というのは、分母と分子を最大公約数で割ること。例題も含め、問1と問2の最大公約数は「91」、そして分母と分子の数の差は「11」になっている。消せる数字を足すと「9」になる。問3の最大公約数は、すぐにわかるように「1001」だ。つまり「11*91」というわけ。もちろん、分母と分子の共通する数字を消せば「答え」になるのは特殊な場合なので、良い子はマネしてはいけない^^;

世の中、ホントに「数学ブーム?」なのかどうかは、知らないけれど、今年のお正月「コマネチ大学数学科マス1グランプリ」の前日には「スージー大好き」という番組が放映された。マーチンゲール法を応用し「1年間で100円を900万円にする方法」や「キレイになる黄金比」などを紹介していた。例えば、女の子にアタックして「イヤヨ(184)と断れても、あきらめずに6回アタックすれば「184×6=1184(イイワヨ)」になるとか、どうにも、バラエティ番組としては、フツーなんだろうけれど、おもしろくない。番組は「数字」にかけた「スージー」という「数字の女神?」(書くのも恥ずかしい)が進めていく構成なのだけど、ナレーターの声にイラついてしまった。

ちなみに「マーチンゲール法」は、竹内薫センセの「数学嫌いが治る本」でも紹介されている。ようするに配当が2倍以上の場合、負けたら、その額の倍を賭けていくというもの。何度負けても、このルールで賭けていく。一度でも勝った時点で、これまで負けた分よりも配当のほうが上回る計算。勝ったらリセットして、最初の状態からスタートする。番組では、これを競馬に応用。1番人気の単勝馬で、配当が2倍以上の場合、馬券を買い続ける。最初は100円、負けたら次のレースは倍の200円をつぎ込む。去年1年、JRAのレース結果を元にして、このルールを適用して計算すると、最終的に900万円の儲けになったらしい。なんか、ウェブやダイレクトメールにありがちな「必勝法」のような胡散臭さを感じる。興味の対象が数学的な面白さではないのだ。このルールの盲点は、誰でもわかるとおり、資金が潤沢でないとできないこと。去年のデータでも、ある時点を捉えると、馬券の購入額は1400万円にもなったらしい。破産してしまったら、このルールは適用できない……ということが前提のはずなのに、なんか詐欺の謳い文句のようなイヤな気分にさせる。

いっぽう、「たけしの誰でもピカソ」は、数学ネタの第3弾。数学の伝道師「桜井進」の数学マジック「もの言う電卓」。電卓には「15873」と入力されている。これにあなたの好きな数字を掛ける。ゲストの「高木美保」は「9」を掛ける。桜井進氏はもちろん、見ていないのだが、計算結果に「7」を掛けると……。

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というわけ。今回は、魔法の呪文「石には粉」を披露。「石には粉(142857)」という数にさまざまな数を掛けてみる。

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掛ける数が「6」までの場合は、「142857」をシフトした形になる。「8」以降は、最初の数と最後の数を足すと、やはり「142857」となる。文字どおり数のマジック。楽しんでもらうだけで、人間の欲につけいるようなギミックはまるでない。

番組は、これから、東京工業大学の黒川信重教授と番組では御馴染みの音楽家、倉本祐基(本名:北野実)氏を招いて、「リーマン予想」の話へと移る。このふたり、じつは高校の同級生で、数学の問題をエレガントに解く雑誌のコーナーの常連さんだったという。高校の数学の成績では、黒川氏よりも上だった倉本氏であったが、ふたりにとって高校の数学の問題では、簡単すぎて、優劣はつかなかったという。倉本氏によると、数学では黒川氏にかなわないと思い、音楽家の道に進んだとのこと。黒川氏は「リーマン予想」の登山家としては、世界でも、もっとも高く登り詰めている数学者。世界の数学者がリーマン山の3合目あたりを右往左往している中、5合目を突破する数学者として注目を浴びているらしい。

「オイラー」は1735年、自然数を無限に足していく「バーゼルの問題」を「複素関数」を用いて、ある値に収束することを発見し、これが「ゼータ関数」につながる。
●バーゼルの問題
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●ゼータ関数
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●リーマン予想
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……って、たんなる酔っ払いの爺には、なんのことかわからないが、オイラーは1771年、全盲になるものの、1775年には「月の運動に関する論文」を執筆したという。
番組として「スージー大好き」と比較しても、始まらないし、視聴率がどうだったかということにも関係なく、私には、なんとなく無限のかなた(永遠)に魅かれる数学者の気持ちは感じられたし、おもしろかった。とくに、「ゼータ君はどこにもいるんですよね」という桜井氏のフリに黒川教授の「ええ、自然界のさまざまな場所にいるという説があります。私の地元は栃木県なのですが、言ってしまいますと、華厳の滝の滝壺にいると……」という答えが印象に残った。「なぜ、ゼータは滝壺に潜んでいるのか」こーゆー話なら、2時間でも3時間でも、じっくり聞きたいと思うのは私だけだろうか^^;

夕方から「いいちこ」気分に浸かってきたので、毎度のことながら、今夜、深夜の「コマネチ大学数学科」までは、もちそうもない;;録画予約して寝ようっと……。

■小飼弾さんの回答篇

404 Blog Not Found:
コマネチ大学数学科第一回M-1グランプリ回答篇

●FINAL ROUNDの問題

1000本の棒を使って正四面体を作り、積んでいくと、何段になるでしょう?

小飼弾さんの回答は、正四面体165個(990本の棒)を積み上げると、正四面体1個と4本の棒が残る。この最後の1個を頂上に乗せて10段としてしまうというもの。コマ大数学研究会が使っていた、ロウを溶かして、固めて接着する工具(?)を使えば、なんとかなりそうだ。

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さらに、正四面体の底面の部分を貼りあわせた形を作る。底面の3本の棒を共有した正三角形の六面体で、棒の数は9本。これを縦に積み上げる。正三角形の六面体111個(999本の棒)×2段で222段。この形を縦に積み上げるのは、超強力な接着剤を使っても難しいと思うが、やってやれないことはない。

なぜ、このような解答が可能かというと、問題では、積み方を限定していないから。問題に一言、文を追加して、次のようにすれば、よかったのではないかと思う。

1000本の棒を使って正四面体を作り、これをピラミッドの形になるように積んでいくと、何段になるでしょう?

これなら、1枚のフリップに収まると思うのだが……。でも、ピラミッドを中抜きする方法があるのか><;

弾さんの回答篇は、私のエントリを待っていてくれた節がある(私が勝手にそう思っているだけ^^;)。弾さんは、とっくに回答篇を用意していたはず。Shadeの図版作りに梃子摺り、記事を公開したのは、朝方の時間にもかかわらず、その10分後には、「おいおい、いつまで待たせるんだよ!」とばかりに回答篇が公開された。しかも、私のブログへリンクまで貼っていただいていた。そんな心優しき弾さんへの感謝を込めて、ROUND2の図形問題、マス北野の解答篇を載せておく。

■コマネチ大学数学科マス1グランプリ

 昨年末の「M-1グランプリ」は「チュートリアル」が獲ったけれど、もう一つの「M-1」、「マス1グランプリ」は誰の手にと楽しみにしていた「コマネチ大学数学科マス1グランプリ」。期待に違わず、かなり楽しめた。しかし、「いいちこ」漬けの頭では、リアルタイムに参戦できるわけもなく、録画した番組であらためて問題を振りかえってみた。

●ROUND1 計算問題

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計算すれば答えは出るのだけれど、いかに式を簡単にするのかがポイント。私がパッと答えることができたのは、問9だけだった;;

●ROUND2 最速図形バトル

計算問題で出遅れたマス北野だったが、さすがに図形問題では最速。しかも、上のFlashで紹介している解法は、ハサミを4回入れなければならないが、マス北野は、たった2回ハサミを入れるだけで、正解した。じつは、2番目に速かったのは、西本さん。しかし、思考速度は速いものの、不器用ぶりを発揮し、図形を並び替えることに手間どり、東大生チームに先を越されてしまった。ツッコミどころも満載の西本さんであった。

●FINAL ROUND 一騎打ちバトルロイヤル
マス北野と数学オリンピックの2年連続チャンピオン、西本さんとの一騎打ちとなった。
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問題は「1000本の棒を使って正四面体を作り、積んでいくと、何段になるでしょう?」というもの。ひとつの正四面体を作るには、6本の棒が必要。これを1000本以内で、図のように積み上げていくと、何段作ることができるかということ。

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1段目は正四面体が1個。2段目は3個。3段目は6個……と続く。関係ないが、「Shade」で正四面体を描くことが、こんなに大変だとは思わなかった。で、1つの正四面体を描いたなら、あとは、コピーして貼り付けるだけなのだが、これも、意外とめんどうくさい。2段目で挫折……。それを考えると、コマ大数学研究会のがんばりは、スゴイ!と思う。

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というわけで、エクセルで表にしてみた。段ごとの正四面体の数は、1段目からその段までの数を足したものになる。セルB4に「=SUM($A$3:A4)」として、オートフィルで以下の行を連続入力する。合計の欄も同じく、セルC4に「=SUM($B$3:B4)」とする。この合計に6を掛ければ、棒の数が出る。9段目で990本になり、10段目では1000本を超えてしまう。

これは、マス北野の方法と同じだ。西本さんは、最速ですぐにこの問題を解く公式を導き出した。ただ、番組では説明の部分がカットされていたのが残念だ。

美しき数学の時間では、竹内薫センセが解説。この問題、パスカルの三角形を用いても解くことが可能とのこと。

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正四面体の合計数が表れているではないか。しかも上から数えてみると、9段目が「165」になる。まるで、手品で「引いたカードをあらかじめ予言しておきました」みたいな、パスカルの三角形。パスカル、あんたはスゴイ! ふと、今、思いついたのだけれど「同じ大きさの鏡餅を3つ並べて、その上に1個置く。このような形で10段の鏡餅を作るには、鏡餅は何個必要ですか?」という、お正月らしい問題ならば、コマ大数学研究会は、これほど苦労しなかったはず……あ、これじゃ、番組として成り立たないのか^^;
でも、段ごとに必要な正四面体の数を考えるとき、鏡餅で考えると、わかりやすいかもよ。

■ゆく年くる年

 アマゾンに予約注文していた「コマ大数学科特別集中講座」と「脳をシゲキする算数ドリル」が届いた。

 「たけしのコマネチ大学数学科」は、深夜、30分の放送枠の中に、問題の提示、解、答、そして「美しき数学」の時間を収めなければならないため、どうしても説明を省かなければならないところがある。そういった番組ではカットされた部分を含めて、これまでの問題を収録したアーカイブとしての「本」を期待したのだが、ちょっと違ったようだ。

 これは、私の期待であって、そうはならないだろうというのは、ある程度はわかっていた。だって、そういう本は、竹内薫センセや中村亨センセ自身が書かないと成り立たないだろうから……。

「コマ大数学科特別集中講座」は、160ページのうち、番組で取り上げた問題を紹介している部分は38ページ(全体の約4分の1)。全体の60%を占めているのは、ビートたけしと竹内薫センセの対談だ。対談は対談で面白いのだが、過去の問題と解法を、本というすぐに参照できるような形で残しておきたいというのが、私の正直な気持ち。これが、全体の60%(5分の3)が過去の問題、4分の1が対談だったら、大満足だったのだけれど……。

「頭をシゲキする算数ドリル」は、木村美紀さんの本だが、問題やコラムの作成には「東大算数研究会」の協力を得ているとのこと。全60問。奇数ページに問題、めくった偶数ページに解答という形で進んでいく。

 ところで「コマ大数学科特別集中講座」の中で木村美紀さんの記事(3ページ)があるのだけれど、その中で印象に残った言葉があった。

数学はダイエットに似ています。まず第一に、根本にあるのは”美の追求”だという点です。第二に、結果を出すためには、近道もあれば遠回りもあるという点です。第三に、努力したプロセスが自分を磨く経験になるうという点です。

 まるで、「手術台の上のコウモリ傘とミシンの出会い」のように、数学とダイエットを結びつけるあたりが、お見事。現役東大生の木村美紀さんらしいなぁという印象を強く持った。

 なにはともあれ、本ブログを訪れてくれた皆様、ありがとうございました。大晦日は、デジタル「除夜の鐘」でも聞きながら、「算数ドリル」で年を越そうかな……というのは、ウソ。貧乏ライターには、大晦日もお正月もないのら。

■コマネチ大学数学科31講:チェバの定理

WOWOWで「大停電の夜に」を放映していた21日の夜、ココログの管理画面は「大停滞の夜」。まったくつながらない。データサーバーに高負荷がかかっていたとのことだが、どうなることやら「たけしのコマネチ大学数学科」第31講、「チェバの定理」。

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今回の問題は「一本の定規を使って正方形の辺の中点を作図しなさい」というもの。ここで言う「定規」とは、古代ギリシアで使われていた「定木(ていぼく)」とする。たんに直線を引く道具で、目盛りはない。つまり、長さを測っちゃダメよ、ということ。

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「チェバの定理」ということで、さっそく「千葉」の海岸にとんだコマ大数学研究会の面々。砂浜に描いた正方形が波に消されるなど、苦戦を強いられたが、「漁師力学」により、正方形の一辺と同じ長さの定規を天秤(てんびん)棒のように使い、バランスがとれた支点が左右の中点、つまり辺の中点とした。天秤棒の両端B、Cに、MとLの重しを載せ、バランス点をPとすると、(L/M)=(BP/PC)になる。

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これは「メネラウスの定理」からも証明できるが、(AR/RB)×(CQ/CA)が1であることを証明しなければならない。

「チェバの定理」は、三角形ABCの内部に任意の点Oをとり、AOとBCの交点をP、BOとACの交点をQ、COとABの交点をRとすると、「メネラウスの定理」から、それぞれの三角形の面積の比率を証明したもの。同時にもし、AR=RB、BP=PC、CQ=QAならば、交点Oは、三角形ABCの重心となる。その点「漁師力学:ダンカンの定理」は、いいところを突いているのだ。

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そんなわけで、正方形の一辺を2等分する方法は、下図のようになる。ポイントは辺BCとRQは、平行だということだね。逆にBP=PCなら、辺BCとRQは平行であることを「チェバの定理」で証明できる。

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「コマネチ大学数学科」の年内の講義はここまで。来年1月4日の深夜(1月5日 0:55~1:55)、「コマネチ大学数学科マス1グランプリ!!数学王決定戦!」を楽しみにしよう。マス北野と竹内薫センセの対談を含むテキスト本「コマ大数学科特別集中講座」は予約開始。また、番組に登場している東大生、木村美紀さんの「脳をシゲキする算数ドリル」が発売中とのことだ。

コマ大数学科特別集中講座
コマ大数学科特別集中講座

著者:ビート たけし,竹内 薫
販売元:扶桑社

脳をシゲキする算数ドリル
現役東大生プロデュース
脳をシゲキする算数ドリル

著者:木村 美紀
販売元:ダイヤモンド社