■コマ大数学科193講:生成元

臭いの元を消すのは「消臭元」、では「生成元」とはどんな意味?「たけしのコマ大数学科」

問題:1から100までの100個の山に番号と同じ枚数のコインが積んである。1つの山、または複数の山から同時に同じ枚数のコインを取り去ることを1回の作業と考える。100個の山、すべてのコインを取り去るには、この作業を最低何回行えば良いか?

図(1)

今回の問題をFlashにする際、コインの山を100個表示するのはスペース的に無理なので、簡略化して10個の山にしようかと思ったが、なんとなく、それでは問題の趣旨に反するような気がして、コインの100個の山を棒グラフのように表示してみた。コイン100個の山を横から見たとイメージしてほしい。ステッパーの上下矢印でコインを取り去る数を設定したら、ボタンを押す。今回の問題のポイントは、複数の山から同じ枚数のコインを取り去るのを1回の作業としているところ。上のFlashでは「すべての山から」とあるけれど、もちろん設定したコインの枚数が山のコインの枚数より大きい場合は、その山からはコインを取り去ることはできないよ。

コマ大数学研究会は、ゲームセンターのメダルゲームでコインを増やすことから始めるが、世の中そんなにあまくない。あっという間にコインはなくなる。

結局、ソースせんべいを1枚、2枚、3枚…と100個の山を築いて検証開始。つまり、1~100までのソースせんべいの総和は、5050枚となる^^; 取り除いたソースせんべいは、もちろん食べる。単調な味のソースせんべいでは、飽きてしまうので、さまざまなちょい足し食材を用意した。

しかし、ちょい足し食材で味を変えても、ひとり200枚(4人で800枚)ほど、食べたところで、もう限界。スタッフ総動員で食べたが、5050枚の半分ほどでギブアップ。とりあえず、食べるのはあとまわしにしてソースせんべいを取り除いていく……。

コマ大数学研究会の答え 14回

ちなみに、ソースせんべいのちょい足し食材ランキング第1位は「なめ茸」だった^^;

マス北野&ポヌさんの答え 7回

ポヌさんは、1~100枚のコインの山から、半分の50枚→さらに半分の25枚→13枚(25の半分は12.5だが、整数に繰り上げる)→6枚→3枚→2枚→1枚と取っていく方法。手順としては7回となる。

爺は、最初、半分ずつにするのだから、1回目で1~50枚の山が2つ、2回目で1~25枚の山が4つ……と単純に考えてしまったが、すぐに間違いだと気付く。1回目でコイン50枚の山は0枚になる。手順を追って検証してみよう。

図(2)

マス北野は、ポヌさんとは、まったく違う方法で7回という答えを出した。マス北野がイメージしたのは「天秤ばかり」。

上の「天秤ばかり」のFlashは、当ブログの過去記事「天秤パズル」で紹介したものを再掲載。「X」のオモリは、1~100gまで乱数で決定している。この「X」の重さを測るには、何グラムのオモリが何個必要かという問題。マス北野がちらっと言った「3の累乗」のオモリの場合も紹介しているので、参照してほしい。

マス北野は、2^0=1から、2^6=64までの7種類のオモリがあれば、1g単位で100gまでの重さが測れると考えた。つまり……。
1回目:2^6=64
2回目:2^5=32
3回目:2^4=16
4回目:2^3=8
5回目:2^2=4
6回目:2^1=2
7回目:2^0=1
というわけで、7回。

木村美紀&山田茜さんの答え 6回

さすが、東大生、7回より少ない解法を……と思いきや、たんなる数え間違いで、実際は7回。解法は、ポヌさんと一緒。

中村亨センセの「美しき数学の時間」

正解は「7回」

マス北野方式
64→32→16→8→4→2→1 で7回。
ポヌさん方式
50→25→13→6→3→2→1 で7回。

今回の問題のポイントは「二進法」
100を二進法で表すと、
100(十進法)=1100100(二進法)
7桁なので、最小7回ということがわかる。

つまり、100以下の数を二進法で表したとき、1のある桁の数を取っていけばいいことになる。
1000000(二進法)=64(十進法)
0100000(二進法)=32(十進法)
0010000(二進法)=16(十進法)
0001000(二進法)=8(十進法)
0000100(二進法)=4(十進法)
0000010(二進法)=2(十進法)
0000001(二進法)=1(十進法)

100までの数(実際は127までの数)は、これら7種類の数(二進法でいうと7桁の数)を足し合わせることで表すことができるわけね。中村センセとしては、6種類(二進法で6桁)では、100までの数を表すことが無理だっていうことを証明してほしかったみたい。

で、今回のテーマの「生成元」だが、1~100の数は、最小7個の数の和で表すことができる。この7個の数を「生成元」という。

今回の問題を言い替えると「100までの数の加法的な生成元の最小の個数は7」ということになるらしい。

天秤ばかりで言うと「100gまで1g単位で測ることのできるオモリの数は、最小で7個」ということだね。

※たけしのコマ大数学科の「過去問題」はこちらから。
コマ大数学科:2009年度全講義リスト
コマ大数学科:2008年度全講義リスト
コマネチ大学数学科:2007年度全講義リスト
コマネチ大学数学科:2006年度全講義リスト

コマ大数学科DVD-BOXガイド


“■コマ大数学科193講:生成元” への3件の返信

  1. はじめまして
    最近は録画に失敗して、コマ大数学を見逃していたところ、このブログを発見し、拝見させて頂いております
    本当にありがとうございます
    少し気になった部分があるのですが、出演者の解答に関しまして、7回が最小となる証明や説明はあったのでしょうか?
    ブログを読ませて頂いている限りでは、出演者が、なんとなく感覚的に解いたら正解だった、というような印象を受けました
    (この問題の範囲で、考えられるすべてのパターンを試した結果、7回が最小だった…、なら納得できるのですが)
    個人的になのですが、そこが一番もやもやしております

  2. 数学苦手ノ助さん、コメントありがとうございます。
    記事から引用
    >100(十進法)=1100100(二進法)
    >7桁なので、最小7回ということがわかる。
    爺は、これで7回より少ない回数では無理という証明になっていると思い……中村センセの解説の一部を省略してしまいました^^;
    もう少し詳しく書くと、二進法は、位ごとに「1」があるか、ないか(0)で表されています。つまり、2通りですね。6桁(6回)では、2^6=64種類の数しか作ることができません(0を含めると、0~63までの数)。
    たとえば、十進数で57を二進数で表すには、
    57÷2=28と余り1
    28÷2=14 余り0
    14÷2=7  余り0
    7÷2=3 と余り1
    3÷2=1 と余り1
    1÷2=0 と余り1
    この余りを下から順に書いていけば「111001」と二進数になります。
    ポヌさんや、東大生チームのコインの山から半分の枚数ずつ取っていく方法は、ちょうど、十進数を二進数に変換するのと同じことをしているとも言えます。
    マス北野は、はじめから二進数が頭の中にあったみたいです。「111001」という二進数を十進数に変換するには、桁数をnとすると、2^(n-1)になります(0を含めるため)。
    「1」がある桁を見て行くと、
    2^5+2^4+2^3+2^0
    =32+16+8+1
    =57
    つまり、コイン57枚の山だけに限って言えば、32枚、16枚、8枚、1枚と取れば、コインの残りは0枚(すべて取った)ということになります。コイン33枚の山なら、32枚+1枚のように分解できます。
    ●二進数で取る場合
    (1)64枚取る→残りのすべてが、64未満
    (2)32枚取る→残りのすべてが、32未満
    (3)16枚取る→残りのすべてが、16未満
    (4)8枚取る→残りのすべてが、8未満
    (5)4枚取る→残りのすべてが、4未満
    (6)2枚取る→残りのすべてが、2未満
    (7)1枚取る→残りのすべてが、1未満
    ※コインの枚数は整数なので、1未満ということは0枚ということ。
    ●半分ずつ取る場合
    (1)50枚取る→残りすべてが、50未満
    (2)25枚取る→残りすべてが、25未満
    (3)13枚取る→残りすべてが、13未満
    ※(最大値÷2の切り上げ)
    (4)6枚取る→残りすべてが、6未満
    (5)3枚取る→残りすべてが、3未満
    (6)2枚取る→残りすべてが、2未満
    ※(最大値÷2の切り上げ)
    (7)1枚取る→残りすべてが、1未満
    取る枚数より、少ないコインの山から取れないわけですから、最大値の半分(端数が出た場合は繰り上げ)という取り方がもっとも効率的で、最短手順になります。

  3. Gascon 様
    丁寧なご返信を頂いたにも関わらず、何も返事をせず、失礼をいたしました。申し訳ありません。
    ただでさえ悪い頭に加え、三十路も間近にせまり、だんだん理解力がなくなってくる今日この頃です…
    私なりの解釈なのですが、この問題に限った場合では…
    「すべてのコインの山を取りきることができて」かつ「一番多いコインの山を、より少ない回数でとりきることができる」操作を考えたとき、
    コインを取る→1、コインを取らない→0と考え、2進表現と対応させると、7回目で100枚の山を取り終わると、0から99までのすべての数が2進表現可能なわけだから、すべての山のコインを取り終わっているはず
    コインは取るか取らないか?取るなら何枚か?という操作を繰り返すのだから、2進表現での桁数が最小回数となる…はず
    と妄想しております
    Gascon 様 のご説明を、いかにも私が考えました的な感じになっています…ご勘弁を
    出演者(特に解答者)が、この事をちゃんと述べているかいないかは、問題を早く解く以上に、解答者としての力量のようなものを表していると考えているもので、テレビで見れるときは、そういった部分を楽しみにして見ていたりします
    …傍から見ると、嫌なオジサンに成り下がっています、私
    コマ大数学は、良い番組だと思います。少なくとも私は、すごく好きです。
    あまり昔のものは見れていませんが、ただ、好きだからこそ、もうちょっと証明や論証を増やしてほしいなぁと思う部分もあります
    計算して答えを出すことは大切だと思うのですが、証明や論証にはそれ以上のものがあると思うのです
    丁寧なご返信、ありがとうございました
    これからも、ブログの方を拝見させて頂きたいと思います

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