■コマ大数学科186講:東北東に進路を取れ

ヒッチコックの「北北西に進路を取れ」ではなく、「東北東に進路を取れ」の「たけしのコマ大数学科」

問題:南北の方向に引いてある白線上の点Aから西へ5mの点でコインを投げ、表が出たら東へ1m、裏が出たら北へ1m進みます。白線に達するまでこれを続けたとき、点Aから2m北の点に達する確率を求めなさい。

※1982年 京都大学(理系)入試問題を参考

図(1)

コマ大数学研究会の検証

コマ大生は、地面に格子を描き、下のFlashのようにメンバー全員が何回目でゴールにたどり着けるか検証。あなたもコマ大生になったつもりで検証してね。ただし、罰ゲームはないので安心してほしい^^;

進む方向は北と東のみ、あと戻りはできないので、裏が3回出た時点でゴールにはたどり着くことはできない(もし、その先を続けたとしても、「不成功が1回」とカウントされるだけ)。問題はゴールにたどり着く確率だよ。コマ大生4人、それぞれがゴールにたどり着くまでの試行回数を全部足すと79回。よって答えは「4/79」。

衛藤樹さん&伊藤理恵さんの解法

衛藤樹さん伊藤理恵さんの東大生チームは、「スタート」の掛け声と同時にフリップに答えを書いた。コマ大生のVTRを見ている間に頭の中で計算していたみたい。

図(2)

スタートからゴールにたどり着くのに、コインを7回投げることになる。全事象は、2^7で128通り。コインの裏表によって、北か東が決まるので、7回のうち、コインの裏(北)が2回出ればよい。

ただし、これには、上図の赤い点を通る経路も含まれているので、ここを通る経路の組み合わせ数を引く。

答えは「1/8」の確率。ということなのだが……。東大生としては、めずらしいうっかりミスをしてしまったようだ><;

図(3)

「実際に図で確かめたら5通りあったので……」と言っていたのだが、表が連続して5回出て、白線上のA地点に達する場合も1通りと数えなければならない。つまり、白線を考えず、ふつうに図の赤い点を通るには、コインを6回投げて1回裏(北)が出ればよい。つまり、6個から1個を選ぶ組み合わせなので、計算するまでもなく「6通り」だということがわかる。

マス北野&ポヌさんの解法

東大生チームが「引き算」で考えたのに対し、マス北野&ポヌさんチームは「足し算」で考えた。つまり、問題図の白線に着いたら、そこで終わりなので、ゴールにたどり着くためには、そのひとつ手前の点(図の青い点)を必ず通る。青い点からゴールへ行く経路は1通りしかないので、確率は(1/2)。あとは、青い点までの確率を求めればよい。

図(4)

コインの裏表は(1/2)の確率、青い点に行くには、それを6回行うので、(1/2)^6=(1/64)だが、たとえば「裏裏表表表表」や「表表表裏表裏」でもたどり着く。ポヌさんによれば、これが8パターンあるので、(1/64)*8=(1/8)、これに最後の(1/2)を掛けると、(1/8)*(1/2)=(1/16)で、答えは「1/16」の確率。

図(5)

「表裏表裏表表」のように、6個の中から2個選ぶ組み合わせは、15通りとなる。

両チームとも、考え方としては正しかったのだが、経路の組み合わせ数の算出でミスしてしまった><; 正解は「15/128」で、今回は、正解チームなし。コマ大フィールズ賞も該当チームなしという結果に終わった。

竹内薫センセの「美しき数学の時間」

マス北野&ポヌさんが考えたように、ゴールにたどり着くには、ゴールから見て、西1mの地点にいなければならない。その地点に行くには、コインを6回投げて、表4回、裏2回が出ればオーケー。7投目は「表」が出なければダメ。

図(6)

オリジナルの京都大学の問題では、以下のようになっている。

図(7)

京都大学(理系)入試問題(1982年)
http://watana.be/ku/pdf/1982s_5.pdf

で、解答は上記のリンクを見てもらうとして、小問2の確率を最大にするには、A地点から何メートルのところをゴールに設定したらいいかという問題。番組では、竹内センセが「iPad」で二項分布のグラフを表示させていた。爺は、以下のようなグラフを描いて納得した^^;

図(8)

n=0,1,2…とnが増えるに従って確率は高くなり、n=3と、n=4のときが、同値でもっとも確率が高い。n>4では、逆に確率は下がっていく。

経路問題に関しては、以下の過去記事も参考にしてほしい。

≪参考≫
コマ大数学科167講:北大に挑戦

コマ大数学科167講(補習):経路問題

※たけしのコマ大数学科の「過去問題」はこちらから。
コマ大数学科:2009年度全講義リスト
コマ大数学科:2008年度全講義リスト
コマネチ大学数学科:2007年度全講義リスト
コマネチ大学数学科:2006年度全講義リスト

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