■コマ大数学科181講:GCD

GCDとは「Ganbare Coma Dai」の略ではなく、「Greatest Common Divisor」の頭文字をとったもので、最大公約数の意味だよ~ん「たけしのコマ大数学科」

問題:各桁の数字が相異な、どれも0でないような3桁の正の整数nがある。nの各数字を並べてできる6つの数の最大公約数をgとする。gとして考えられる最大の値を求めよ。
※2010年 日本数学オリンピック予選問題

いい加減な爺の作ったFlashでは、同じ数字を使っちゃダメとゆーのをチェックしていない。最大公約数を求める作業をFlashにやらせちゃうと、すぐに答えがわかっちゃうけれど、どーしてそーなるのか、法則を考えてね。

コマ大数学研究会の検証

コマ大数学研究会は、今回も「スパリゾートハワイアンズ」のある、福島県いわき市で検証開始。まずは、いわき市最大の野球場「グリーン・スタジアム」で相異なる3桁の数の組み合わせを紙に書き、それを野球場のイスに貼っていく。マスゲームのように「コマ大」の文字が浮かび上がるが、それは「Mass」であり、「Math」ではない(とツッコミを入れてみる;;)。

次に、いわき市市役所で「ジャンボの町」(イントネーションに注意)があると聞き、駆けつける。「ジャンボ・シュウマイ」「ジャンボ・トンカツ」「ジャンボ・ハンバーグ」「ジャンボ・メンチカツ」「ジャンボ・天丼」「ジャンボ・焼きスパゲティ」「ジャンボ・シュークリーム」を食べ尽くし、最後はギネス公認の世界最大の「大露天風呂」に浸かる。これまでコマ大生が堪能した、いわき市「最大」のものは、全部で9つ。これを答えにした。

コマ大生の答え「9」

マス北野&ポヌさんの解法

マス北野は、式を立てて問題を解こうとした。
3桁の数字を組み合わせてできる6つ数
(100a+10b+c),(100a+10c+b),(100b+10a+c)
(100b+10c+a),(100c+10a+b),(100c+10b+a)
を足し合わせると、222(a+b+c)になり、「222」を素因数分解すると、2*3*37*(a+b+c)になるが、この式からは最大公約数を求めることはできず、結局、考えられる最大の3桁の数「987」から、順に最大公約数を求め、「864」のときの最大公約数「18」がいちばん大きくなると考えた。ポヌさんも「18」という答えを出したが、その根拠が爺には、いまいち、よくわからない。たんに上記の式に具体的な数値を入れて確かめたという風に思えた。

マス北野&ポヌさんの答え「18」

木村美紀&山田茜さんの解法

木村美紀&山田茜さんの東大生チームは、まず、3桁の数がすべて偶数の場合を考えた。「2」「4」「6」「8」の中から3つの数を選ぶ。
246→2+4+6=12
248→2+4+8=14
268→2+6+8=16
468→4+6+8=18
3桁の数字を組み合わせて作る6つの数は、順番を変えても、共通する約数(足し合わせた数)を持つ。この中では、「468」の組み合わせのとき、最大になり「18」。

また、(abc)-(acb)のように、3桁の数字の下2桁を入れ替えたときの差が約数になることに気付いた。

すると、(10b+c)-(10c-b)=9(b-c)となり、最大公約数は「9」の倍数になる。すでに「486」の組み合わせで最大公約数「18」を求めた東大生チームだが、制限時間一杯まで、もっと大きな公約数がないか検証を続けた。

木村美紀&山田茜さんの答え「18」

中村亨センセの「美しき数学の時間」

並び替えた6つの数の差に注目すると最大公約数「g」を絞り込むことができる。

図(1)

図(2)

というわけで、最大公約数は「18」が正解。コマ大フィールズ賞は、東大生チームが獲得した。

で、ちょっといい話は「イデアル」について、「イデアル」とは、なんである?「I」である……なんてくだらないことを言っていると怒られそうだが、それくらい爺には「環」とか「群」の概念のイメージが掴めていない><;

まあ、ある特定の数の集合なんだろうなとは思う。今回の問題で言えば、6つの数の倍数や、倍数どうしの和や差……それらが、全部「g」の倍数になっている。これら全部の集まりを「イデアル」という概念で括ってしまおうと言うことだと思う^^;

図(3)

爺には、「18K」とか、「24K」のほうが、ありがたく思うけれど、そんなことは言っていられない事情がある。たとえば、図形の原点(x=0,y=0)を満たす関数は、「x+y=0」や、「x-y=0」だけでなく、いろいろあるよね。でも、イデアルでは、{f(0,0)=0となる関数全部}と定義してしまうのら。

爺風に考えると、ブティックを訪れて「ここから、ここまで全部ちょーだい」と言っているようなもん。たぶん、まったく違うと思う;;

中村センセによると、アレクサンドル・グロタンディーク(1928~)というドイツ出身のフランスの数学者が築いた「スキーム論」は、数論や代数幾何を切り開くツールとして現代数学を発展させたらしいんだよね。グロタンディークは1966年にフィールズ賞を受賞。1970年頃からは、数学から離れ隠遁生活を送っているという。

「コマ大数学科」で、数論の「環」や「群」の解説をしている中村センセを見ると、じつに楽しそうだ。

そんな中村亨センセの本領発揮、最新刊「ガロアの群論」を紹介。

この本の中でも、今回の問題にも共通するような「置換群」「対称群」などを、じつに愉しそうに解説してくれているのだが、いかんせん、爺の数学力の不足で、なかなか「なるほど~」というわけにはいかない><;

エヴァリスト・ガロア(1811~1832年)は、17歳のとき「エコール・ポテクニーク」の受験に2度にわたり失敗し、書いた論文は無視されたり、紛失されたりして、失意のどん底を味わい、20歳のとき、恋愛沙汰(?)の決闘で命を落とすが、後に「友」の働きもあり、後世に「ガロア理論」を残した。そのほとんどは、彼が高校生のときに書いたもの。「ガロア理論」は、現代数学の方向性を決定づけるものとなった。

≪参照≫
コマネチ大学数学科90講:置換

ガロアの群論
ガロアの群論
中村 亨/著

講談社ブルーバックス
(2010/05/21刊行)

※たけしのコマ大数学科の「過去問題」はこちらから。
コマ大数学科:2009年度全講義リスト
コマ大数学科:2008年度全講義リスト
コマネチ大学数学科:2007年度全講義リスト
コマネチ大学数学科:2006年度全講義リスト

コマ大数学科DVD-BOXガイド


“■コマ大数学科181講:GCD” への3件の返信

  1. コマ大数学科181講の問題で腑に落ちないことがあります。ただ単に41ではいけないでしょうか?41に3、4、6、7、8,9、をかけると123、164、246、287,328、369になるのですが。また41の倍数82に同様に2、3,4,6,7,9,12をかけていけばそれぞれ、各桁の数字が相異な3桁の数が出てくるのですが、最小公倍数41ではいけないでしょうか?またそもそも私自身が問題を理解できていないのでしょうか?よろしくおねがいします。

  2. 渡辺さん、コメントありがとうございます。
    問題は「各桁の数字が相異な、どれも0でないような3桁の正の整数nがある。nの各数字を並べてできる6つの数の最大公約数」を求めることです。
    たとえば「123」を並び替えた6つの数を素因数分解すると……。
    123=3*41
    132=2*2*3*11
    231=3*7*11
    213=3*71
    312=2*2*3*13
    321=3*107
    この6つの数に共通する約数は「3」ですよね。この場合、共通する約数は1つしかないけれど、これが最大公約数になります。

  3. ご回答ありがとうございます。納得できました。私の読解力不足と勘違いでした。これでゆっくり寝れます。

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