■コマ大数学科178講:正2010角形

先日、爺は、ケーブルテレビの「TBSチャンネルHD」で「ドラゴン桜」の第1話~最終話まで、ぶっ通しで見てしまった。木村美紀も東大構内でほんのちらっと出演していた^^;「たけしのコマ大数学科」

問題:正2010角形の異なる3頂点A,B,Cの組のうち、三角形ABCの内角がすべて整数度となるものの個数を求めなさい(ただし、ABCを並べ替えただけの組は同じとみなします)。
※2010年 数学オリンピック予選問題

まず、問題を理解するために上のFlashを用意した。正24角形のそれぞれの頂点を結んで三角形を作るとき、すべての内角が整数になる場合と、いずれかの内角が小数になってしまう場合があるよね(正24角形を例に選んだのは、意味はなく、問題とは関係ないからね^^;)。では、いったい正2010角形の場合、すべての内角が整数度となる三角形はいくつ出来るのだろうか?

コマ大数学研究会の検証方法だけど、アル北郷は、円形に切り取った紙を4つ折りにし、円と折り目の交点を直線で結ぶと正方形になる。この調子で折り目をつけていけば正多角形を描くことができると提案。しかし、紙の厚みを「0.1ミリ」としても、22回折ると(2^22倍)、紙の厚さは富士山の高さを超えてしまうし、42回折ると(2^42倍)、月まで届いてしまう^^;

結局、ロープに201個の印をつけ、円形にした上で、それぞれの印から3箇所を選び、凧糸を張って、その角度を調べるというもの。考えただけでも気が遠くなるが、この検証をお宮ひとりにまかせてしまった。お宮は自宅に持ち帰り、数日かけて検証した。

どーみても、ロープで描いた円は正確ではないし、分度器で測ったくらいでは、整数度か、どーか判断できないはず;; そこで思いついたのだけれど、自転車の車輪から、スポークやハブを外し、リム部分だけにして、リムの穴に紐を通し、三角形を作っていく方法はどーだろうか。スポークを止める穴の数は、JIS規格で36個のものが多く、等間隔で並んでいるので、正36角形の場合の検証になる(しかも、どの穴と穴を結んで三角形を作っても整数度となる)。紐の色を変えるなど工夫をすれば、オブジェとしても、きれいなものになったんじゃないかと思う。ただし、正解には辿り着けないけど^^;

コマ大生(お宮)の検証結果「27510」個(カウントしたものを10倍した)。「夫婦仲いいオーッ!」と覚えてね……って、覚える必要ない^^;

小橋りささん&岡本麻希さんの解法

まずは、正2010角形とは、どんな形なのか調べた。
(1)正2010角形の内角の和から1角あたり179.82度
(2)2010を素因数分解すると(2*3*5*67)
(3)正2010角形の中に13通りの正三角形ができる(※爺註:670個じゃないの?)
(4)正30角形が何かしら重要
整数度になるのか、自信がないけれど、正30角形の中から3つの頂点を選ぶ組み合わせ数を計算した。

図(1)

東大生チームの答えは「4060」個。

マス北野&ポヌさんの解法

マス北野は、ポヌさんに説明をしながら考えを整理する。2010角形の1辺あたりの中心角を求める。「360/2010」を約分して「12/67」となった。つまり、2010角形の頂点が67個分で中心角は12度、円周角はその半分で6度という整数になる。中心角12度になるのは、(360/12)正30角形の場合。

正30角形は、どの異なる3つの頂点を結んでも、それぞれの内角が整数度になることを確認してほしい。マス北野&ポヌさんは、東大生チームよりもはやく、30個の頂点から3つを選び出す組み合わせ数「4060」を書いたが、その各頂点を1個ずつズラしても、やはり内角がすべて整数度の三角形になるのだから、4060×2010=8160600とした。思わず笑っちゃうくらい大きな数で、こんな答えになるはずがないと疑問を残しつつも、タイムアップ。最終的な答えは「8160600」個。

竹内薫センセの「美しき数学の時間」

図(2)

まずは、マス北野のように正2010角形の中心角を求める。67は素数なので、整数で割りきることができない。円周上の正2010角形の67辺を弧としたとき、中心角が12°となる。

図(3)

ABを円の弧としたとき、円周角の定理によって、円周角は中心角の(1/2)、6°(整数度)となる。

図(4)

三角形ABCの各辺は、67の整数倍となる。(l+m+n=30)、つまり、正30角形の頂点から、3つの頂点を選ぶことになる。また、ABCを入れ替えたものは同じとみなすので、組み合わせ数(Combination)を計算すると、「4060」。マス北野が気付いたように、AB間には、正2010角形の67の頂点がある。三角形の各頂点を1コずつズラしても、内角が整数度になることに変わりない。

しかし、ここで、マス北野は大失敗をしてしまった。正30角形の組み合わせが1周分(正2010角形の頂点の数)あると勘違いしてしまい、掛け合わせてしまったのだ。実際は「4060」に「67」を掛けるだけでいい。

というわけで、正解は「272020」。マス北野は「せっかく、素因数分解して、67を出したのに、2010に戻っちゃったよ」と苦笑い。でも、考え方としては、一番近かったので、コマ大フィールズ賞を獲得した。

※たけしのコマ大数学科の「過去問題」はこちらから。
コマ大数学科:2009年度全講義リスト
コマ大数学科:2008年度全講義リスト
コマネチ大学数学科:2007年度全講義リスト
コマネチ大学数学科:2006年度全講義リスト

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“■コマ大数学科178講:正2010角形” への2件の返信

  1. 久しぶりの書き込みです。
     今回の問題は円周角を使って求めることは分かりましたが、単純な計算ミスで答えが出ませんでした。
     上の計算法で正201角形の場合を考えると、正3角形しか作れないことが分かります。頂点を移動した分を考えても全部で67個しかありません。

  2. 藤崎さん、いつも、コメントありがとうございます。
    正201角形の場合は、爺も検証していません。でも、正三角形しか作れないとしたら、これはこれで、「オドロキ」ですよね。
    ホントに検証不足でごめんなさい。

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