■コマ大数学科177講:Le Rouge et le Noir(赤と黒)

フランス、カルティエ現代美術財団の、北野 武/ビートたけし展「Gosse de peintre – 絵描き小僧」は、とても好評のようで、2010年3月11日~9月21日まで会期が延長されたよ「たけしのコマ大数学科」

問題:赤と黒のカードがランダムに裏返して13枚並べてあります。カードを5回めくって等間隔に並ぶ3枚のカードを見つけるには、どのようにめくれば良いでしょうか?

【遊び方】伏せられたカードをクリックして、カードをめくる。クリック5回以内に赤または黒のカードが等間隔に並べばオーケー。

問題文を読んで、配られた(伏せられた)カードの中に「赤のカード、黒のカードは何枚あるの?」と素朴な疑問を持った人がいるかもしれない。じつは、そんなことはカンケーないのら(実際に上のFlashは、ランダムに「赤」か「黒」のカードかを決めているだけ)。配られたカードの「赤」や「黒」の枚数は、本質的なことではなく、それにも関わらず、「必ず」、赤または黒のカードが等間隔で並ぶような選択(カードの開け方)があるということ^^; その方法を考えてね。

コマ大数学研究会は、なんの戦略もなく、カードをめくり続け、恐怖の罰ゲーム大会になるが、そんな中、驚異的な的中率を誇ったのが、アル北郷。すべてを彼に託し「エスパー北郷」としてスタジオで、その超能力ぶりを発揮した^^;

コマ大生の答え

図(1)

真ん中と端のカードを開ける作戦で、見事、4枚目で「赤」のカードが等間隔に並んだ。しかし、中村亨センセから「もし、4枚目が黒だったら、どーしますか」と物言いがついた。

図(2)

4枚目が「黒」だと、次にどのカードを開けても、等間隔に並ばない。完全に手詰まり状態になる。

マス北野&ポヌさんの答え

図(3)

マス北野は、すぐに答えがわかっちゃったみたいだ。

図(4)

自ら「もし4枚目が赤だったら」として、その場合は反対側の端を開ければ、赤と黒のダブルリーチになることを実証した。

衛藤樹さん&伊藤理恵さんの答え

図(5)

東大生チームは手こずりながらも正解。

中村亨センセの「美しき数学の時間」

中村センセも、短時間のうちにマス北野と東大生チームが正解を出したことに驚いたようだ。重複になるが、攻略法のおさらい。

・中央と同じ色の場合

図(6)

対称的に攻めるのがポイントで、まずは、中央のカードをめくる。中央から1つおいたカードをめくるが、中央と同じ色のカードが出た場合は、矢印のついたカードをめくる。3箇所のうち、どれかひとつでも中央と同じ色(黒)が出れば等間隔で並ぶ。すべて違う色(赤)の場合でも、赤が等間隔で並ぶことになる。

・中央と違う色の場合(1)

図(7)

2手目が中央と違う色で、3手目が中央と同じ色の場合は、矢印のついた箇所を開ける。中央と同じ色(黒)なら3枚ならび、違う色(赤)でも、ダブルリーチになる。

・中央と違う色の場合(2)

図(8)

中央から1つおいた2箇所が中央と違う色の場合、いちばん端のカードをめくる。中央と違う色(赤)がでれば完成で、中央と同じ色(黒)が出れば、次の5枚目で赤・黒ダブルリーチになる。マス北野の答えと同じパターンだ。

中村センセのちょっといい話は、フランス数学史。17~19世紀にかけてフランスは、偉大な数学者を多く輩出した。「たけしのコマ大数学科」でも、度々登場する数学者ばかりだ。
・フェルマー(1601~1665)
・パスカル(1623~1662)
・モーペルテュイ(1698~1759)
・ビュッフォン(1707~1788)
・ラグランジュ(1736~1827)
・ラプラス(1749~1827)
・フーリエ(1768~1830)
・コーシー(1789~1857)
・ガロア(1811~1832)
・リュカ(1842~1891)
・ポアンカレ(1854~1912)
……などなど。

中村センセによると「ナポレオン」が「国を作るには数学が大事」だということで、教育制度を整えたことも、ひとつの要因だろうとのこと。

で、「ニコラ・ブルバキ(Nicolas Bourbaki)」という数学者がいるんだけれど、これは架空の名前で、フランスの若手数学者グループがつけた名前だそーだ。

ブルバキの名前で編纂された数学原論(1939)では、
・集合論から始まる数学全分野の体系化
・ユークリッド原論の20世紀版
・現在の専門書の用語や記号を確立
など、現在につながる功績が大きいという。

ブルバキ数学史(上)
ブルバキ数学史(上)
ニコラ・ブルバキ/著
村田 全/翻訳
杉浦 光夫/翻訳
清水 達雄/翻訳

ちくま学芸文庫

ブルバキ数学史(下)
ブルバキ数学史(下)
ニコラ・ブルバキ/著
村田 全/翻訳
杉浦 光夫/翻訳
清水 達雄/翻訳

ちくま学芸文庫

※たけしのコマ大数学科の「過去問題」はこちらから。
コマ大数学科:2009年度全講義リスト
コマ大数学科:2008年度全講義リスト
コマネチ大学数学科:2007年度全講義リスト
コマネチ大学数学科:2006年度全講義リスト

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