■コマ大数学科173講:期待値Part2

北野武がフランス文化勲章の最高位「コマンドゥール」を授章。そんなめでたい「たけしのコマ大数学科」

問題:10種類のくじが入った箱がある。10種類のくじ全てを手に入れるのに必要な期待値を求めなさい。
※ただし、くじの数は任意であり常にそれぞれの種類のくじを取り出す確率はどれも等しいとする。

【遊び方】「100円投入」ボタンを押してから、その下にある「レバー」を回す(クリックする)。10種類あるカードをすべて集めるのに何枚の100円玉が必要か……100回くらい遊べば、その平均が期待値に近づくはず^^;

コマ大数学研究会のロケ場所は、「ヨドバシカメラマルチメディアAkiba」の「ガチャガチャ」コーナー。300台の「ガチャガチャ」が並び揃う光景は壮観だ。吉田プロデューサーから100円玉をもらい、遊びに興じるコマ大生だが、検証は場所を変え、「ガチャガチャ」を作っている「今野産業株式会社」の倉庫で行う。特別に「1~10」の数字を書いた紙が入っている「ガチャガチャ」を用意してもらい、コマ大生4人がそれぞれ検証開始。

北郷   53回
無法松  23回
アタル  25回
ダンカン 27回

4人の平均をとって、期待値は「32」という答え。

東大生チーム(衛藤樹さん&伊藤理恵さん)は、(10/10)*(9/10)*(8/10)*……*(1/10)と、それぞれの確率を掛け合わせ、さらに出現数を掛け合わせ、期待値を「k」としたときの総和を求めようとしたが、答えが無限大になってしまった。それではと、漸化式を立てて解こうとしたが、数式のラビリンスに入ってしまい、抜け出せなくなったようだ。結局、適当に書きましたという、東大生の答えは「55」。

爺が考えるに、たぶん、(10/10)+(9/10)+(8/10)+……+(1/10)を計算すると、「5.5」になるので、5.5×10種類で「55」という感じじゃなかろうか……。

マス北野は、コマ大数学研究会の「アル北郷」が皆に遅れて53回で全ての数字をコンプリートした、検証ビデオを見て(コマ大生の答えは、スタジオ発表だが、ここまでは流れた)、答えは、30回くらいじゃないかと予想を立てた。ポヌさんは、確率の逆数が期待値と考えた。たとえば、確率(1/10)は、その逆数をとって、10回くじを引けば、「当たり」が出ることを期待できる。つまり、(10/10)+(10/9)+(10/8)+……+(10/1)というわけだ。ポヌさんの電卓を使った計算によると、だいたい「29.15」くらいになるので、期待値は「30」という答え。

計算が苦手な爺は、毎度のことながら「Maxima」で計算してみた。

173講(1)

正解は、「29.29」回。マス北野&ポヌさんの答えは、小数点以下の計算過程で、何桁まで含めるかで違ってくるので、もちろん正解。コマ大フィールズ賞を獲得した。

中村亨センセの「美しき数学の時間」

173講(2)

目的の数字(くじ)が、いつ出るかに注目して考える。最初の1回は、どれが出てもOKなので、期待値は(10/10)で、「1」となる。2回目は、すでに1つの数字が出ているので、新たな数字を引く確率は(9/10)になる。これを「1」にするためには(重複しない新たな数字を引くためには)、(9/10)*(10/9)と、確率の逆数を掛ければよいわけね。つまり、(10/9)=1.11…回行えば、新たな数字を引く確率は「1」になると考えるわけ。以下同様に、10種類の「くじ」の場合を考えると、それらをすべて足し合わせたものが「期待値」となる。

173講(3)

数式で表すと、こんな感じだが、「10」で括ると、きれいに分数が並んでいる。これを利用して、一般解を求める式にする。

173講(4)

中村センセによると、一般解の「n」を増やしていくと、「n(LN(n)+γ)」に近づくんだそーな。LNは、自然対数で、γは、オイラー定数ね。

オイラー定数は、無理数なのか有理数なのかも、わかってないとのことだが、いちおう「0.577215665」として、エクセルで計算してみた。

173講(5)

確かに「n」が大きい数になると、次第に正しい値に収束していくように見える。

※コマネチ大学数学科の「過去問題」はこちらから。
コマ大数学科:2008年度全講義リスト
コマネチ大学数学科:2007年度全講義リスト
コマネチ大学数学科:2006年度全講義リスト