■コマ大数学科:恋する数学ベストカップル決定戦

あけましておめでとうございます。年を越してしまったけれど、昨年の12月29日の深夜に放映された「コマ大数学科」の特番「恋する数学ベストカップル決定戦」を振り返ってみる。

男性陣の名前にマウスカーソルを合わせるとプロフィールを表示し、女性陣の名前に合わせると、カップルとして誰を選んだかを表示する^^;

番組を見逃した人や、もう一度おさらいしたい人は、メモ用紙と筆記具を用意して、数学の難問に挑戦だ。

さあ、ベストカップルに輝くのは、どのペアか?

恋する数学(1)

ROUND1 60秒早抜け問題

・全10問、1問につき制限時間60秒
・女性→男性の順で交互に解答
・1位=100点、2位=90点…7位=40点
・60秒以内に正解しない場合は0点

恋する数学(2)

女性、男性が交互に問題を解く形式だが、ポヌさんの瞬発力には驚いた。衛藤さん、小橋さんも、安定した実力を発揮した。女性陣の頑張りに比べ、男性陣は不甲斐ない結果となった。

ROUND2 運命の赤い糸対決

男性陣が15kgの砂袋にヒモでつながった問題が書かれいるフリップを持ちあげ、女性陣がそれを鏡に映して読み、解答する(フリップの問題文は鏡文字で書かれている)。女性陣の筆記具もヒモで連動していて、重りを下げると、筆記具が上がり、書けなくなる仕組み^^; 制限時間は5分。

還暦すぎのマス北野は、体力がなく、お宮に代わってもらう。

※答えを入力してから「解答」ボタンを押してね。

伊藤理恵さんが100点、衛藤樹さんが90点で勝ちぬけた。

問題文の「ハチの群れが群がっている」という表現は、「馬から落馬した」や「藩から脱藩した」のような重複表現ではないかと、爺はどうにも気になってしかたがない^^; また、日本語では単数形と複数形の区別があいまいだったりするので、もっと明示的に書いてもよかったんじゃないかと思った次第。そこで、出典元をあたってみた。

出典元は、たぶん「Bhaskara’s Lilavati」。Bhaskara(1114~1185年)は、12世紀のインドの数学者、天文学者で"Lilavati"とは、彼の娘の名前で、娘のために書いた算術の本らしい。ちなみに、"Lilavati"とは、「美しい女性」という意味があるとのこと。

「Bhasjara’s Lilavati」が収録されている本をGoogleのブックサーチで調べたのだが、全文検索はできなかった。しかし、いくつかのサイトでレビュー記事を見つけた。原典はカンナダ語だか、何語で書かれていたのか知らないが、英訳にもいろいろあるようだ。

※引用元
The square root of half the number of a swarm of bees is gone to a shrub of jasmine; and so are eight-ninths of the whole swarm: a female is buzzing to one remaining male that is humming within a lotus in which he is confined, having allured to it by its fragrance at night. Say, lovely woman, the number of bees.

※引用元
The square root of half the total number of a swarm of bees went to a malati tree, followed by another eight ninth of the total. One bee was trapped inside the lotus flower, while his mate came humming in response to his call O lady, tell me how many bees were there in all?

爺には、こちらのほうがわかりやすい。拙訳すると、
「蜂の群れ全体を半分にした数の平方根の蜂がマラティの木(ジャスミンのこと)へ行った。同じく、群れ全体の(8/9)の数の蜂がそれに続いた。群れの中の一匹の蜂が蓮の花の中に閉じ込められた。彼の呼びかけに応えるように飛び回る一匹の女王蜂がいる。答えて。蜂の群れは全体で何匹いるの?」

で、今回は1時間の特番とゆーことで、内容豊富で脱線しているヒマはないのだが、「ハチはなぜ大量死したのか」という本が話題になり、日本でもミツバチの数が激減している現状がある。この本「Fruitless Fall」にあるように、果物の受粉には、ミツバチが欠かせない存在だ。たとえば、イチゴなどは、人間が手作業で受粉させると、手間も時間もかかるが、それだけでなく、とても出荷できないような、いびつに変形したイチゴが出来るそうで、あの見慣れたイチゴらしい形にするには、ミツバチの働きに頼るしかないそーだ。

中村純(玉川大学ミツバチ科学研究センター教授)によると、「Fruitless Fall」は、実りなき秋で、ミツバチがいなくなると、果物が出来ないことへの警告とともに、ミツバチ失踪の謎を解明する本だが、この本のカバーに描かれている蜂の姿は、ミツバチではないとのこと^^; また、日本でもミツバチの大量失踪とゆーか、ミツバチ不足が報告されているが、もともと、オーストラリアから女王蜂を年間15000匹程を輸入していたが、現地の病疫(蜂につくダニの発生)により、輸入を規制されているためらしい(蜂は、家畜と同様な扱い)。働きバチの寿命は1カ月くらいだが、女王蜂の寿命は3年ほどだという。もちろん、輸入した女王蜂は巣分けに使うのだ。輸入がストップしたので、日本国内の蜂不足になったらしい。

ミツバチの生態に踏み込んでいくと、さらにおもしろいとゆーか、新鮮な驚きがある。働きバチというとオスというイメージがあるが、じつは、働きバチは全員メスだそーである。じゃあ、オスバチは何をしているかとゆーと、何もしていない^^;

しかし、女王蜂が希に夜空に舞い上がると、オスの蜂たちは、一斉に女王蜂のもとに集う。女王蜂は一晩で15、6匹のオスと交尾をするが、オスは交尾をすると力尽きて死んでしまう。というのは、人間のオスは精嚢で作られた精子を小出しにするが、蜂のオスは精嚢を反転させて、すべての精子を女王蜂に与えてしまうのだ。女王蜂は精子を体内に蓄え、1日で1000個ぐらいの受精卵を産み続ける。冬季を除き、活動日をおよそ200日とすると、200000個の卵、そのうち、女王蜂になるのは、年間、20個ぐらいだそーだ。

FINAL ROUND

制限時間10分間。正解ポイント200点と竹内薫センセと中村亨センセが美しき解答ポイントを加算する。

※答えを入力しないと「解答」ボタンは機能しないよ。

伊藤・山西ペア以外のカップルが正解し、200ポイントを獲得したが、正解を出すだけでなく、重要な点がある。それは、円周の線分がマス目の格子点を通らないことの証明だ。もしも、円周とマス目の格子点が重なるとしたら、縦横のマス目の数をA、Bとしたとき、三平方の定理により、24.5^2=A^2+B^2になる。A、Bは整数なので、この式は成り立たない。よって、円周は格子点を通らない。

恋する数学(3)

衛藤樹・日下部匠ペアは、この点もしっかり証明して、美しき解答のボーナス点を加算された。また、数学仮面こと、日下部匠さんは「コマ大数学科」の番組をよくチェックしていて、この問題が「158講:ダイアゴナル」の解法と同じく、境界線を越えるごとに新しい正方形に入ることを見抜いていた。

というわけで、マス北野との直接対決が夢だったと語る、日下部匠さんと衛藤樹さんが数学ベストカップルに輝いた。

優勝:日下部匠/衛藤樹 (910)
2位:渡航輝/小橋りさ (720)
3位:マス北野/ポヌさん(590)
4位:鈴木太朗/岡本麻希(420)
5位:山西惇/伊藤理恵 (400)
6位:田中大貴/山田茜 (350)
7位:Tack/木村美紀  (340)

昨年中、この「ガスコン研究所」を訪れた方や、応援して下さった方に感謝。今後ともよろしくお願い致します。本年もよい年でありますように……。