これまで、コマ大の六大学挑戦シリーズは、136講:早稲田に挑戦(コマ大の敗北)、144講:明治に挑戦(コマ大の敗北)、146講:立教に挑戦(コマ大の勝利)と戦ってきたが、慶応は、取材ロケNGということで、コマ大の不戦勝としてカウント。2勝2敗で、今回の法政に挑戦が、六大学に挑戦シリーズの最終回ということである。はたして、マス北野と東大生は、勝ち越せるのか、負け越すのか……分け目の最終決戦の「たけしのコマ大数学科」
●問題
※1996年 法政大学 経済学部入試問題
●行列が(計算)できる数学講座
「行列…マズイよ、やったことないもん俺」というマス北野に対し、中村亨センセは「大丈夫です」と行列の計算方法をレクチャーしたけれど、この方法で50回も掛け算するの?
法政大学は市ヶ谷にあるが、コマ大数学研究会は、理系学部が集まっている小金井キャンパスへ……。
そんな影の薄い、小金井キャンパスをアピールすべく、工学部アメフト部の富岡優さんが、問題に挑戦。解答タイムは、4分15秒で正解。続いて、マンドリンクラブの仲田理恵さんが挑戦。タイムは、4分17秒。ラストバッターは、法政大学計算技術研究会の小柴世羅さん。Javaや、C言語でゲームやアプリを制作する研究会だそうだ。自らは「計算ミスの女王」と称していたが、見事、正解。タイムは、2分15秒だった。
これに対する、明治大学中退のマス北野は「行列」を習ったことがないのでお手上げだ。しかし、マス北野には強力な助っ人がいる。「行列」好きな、ポヌさんにおまかせだ。
●ポヌさんの解答
ポヌさんは、単位行列の形にして計算した。単位行列とは、左上から右下へ「1」が並び、その他は全部「0」の行列のこと。あとで、中村センセも説明していたが、単位行列は、じっさいに計算してみるとわかるけれど、実数の「1」みたいに、掛け算しても相手の形を変えないし、自身を累乗しても変わらないのね。
●東大生の解答
衛藤樹さんと、伊藤理恵さんの東大生チームは、問題の正方行列をn乗したときに、右上の数字(a_12)が(n/2)になることをすぐに気付いたようだ。あとは、数学的帰納法で証明終了。
法政の小柴世羅さんの記録は、2分15秒だったが、東大生チームは、1分15秒。マス北野&ポヌさんの記録は、2分20秒だった。東大生チームがコマ大フィールズ賞を獲得した。
爺は「行列」が苦手とゆーか、よくわからない;; 計算するのが、超めんどうなんだもの。でも「Maxima」を使えば、考えなくても答えがでる^^;
Maximaで行列のべき乗を計算するときは、^^のようにするのがポイントなのね^^;
●中村亨センセの「美しき数学の時間」
ポヌさんが使った「単位行列」は、実数の「1」と同じく、I^n=Iのようになる。また、普通の掛け算では、2×3=3×2のように交換法則が成り立つが、行列の場合は、AB≠BAとなり、一般的には交換法則が成り立たない。これを「非可換」と呼ぶ。しかし、片方が単位行列の場合は、I*A=A*I=Aとなり、「可換」となる。
「数学の真髄は行列から」というちょっといい話。連立一次方程式も行列の形で表すことができる。また、二次元(平面)のグラフや三次元(空間)も、より高次なn次元という概念で、線形代数では、数ベクトルや幾何ベクトルと行列で考える。さらに、複素数も行列を使うとスッキリ表すことができるようだ。
アインシュタインの方程式も4行4列の4次行列として表すことができるとのこと。この式には、一度は消された宇宙項(宇宙斥力)が含まれている。ニュートンの頃は「真空」は空の器というイメージだったけれど、現在の量子力学では、真空は素粒子が生まれては一瞬のうちに消えるエネルギーに満ちているんだって。中村センセによると、量子力学では、∞行∞列の行列が必要になるらしいんだけれど、その講義は「たけしのコマ大数学科 第5期 DVD-BOX」(12月16日発売)の特典DVDを見てくれとのことだった。気になっちゃうなぁ^^;
番組のエンディングで、マス北野は「マンガでわかる行列」って本を買おうかな……と言っていたけれど、爺のオススメは、なんといっても小島寛之センセの「ゼロから学ぶ線形代数」。ケイリーや、ハミルトンだけでなく、ピアソンや、エルミート、ミンコフスキーといった数学者の姿をした幽霊がピアノの音とともに登場し、『ユーレイゼミナール』をしてくれるよ^^;
ゼロから学ぶ線形代数 小島寛之/著 講談社 (2002/5) |
たけしのコマ大数学科#158 「法政に挑戦」
たけしのコマ大数学科#158
(旧名称・たけしのコマネチ大学数学科)
フジテレビ 2009年11月26日 深夜OA
今回のテーマは、
「法政に挑戦」
たけしのコマ大数学科 DVD-BOX 第5期
¥5,234
Amazon.co.jp
2009年12月16日発売予定。 ただいま予約受付中。…
今回の問題も、3つほど計算して法則性が
判明したので1分くらいで答えがでました。
中村先生の講義をきいて数学・物理学にと
って行列が重要な役割をしていることに感
銘しました。
行列は、職業がら普段でも度々使ってます
が、Excelの逆行列関数は実用できないレ
ベルで誤差が大きいので、その関数は使わ
ないようにしています。関数を使われる方
は注意してくださいね。
お久し振りです。
正直言って、ボヌさんの解法がよく分かりません。如何に自分なりの解釈を記しますので、間違っていればご指摘頂きたく存じます。
先ず上の行列Bを2乗すると、全ての要素が0になる。従って、3乗以降も全要素が0となる。
次に二項定理より、I+Bの25乗は
I^25+25I^24・B+300I^23・B^2+・・・+B^25
となり、第三項以降は上記より全て0の行列となるので、
I^25 + 25I^24・B = I + 25B となる。
ここで疑問なのは、「二つの行列の和の累乗にも、二項定理が成立するのか。あるいは、このような特別な行列だけに当てはまるのか。」と言うことです。よろしくお願いいたします。
コメントありがとうございます。
行列ができない「ガスコン研究所」です…><; 中村センセの解説にもあったように、一般的には行列の積は非可換ですが、片方が単位行列である場合は、I*B=B*I=Bのように可換となり、二項定理が使えると思います。しかし、行列の和は、片方が単位行列であっても、もう片方が今回の問題のように、他の成分が「0」になって消えちゃう、特殊な場合にしか成り立たないんじゃないかと思うんですが……。
いつも楽しく拝見してます。
見逃したときとか,録画し忘れたときなど役立っております。
一応,大学で数学を学んだので行列は一通り分かるので,上記の議論に私もいっちょかみしようかなと思いまして。
ガスコンさんがおっしゃるように,行列において,一般的に積は非可換です。
でも,和については可換です。
なので,2項が積について可換であれば,行列でも二項定理が使えます。
で,ポヌさんの解法のミソは,B^2=O(零行列:すべての要素が0の行列)というところです。
ちなみにA^2を計算しなくても,A=I+C(右上が1/2であとは0の行列)として,A^50=I+50Cで終わりです。
Gasconさん、くみちょーさん、ご返答ありがとうございます。
上手く表現できませんでしたが、そもそも伺いたかったのは、「展開できるか」でした。お話を伺ったり、自分で試したところ、展開可能と分かりました。
二項定理ですが、基本を考えたら、
(A + B)^2 = (A + B)(A + B)
= A^2 + AB + BA + B^2
となり、ここで、可換、非可換の問題が生じるのですね。(3乗以降は面倒なので省略:笑)
一方が単位行列なら、可換で二項定理も成り立ちます。(同一行列の2乗、3乗・・・なら、可換も非可換もへったくれもない)
やはり、ポヌさんの解法の鍵はB^2 = 0 ですね。それなら、(I + C)^50 から一気にとの疑問も解消されました。ポヌさんは2乗して考えた後にこれに気付いた、と思考過程も垣間見れて面白く感じました。
しまった(^^;) 乗り遅れてしまいました
代数系得意のさきもり@福岡です
えっと、もう出ていますが、
A、Bを n×n の行列として
(A+B)(A+B)
=AA+AB+BA+BB
となって、「右からかける」「左からかける」
という違いが出まして、普通は非可換が多いから厄介になりますが、今回のは可換でしたので
(A=I)大丈夫だったと。
非可換の行列についても、普通に展開することは可能です。
#厄介だからやりたくはないけど><
(=^. .^=) m(_ _)m (=^. .^=)