■コマ大数学科150講:ペンローズ・タイル

 ペンローズの「漁師脳」ではなく、「量子脳」理論は、爺にとって「思考の地平線」の向こう側><; ちっとも理解できないが、黄金比が含まれる「ペンローズ・タイル」の美しさは、爺にもわかる?「たけしのコマ大数学科」

問題:1辺の長さが1の正m角形の各辺の外側に1辺の長さが1の正n角形を1つずつくっつけたとき、くっつけた正n角形の隣り合う2つが1辺を共有するようなm、nの組として考えられるものをすべて求めなさい。

コマ大150講の問題

そのうちのひとつが、問題図にある、(m,n)=(6,6)の場合。これ以外の組み合わせを考えよ、ということね。

 コマ大数学研究会は、困ったときの「折り神さま」、「折り姫さま」とゆーわけで、文京区にある「おりがみ会館」へ。ところが「折り神さま」こと小林一夫館長と、「折り姫さま」こと、湯浅伸江先生は、大変忙しいとのことで、代わりにプロマジシャンの柏原由興さんが相手をしてくれた。

 柏原さんの教えを乞いつつ、また、過去のコマ大数学科のDVDで復習しつつ、いろいろな正多角形を作り、検証した。

 コマ大生はこんな形を作った。

コマ大生の解答

 正方形と正8角形の組み合わせで平面を並べ尽くすことができる。

 マス北野は、ずっと電卓を離さず、計算していた。たとえば、正三角形の内角は60°、各辺に隙間ができぬように並ぶとすると、正n角形の内角は、(360-60)/2=150°ということになる。これを正n角形の内角の総和を求める式に当てはめると、
180(n-2)=150n
180n-150n=360
30n=360
n=12
となり、正12角形という答えを求めることができる。
同様の計算で、m=4、m=5のときを求める。マス北野の出した答えは、
(m,n)=(3,12)
=(4,8)
=(5,10)
正6角形の場合は、(6,6)となるが、これを超えると、計算の答えが整数ではなくなるので、これ以上はないと考えた。

 ところが、正5角形(m=5)で計算してみると、どうも計算が合わない。

マス北野の解答(1)

マス北野の解答(2)

 実際に図を描いてみると、一目瞭然。正5角形のまわりに正10角形を並べると、重なってしまい、一辺を共有できない。いつもは、作図する、マス北野だが、今回は電卓のみの計算だったので、どこかで、「m」と「n」を取り違えてしまったのかも。

 木村美紀と山田茜さんの東大生チームも、考え方はマス北野と同じ。正m角形の内角と、一辺を共有する、2つの正n角形の内角を足すと、360°になる。この関係に着目して、方程式を立てた。

東大生の解答

 この式の「m」に順に3、4、5…と代入して、「n」の値を調べ、(m,n)=(6,6)を含め、4つの答えを見つけた。
(m,n)=(3,12)
=(4,8)
=(10,5)

 で、これ以外の解はないという証明だが、n=4の正方形の場合は、2つの内角の和は180°になり、正m角形の内角は180°になってしまうことから、n<5では、成立しないことを証明。

中村亨センセの「美しき数学の時間」

解法(1)は、マス北野、東大生と同じ。以下、その手順。
(1)正m角形を決める。
(2)正m角形の内角を求める。
 (180°を単位にすると計算がラク)
 (m-2)/m*180
(3)360°(=2*180°)から(2)を引く。
(4)(3)を2で割る。
(5)(4)=(n-2)/nとなる「n」があればOK

美しき数学の時間(1)

解法(2)は、東大生の立てた方程式をもう少し整理したものだ。

美しき数学の時間(2)

美しき数学の時間(3)

 ふたつの整数を掛け合わせて「8」になる組み合わせは、上の表の4通り。同時にこれ以外の別解がないことも証明される。

 ちなみに、正三角形と正12角形を組み合わせて並べると、以下のようになり、平面充填できる。

美しき数学の時間(4)

 正10角形と正5角形の組み合わせでは、平面を埋め尽くすことはできない。

美しき数学の時間(5)

 コマ大フィールズ賞は、完璧な解答で東大生チームへ。

 今回のテーマの「ペンローズのタイル」だが、規則的な平面充填ではなく、非周期の平面充填というところがポイント、現実にペンローズ・タイルと似た「準結晶」構造が発見されるなど、興味深いのだが、爺の体力の限界;; 「ガスコン研究所」の過去記事を参照してほしい。

●第17回:エッシャー

●補習:ペンローズ

※Pencil Missaileは、[SPACE]キーでも発射できるよ^^;

※コマネチ大学数学科の「過去問題」はこちらから。
コマ大数学科:2008年度全講義リスト
コマネチ大学数学科:2007年度全講義リスト
コマネチ大学数学科:2006年度全講義リスト


“■コマ大数学科150講:ペンローズ・タイル” への5件の返信

  1. たけしのコマ大数学科#148 「ペンローズ・タイル」

    たけしのコマ大数学科#148
    (旧名称・たけしのコマネチ大学数学科)
    フジテレビ 2009年9月10日 深夜OA
     
    今回のテーマは、
    「ペンローズ・タイル」
    たけしのコマ大数学科 DVD-BOX 第4期
    ¥5,558
    Amazon.co.jp…

  2. こんにちは。またお邪魔します。
    全てと凸な多角形の外角の和は360度になるので、以下のように外角攻めで解いてみました。(ちょっと長くなりますが、ご容赦を)
    正m角形の内角一つを2a度とすると、正m角形、正n角形の外角一つはそれぞれ
    180-2a、aとなります。
    追伸 先程誤って、別ページにこのコメントをしてしまいました。そちらを削除していただければ幸いです。お手数をかけて申し訳ありません。
    内角一つが一番小さいのは正三角形の60度なので、
    30≦180-a<180
    30≦a<180となり、これより
    30≦a≦75が得られます。
    また、前述の理由でaは360の約数になるので、mの候補で順次360を割って行くと以下の (n,a)の候補が得られます。
    (5,72)(6,60)(8,45)
    (9,40)(10,36)(12,30)
    後は少し面倒ではありますが、一つずつmを求めてゆけば完了です。
    「イチローには通じないかも知れないが、正多角形には『外角攻め』」が、私のモットーです。

  3. 正n角形のひとつの内角はマスの方式と同様に
    180-(360/n)
    で算出し、正三角形から順にあてはめて解きました。
    中村先生の解等は非常にエレガントに感じました。
    東大生も「エレガント~」と感嘆してました。
    ペンローズ・タイルの紹介があり、とても興味深かったです。

  4. ちょっと問題の趣旨から外れますが、もし正n角形の頂点1つに対し接する正m角形の数が2つに限られないのであれば、以下のような組み合わせも考えられますね。
    (3,3)
    (4,4)
    (6,3)
    いわゆる「よくタイル張りに使われるパターン」ですが。

  5. 上の当方投稿中、aの範囲についての記述に錯誤がありましたので、ここに訂正します。
    「mの最値は正三角形の3、nの最小は、内角二つ分が180度より大きくならなければならないので、正五角形の5。
    したがって、30≦a≦72」

コメントは受け付けていません。