■コマ大数学科130講:鍵

「今日の午後、夫が散歩に出かけた留守に掃除をしに這入ったら、あの水仙の活けてある一輪挿しの載っている書棚の前に鍵が落ちていた」……これは、谷崎潤一郎の『』。昔、永井豪が「ハレンチ学園」を描き「破廉恥」という日本語の語感は変わった。同じく永島慎二の「フーテン」という漫画を読み、谷崎潤一郎の「瘋癲老人日記」は、なんとなく、ハイカラなイメージになった^^; ハイカラって「ハイカラー(高襟)」なんだけど、「ハイカる」なんて動詞になると、まるで「徘徊する老人」のようだ><; ボケ気味のヒッキー老人の「たけしのコマ大数学科」レビュー。お題は「鍵」。

例題:A、B、Cの3本の鍵で開く箱がある。長男がAとB、次男がAとC、三男がBとC、とゆーよーに鍵を持つと、二人が集まれば(協力すれば)箱を開けることができる。

問題:4人兄弟が何個かずつの鍵を持ち、3人以上でないと、開かないようにするには、錠前は何個必要で、4人の兄弟は、鍵をどのように持てばいいか?

出典:「数学パズル・20の解法」中村義作/著(講談社ブルーバックス)

 とゆーわけで、コマ大数学研究会は、監獄居酒屋「ロックアップ渋谷店」で検証ロケ。なにやら「マル秘」と書かれた箱に鍵がかかっており、それを開けることができれば、「お宝」映像が拝めるらしいのだが……。

コマ大生の答え
鍵の数:6個
長男:A,B,D
次男:A,C,E
三男:B,C,F
四男:D,E,F

 「お宝」映像は、戸部アナの「ミス・立教大学」になったときの、スナップ写真の数々。「戸部ちゃん、かわゆい~」という人たちには、たまらない映像かもしれないが、爺は、そんな元気もない><;

東大生の答え
鍵の数:6個
長男:A,B,C
次男:C,D,E
三男:A,D,F
四男:B,E,F

 今回は、東大「秒殺シスターズ」の衛藤樹さんと、伊藤理恵さんが挑戦。まず、問題の条件を満たすためには、一人が2つ以上の鍵を持っていなければならず、錠前が少ない数から検証開始。錠前が4個のときは、
長男:A,B
次男:A,C
三男:B,D
四男:C,D
で、長男と四男が集まれば、すべての鍵を開けられるので、却下。
錠前が5個の場合は、
長男:A,B(A,B)
次男:A,C(C,D)
三男:D,E(C,E)
四男:D,E(D,E)
3人集まっても、錠が開けられない場合があるので、却下。
錠前が6個の場合は、
前述の「答え」のように、2人や4人全員が集まらないと鍵を開けることができないことがなく、任意の3人が集まれば、鍵を開けることができる。

マス北野の答え
珍個
長男:重一
次男:勝
三男:大
四男:武

 マス北野は、どーやら「お疲れ」の様子。ポヌさんが抜けたため、ひとりで孤軍奮闘。鍵が5個のところまで検証したが、そこで、タイムアップした><;

中村亨センセの「美しき数学の時間」
 「錠前」がいくつあるかではなく、「鍵」を持っている人数に注目する。たとえば、それぞれの鍵が1個のとき、一人がすべての鍵を持っていたならば、一人で鍵を開けることができるので条件には一致しない。残りの3人では、開けることができない。このことから、どの鍵も(同じ鍵を)、二人以上が持っていることが条件になる。
 また、3人が同じ鍵を持っている場合は、4人のうち、どの二人を選んでも鍵が開いてしまう。
 つまり、4兄弟のうち、任意の二人を選んだとき、その二人にしか持っていない鍵があるはず。
 もしも、長男と次男しか持っていない鍵がないとすると、鍵はすべて三男か四男が持っていることになるので、二人で開いてしまう(背理法)。

背理法

 そーなると、錠前(鍵の種類)は、4人兄弟の任意の二人に対して1種類あるので、4つの中から2つを選ぶ組み合わせ……

数式

エクセルでは「=COMBIN(4,2)」とすれば、鍵は「6」種類ということがわかる。

解答

 というわけで、コマ大生と東大生は正解だが、コマ大生は、なぜ、そうなるのか説明できなかったので、コマ大フィールズ賞は、東大「秒殺シスターズ」が獲得した。

らんたたさんの解法(※5月19日追記:コメント参照

C130_04

※追記終わり

 番組エンディングの中村センセの板書きを見ると、このあと、公開鍵暗号と秘密鍵暗号のトリビアがあったはずなのだが、番組では、すっぽりカットされた模様。やはり、コマ大数学科は、問題を解くことだけでなく、その問題から派生して、じつは、意外なところで役立っているんだよ…とか、歴史的なおもしろ話や、数学の最前線の話があるから楽しみなんだぁ…と感じた。

 今回の問題は、「数学パズル・20の解法」中村義作/著(講談社ブルーバックス)からの出題のようだが、爺はまだ読んでない。中村義作さんの本は、ブルーバックスに限ってもたくさん出ている。手元にある「解ければ天才! 算数100の難問・奇問」は、1988年初版発行だが、2007年12月の時点で、すでに第33刷だ。幅広く、そして長い間、多くの人に読まれている証左だろう。現在では、カバーが変わり、PART4まで刊行されているようだ。

解ければ天才!算数100の難問・奇問
解ければ天才!算数100の難問・奇問
中村義作/著
講談社ブルーバックス

パズルでひらめく補助線の幾何学
パズルでひらめく補助線の幾何学
中村義作/著
講談社ブルーバックス

※Pencil Missaileは、[SPACE]キーでも発射できるよ^^;

※コマネチ大学数学科の「過去問題」はこちらから。
コマ大数学科:2008年度全講義リスト(暫定版)
コマネチ大学数学科:2007年度全講義リスト
コマネチ大学数学科:2006年度全講義リスト


“■コマ大数学科130講:鍵” への5件の返信

  1. 久しぶりに書き込みをいたします。
     今回の問題は中村義作氏の本からの抜粋でしたが、私は以前「科学朝日」でピーターフランクル氏が書いていた連載でこの問題を見たことがありました。
     2009年度がスタートし4年目に入ったコマ大、久しぶりに確率の問題が出される感じがします。解けるかどうかは別ですが。

  2. この問題、多角形で考えるとよいのではないでしょうか。(間違ってたらスイマセン)
    3人兄弟の場合は三角形をかいて
    「線」の数は3本だから・・・錠前の数3個
    各頂点から出ている「線」の数は2本ずつだから・・・持たせる鍵は2本ずつ
    4人兄弟の場合は四角形をかいて
    「線」の数は6本だから・・・錠前の数6個
    各頂点から出ている「線」の数は3本ずつだから・・・持たせる鍵は3本ずつ
    (辺も対角線もひっくるめて「線」と表記しています)
    5人兄弟以上でも同様に考えれますし、各「線」にA,B,C・・・と記号をつけておけば頂点から出ている「線」の記号で鍵をどのように持てばよいかも分かります。

  3. らんたたさんの回答は、n人兄弟の時にn-1人が集まらないと鍵が開かないという問題で全て解けますね。
    1つの錠前(線)につき、2人の人(頂点)が必要というのがポイントではないでしょうか。
    多角形から頂点を1つ除いても、片方が宙ぶらりんになった線を含めて全ての線がつながったままの状態で維持できますが、頂点を2つ取り除くと、その2つの頂点を通る線が完全に孤立してしまうので、鍵が開かないと解釈できるでしょう。
    同様に、n人兄弟の時にn-2人が集まればいいという問題ならば、錠前を面としてデルタ多面体で考えれば解くことができます。
    例えば4人兄弟で2人揃えばいい場合は正4面体で、頂点が4つに対して面も4つ、1つの頂点に接する面の数は3つずつと解けます。
    なぜ多面体ではなくデルタ多面体なのかというと、n-2人で開ける前提として、3人が鍵を共有する必要があるからです。
    このように、デルタ多角形や多面体で考えるときのもうひとつの優れた点は、それぞれの線や面に名称を付ければ、誰がどの鍵を持つべきかという組み合わせも瞬時にわかるところだと思います。

  4. 藤崎さん、らんたたさん、ゆうじんさん、コメントありがとうございます。
    このところ、爺としては、めずらしく仕事をしていまして、ブログのフォローを怠っていました><;
    らんたたさんの解法は、じつにシンプルで、非常にわかりやすいですね。
    記事に反映しておきます。

  5. ありがとうございます!
    自分の住んでいるところはコマ大の放映が数週遅れているので、とっくの昔に放送された問題にコメントしてるにもかかわらず返事を書いてくださって、うれしく思ってます。今後も楽しみにしています。

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