数学とマジックは似ている。結果だけを見ると、どうして、こんな答えにたどりつくのか、不思議なことがあるけれど、解法(種明かし)がわかってしまえば、納得する。でも、その種明かしがわからないと、まるで数学はマジックのようなんだよね「たけしのコマ大数学科」。
問題:ゲストが選んだ3桁の数「abc」の各桁の数を並び替えた5つの数、(acb)(bac)(bca)(cab)(cba)を足し合わせた数をマジシャンに伝えると、マジシャンは、元の数「abc」を当てる。では、5つの数の和が「3194」のとき、元の数「abc」はいくつか?
つまり「この数理マジックの種明かしをせよ」という問題。三桁の数「abc」を選ぶと、並び替えた5つの数の合計を表示。(↑)ボタンを押すと、マジシャン(?)が答える。
コマ大数学研究会の検証には、あの東京大学奇術愛好会の「鈴木太朗」さんが登場。鈴木さんは、「112講:マジック」で、スタジオでマジックを披露したのだが、本番で間違えてしまったという苦い経験を持つ。そのリベンジを果たすべく、今回の問題のマジックを実際にコマ大生の前でやってみせた。しかし「マジックのタネは明かせない」と、コマ大生には教えてくれない。
しかたがないので、コマ大生は、すべての3桁の数を4人で分担し、しらみつぶしに計算してみる。3桁の数なので、百の位が「0」になることはなく、100~999の中に正解があることは間違いない。電卓をコツコツと叩き続け、やっとのことで、見つけた答えは「358」。しかし、なぜ、答えが出るのか、そのしくみは、わからない。
マス北野は、(abc=100a+10b+c)のように位取りを考え、他の5つの数も同様にして足し算する。
acb=100a+10c+b
bac=100b+10a+c
bca=100b+10c+a
cab=100c+10a+b
cba=100c+10b+a
————–
122a+212b+221c=3194
両辺に(abc=100a+10b+c)を足すと、
222(a+b+c)=3194+(100a+10b+c)
(a+b+c)が222の倍数になることがわかる。
で、222の倍数になる数をいくつか試し
222×16=3552を見つける
3552-3194=358
3+5+8=16になることを確認して
答えは「358」
衛藤樹さん、伊藤理恵さんの東大「秒殺シスターズ」は、今回も秒殺で答えを書いた。
222(a+b+c)=3194+(100a+10b+c)
になるところまでは、マス北野と同じ。
ここで、3194÷222=14.387…なので、
222×15=3330 から考える
3330-3194=136
1+3+6≠15 で除外。次の
222×16=3552 で正解を見つける。
答えは「358」
■竹内薫センセの「美しき数学の時間」
abc=100a+10b+c
N=(acb)+(bac)+(bca)+(cab)+(cba)
N=122a+212b+221c
N+(abc)=222(a+b+c)
(abc)=222(a+b+c)-N
≡-N(mod 222)
≡-3194(mod 222)
≡136≡358≡580≡802
上の(mod:モジュロ)は、ある数を割り算したときの「余り」を求めること。136、358、580、802は、222で割った余りに注目すると、すべて136になり、合同と言える。
222の倍数になることは、わかるのだが、222の倍数はいっぱいある。どうやって、その中から候補を絞り、正解を見つけるかだが…。
(abc)は、3桁なので、100~999
3194+100≦222(a+b+c)≦3194+999
3294≦222(a+b+c)≦4193
14.8…≦(a+b+c)≦18.9…
a,b,cは整数なので、
15≦(a+b+c)≦18
この条件を満たすのは…
1+3+6=10 ×
3+5+8=16 ◎
5+8+0=13 ×
8+0+2=10 ×
というわけで、正解は「358」
で、ヨハン・カール・フリードリヒ・ガウス(1777~1855年)は、整数や素数の概念をガウス平面(複素数)にまで広げて考えた。
(※出典:「数学ガール フェルマーの最終定理」結城浩/著)
ガウス整数とは、a+bi(a,bは整数、iは虚数単位)の形で表すことのできる複素数。そして、ガウス素数なのだが、結城浩さんの「数学ガール フェルマーの最終定理」によると、「砕ける素数」と「砕けない素数」がある(ミルカさんが命名)。たとえば、「5」は素数だが、ガウス平面では、5=(1+2i)(1-2i) と、積の形で表すことができるのだ。3、7、11、19、23…は、ガウス平面上でも「砕けない素数」だ。つまり、素数を「4」で割って余りが「3」のものは、「砕けない素数」、それ以外は「砕ける素数」になる。
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※Pencil Missaileは、[SPACE]キーでも発射できるよ^^;
※コマネチ大学数学科の「過去問題」はこちらから。
■コマ大数学科:2008年度全講義リスト(暫定版)
■コマネチ大学数学科:2007年度全講義リスト
■コマネチ大学数学科:2006年度全講義リスト
鈴木太朗さんは頭の中であんな計算をしているのか?
だとしたら僕はできない。
あーゆー暗算は………
しかも会話をしながらなんて…
鈴木太朗さんのマジックに興味を惹かれた。正に数学の法則や定理を学んだ時、気付いた時のようだった。
羽毛田哲椰さん、コメントありがとうございます。
コマ大が春休みの休講であったこともあり、ブログの更新を怠っていました><;
鈴木太朗さんの暗算力(?)は、すごいですね。あれこそ、本当のマジックです^^;
自分なりに考えました。[mod 9]使用。
求める3桁を100a+10b+cとする。
N=122a+212b+221c。
(100a+10b+c)+N=222(a+b+c)
(a+b+c)を求められば、
222(a+b+c)-Nで、答えが計算できる。
[mod 9]を考える。
N=122a+212b+221c≡5a+5b+5c=5(a+b+c) [mod 9]
なぜなら100≡10≡1 [mod 9]
これを2倍。
5(a+b+c)×2=10(a+b+c)≡(a+b+c) [mod 9]
3つの数字の和の条件が求まった。
ところで、222(a+b+c)=2(a+b+c)×111。よって、2(a+b+c)は、与えられた数の千百位に近い値になる必要がある。
(a+b+c)×2 [mod 9]で偶数(つまり[mod 18])で、条件に合う値を選ぶ。
111倍し、与えられた数を引けば、求められる。
―――――
実際の計算。
和は3194。
3194≡3+1+9+4=17≡8 [mod 9] ≡5(a+b+c)
2倍。
8×2=16≡7 [mod 9] ≡(a+b+c)
(7≡16≡25 [mod 9] ≦27)
さらに2倍。
(a+b+c)×2≡7×2=14≡32≡50 [mod 18]
3194の千百位は31、近いのは32。
2(a+b+c)=32。
222(a+b+c)=32×111=3552。
3552-3194=358。
答え、358。以上。
○いささかパズル的で、数学の解答には、何か説明不足な感じ。
しかし、一直線でぶれが無く、暗算もしやすかった。
プッチンさん、コメントありがとうございます。
爺も、鈴木太朗さんの暗算のしくみ(もっと、簡単な計算方法?)を考えたことがありましたが、ぜんぜん、わかりませんでした。プッチンさんの考察は興味深いですね。
[mod 9]とするあたりは、「九去法」と関連があるのかな……。
プッチンさんのコメントを読んで、再び、考えてみようという気になって、記事中にある、爺が作成したFlashをいじっていたら、数値を「100」に設定すると、ガスコン爺が、自信たっぷりに間違った答えを言うことを発見^^; あちゃ、前回の鈴木さんのカードマジックの失敗は、番組的にはOKでしたが、プログラミングで間違った解答をするとゆーのは、シャレになりません><;
爺が考えたインチキ暗算法をあえて発表します^^;
たとえば、「912」を思い浮かべたとします。
鈴木さんには「1752」という数字が知らされます。
「17」と「52」に分けます。5+2=7
17+7=24
24×111=2664
2664-1752=912
で、ホントに、こんな簡単な計算式で成り立つのか、どーか、100~999の数値で、エクセルで検証したところ、正解率は3割程度でした><; ダメじゃん!! 発想そのものが、場当たり的で、数学的ではないんですよね^^;