■岩明 均「ヒストリエ」

 正月に息子から「お父さん、コレ、読む?」と渡されたのが、岩明 均の「ヒストリエ」だった。

 岩明 均と言えば「寄生獣」や「七夕の国」など、爺が大好きな作家なので、読んでみた。「ヒストリエ」の舞台は古代ギリシャ。主人公「エウメネス」は、アレクサンドロス大王に書記として仕えた実在の人物だ。ところが、歴史を記録する側の「エウメネス」は、ある日、記録することをやめ、記録される側……つまり、指揮官として軍を率い、戦いの表舞台に立つ。ディアドコイの戦いなど、コルネリウス・ネポス「英雄伝」で、将軍としての能力を高く評価されるいっぽう、他の将軍からは「我々は王に剣で仕えてきたのに、エウメネスはペンで仕えていた」と、揶揄する者もいた(ほとんど、Wikipediaのまとめだな><;)。

 これは、歴史に残された逸話で、「ヒストリエ」の1~4巻で描かれるのは、歴史的には未詳のエウメネスの幼少期(第1部)だ。それだけに、作者の物語の創作(フィクション)の部分が多いのだろう。

 気になるのは、なぜ、岩明 均は、「エウメネス」に注目し、漫画のモチーフ(題材)として選んだか? ということだ。噂によると、漫画家としてデビューする以前から、このテーマを温めていたという。

 岩明 均の魅力は、その冷徹な描写であるとも言える。ある人には、それが「残酷」だとか、「残虐」というイメージを抱くかもしれない。でも、それは本質ではない。爺の抱く、岩明 均のイメージは「冷徹」なのである。事象を正確に捉え、分析する冷やかな目だ。

 そして「寄生獣」のプロットが「寄生生物」と「人間」の生死をかけた対立軸の中で、主人公は寄生されながらも人間であるという設定。内なる融合とゆーか、共生関係にある。逆に言えば、どちらの側にも属さない、はみ出し者だ。

 「ヒストリエ」の舞台は、ギリシャ(ヨーロッパ)とペルシャ帝国(アジア)との狭間であり、主人公の「エウメネス」は、アテネ自由市民から、一転、奴隷となるが、自由を手にする。ちょうど、二極の対立軸の中間に位置し、寄る辺なき、びみょ~なバランスの中にいる。

 主人公「エウメネス」を通して、岩明 均は、生と死が隣り合わせの世界で、どちらの側も冷徹な目で眺め、かつ、ダイナミックなドラマを描こうとしているように思える。

 「ヒストリエ」1~4巻がエウメネスの幼年期を描いた第1部であり、すでに「アフタヌーン」誌上で第2部を連載中のはずだが、爺は、元漫画家であるにもかかわらず、漫画雑誌をまったく読んでいない^^; 物語の続きが単行本になるのを楽しみに待っていよう(マイペースな作家なので、休載も多いみたい…)。


“■岩明 均「ヒストリエ」” への2件の返信

  1. 500yenさん、コメントありがとうございます。
    5巻が出ていることは、知っていましたが、まだ、読んでいません。そのうち、息子が買うでしょう^^;

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です