■コマネチ大学数学科114講:物理学パート2

 師走の時期、世の中は、流行語大賞なるものを決めているが、今年は「アラフォー」や「グ~!」が受賞したが、我がコマ大数学研究会調べでは、3位は「秒殺」、2位は「トマト」、そして、焼き肉やロケなのに「焼いちゃダメ!」が栄えある1位を獲得した「たけしのコマ大数学科」。

問題:芝生(1)と砂地(2)で分かれた正方形の土地の、点Pから点Qまでの最短時間の経路を作図せよ。ただし、芝生での移動の速さは「2」、砂地での移動の速さは「1」とする。

【遊び方】コマ大数学研究会は、Nゲージの鉄道模型を使って検証したけれど、爺は「アリンコ」を使って到達時間を測定。[+]印をドラッグして経路を設定後、[Start]ボタンを押してほしい。感覚的にだいたい「この辺」という位置はわかるが、正確な最短時間の経路図を作成するには、どうしたらいいか?

 コマ大数学研究会が訪れたのは、秋葉原にある鉄道模型Nゲージショップ「ポポンデッタ」、芝生の幅を50cm、砂地の幅を100cmとした正方形のジオラマ(たんなる紙)に線路を引き、Nゲージを走らせて時間を計測していく。実際の走行時間が短くなるように数センチ刻みで最適な経路を探した。

 マス北野とポヌさんコンビは、ポヌさんが解説したのだが、「緑のきゅ~り」にカメラマンも思わず、笑ってしまい、画面が震えた^^; もちろん「きゅーり」とは距離のことね。図形問題が得意なマス北野は、またもや「ひらめき」を見せた(後述)。

 東大「悩殺シスターズ」の生駒尚子さん、小橋りささんは、光学距離(=幾何距離×屈折率)に注目。計算で求めようとしたが、途中でわからなくなった。

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 今回、3チームとも、経路図は作成できて、全員正解。しかし、数学的にそれが最短時間になることを証明するのは大変なようだ。

 以下は、竹内薫センセの「美しき数学の時間」の板書きの丸写し。まず、作図法だが、出発点(P)と到達点(Q)を結ぶ線を引き、PQの二等線分を引く。PSとQTが速度比(2:1)になるような交点を求める。

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 さて、ここで「スネルの法則」を知っていれば、θ1とθ2の比が、速度比(2:1)になるとき、最短時間の経路になることがわかるのだが、「スネルの法則」を使わずに数学的に証明しようとすると難しい。

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 爺には、さっぱりわからないが、フェルマーの原理や、ラグランジュ未定乗数法を使えば、結果的にスネルの法則を導き出すことができるようだ。

 もっと簡単に最短時間の経路を作図する方法は……。マス北野の方法を紹介しよう。マス北野は、砂地に入ると速度が(1/2)になるとゆーことは、同じ速度で進んだ場合は倍の距離を進むことになると考えた。

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 もう少し一般的な場合を考えてみよう。光は真空中でおよそ30万キロメートル進むが、密度が高くなると、速度が落ちる。光は、いつでも最短時間で進もうとするので、屈折が起きる。空気中は、ほとんど「1」と考えてよいけれど、水中では、光の速度が「2/3」程度に遅くなるので、屈折し、実際の深さよりも浅く見える。

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※水の屈折率は、温度によって違う。20℃の水の屈折率は「1.33」程度。

 竹内薫センセの「ちょっといい話」は、この屈折率が「負」になると、どんなことが起きるかの話だった。「メタマテリアル」という媒体は、負の屈折率を持つのだそうだ。で、この媒体でマントを作ると、ハリーポッタの透明マントみたいに、光が曲げられるんだけど、透過しているように見えちゃうらしい。「薫日記」によると、竹内センセは今「透明人間の科学」という本を執筆中で、その中のネタだと思う。

 現時点では「メタマテリアル」が負の屈折率になるのは、電磁波とか、赤外線など特定の波長のみということで、可視光のようにさまざまな波長に対応するには、難しいらしい。「メタマテリアル」で検索すると、興味深いページがたくさんあった。

日経エレクトロニクス
「透明マント」の材料はメタマテリアル

Engadget 日本版
米軍、メタマテリアルを利用した「非対称透過シールド」の開発に着手

WIRED VISION
メタマテリアルで空中浮揚も実現?

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※コマネチ大学数学科の「過去問題」はこちらから。
コマネチ大学数学科:2006年度全講義リスト
コマネチ大学数学科:2007年度全講義リスト