■コマネチ大学数学科111講:11角形

 さよなら三角、またきて四角、四角は豆腐、豆腐は白い、白いは妖精、白い妖精はコマネチ……というわけで「たけしのコマ大数学科」

問題:一辺が同じ長さの正方形と正三角形が複数個ある。これらを隙間なく並べて、最小の凸な11角形を作るとき、正方形と正三角形は何個必要か?(※凸な11角形とは、へこみがないこと。どの内角も180度未満)

【遊び方】画面右下の「」と「」のボタンを押すと、新たな正方形と正三角形を追加できる。回転や削除は、図形にポインタを重ね、選択した状態で、キーボードのそれぞれのキーを押す。図形はマウスを使い、ドラッグ&ドロップで配置してね。

 ひさしぶりに「東大悩殺シスターズ」の小橋りささんと生駒尚子さんが揃った。小橋りささんは、理科一類から「工学部システム創成学科」に進み、「シミュレーション数理社会システム」を学ぶらしい。生駒尚子さんは、ニューヨーク短期留学から、帰って来たばかり。いろいろとカルチャーショックを味わったみたいだ。たとえば、8ドルの買い物をしたとき、日本の感覚で13ドルを払い、5ドル札でお釣りを貰おうとしても、お店の人には、それが通じない。3ドルは余分だと戻されるという。日本人は、釣り銭の計算をするとき「10-8=2」、客から受け取った10ドルから品物の代金8ドルを引き算するが、アメリカ人は、品物を目の前にして、品物の代金8ドルから、9ドル、10ドルと数え、2ドルを客に戻す。つまり「8+2=10」と足し算する。

 東大生のプチ情報はこれくらいにして、問題の解答だが、実際に正方形と正三角形を組み合わせて、11角形を作ったので、答えは一緒になり、全チームが正解した。

C111_01

 普通に並べていくと、正12角形ができる。この正12角形の一部を変更すると、ダイアモンド型から、ティアドロップ(涙の雫)型の11角形になる。問題は、正方形と正三角形は何個必要かということなので、正解は、「正方形が7個、正三角形が13個」

 中村亨センセの「美しき数学の時間」で、数学的に答えを求める方法を考えてみよう。

 まず、多角形の内角の和は「(辺の数-2)×180°」で、11角形の場合は、1620°になる。正方形と正三角形で作ることのできる角度は以下の通り。

C111_02_2

それぞれ必要な数をa個、b個、c個、d個とする。
60×a+90×b+120×c+150×d=1620
両辺を30で割ると、
2a+3b+4c+5d=54……(1)
いっぽう、角の数は、
a+b+c+d=11
両辺に5を掛けると、
5a+5b+5c+5d=55……(2)
(2)式から(1)式を引く。
3a+2b+c=1
a>0、または、b>0の場合は、式が成り立たない。
よって、c=1、dは、「11-1=10」と定まる。

C111_03

C111_04

 これ以上、小さな11角形を作ることができないことも数学的に証明できた。「東大悩殺シスターズ」は、cとdの個数を「鶴亀算」の要領で連立方程式を立て、答えが最小であることも証明したので、コマネチ・フィールズ賞を獲得した。

 「ちょっといい話」は、コンパスと定規(目盛がなく、直線を引くだけの定木)で作図できる正多角形の話。基本的にコンパスと定規だけで線分を二等分することができるので、2、3、5の累乗になる正多角形は作図可能のはず(?)。問題は、それ以外の辺の数が素数になる正多角形だ。番組のオープニングトークで、マス北野はコンパスと定規だけで正5角形を描いて「カッケー」と密かにほくそ笑んでいたという話を披露し、中村亨センセに「正7角形は(作図法が)あるの?」と聞いたら、即座に「ありません」との答えだった。ちょっと素っ気なかったのは、「ちょっといい話」に残しておきたかったのかも……^^;

C111_05

C111_06

※5番目のフェルマー数(2^(2^5)+1=4294967296)は、表内のように「641×67001419」と因数分解でき、素数でないことを 1732年にオイラーが証明した。

「きょうは、こんなところです……」(筑紫哲也さんへの哀悼の意を込めて;;)

《追記:11月18日》

題意を無視した、誤った解答例

C111_07

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※コマネチ大学数学科の「過去問題」はこちらから。
コマネチ大学数学科:2006年度全講義リスト
コマネチ大学数学科:2007年度全講義リスト


“■コマネチ大学数学科111講:11角形” への4件の返信

  1. たけしのコマ大数学科#111

    たけしのコマ大数学科#111(番組的には108回?)
    (旧名称・たけしのコマネチ大学数学科)
    フジテレビ 2008年11月13日 深夜OA
     
    今回のテーマは、
    「11角形」
     
     
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  2. ガウスによる正十七角形の製図方法発見のエピソードは、小説『世界の測量』にも出ていて、にやりとしました。数学的内容は書かれていませんが、小説としては面白いです。

  3. こんばんわ。
    最近、あまりTV(というか、コマ大が?)が見れていませんが。^^;
    いつものどうでもいい情報かとは思いますが、今回の問題は2000年広中杯(中学版数学オリンピック)のものでした。ブルーバックスでも問題選集が出されています。
    図形問題を重視しているとのことで、やってみると結構楽しめますよ。

  4. どうも今晩わ。
    相変わらず面白い問題が出ますね。
    確認して見ましたが、
    12角形まで、全部できますね。
    面白いのは、9角形以上については、
    面積が
    9角形>10角形>11角形>12角形
    と、角が少ないほど面積が大きくなります。
    作り方は、真ん中の正三角形で作ったコアに三角形と四角形で衣を付ける、
    とイメージするとわかりやすいです。
    12角形はコアが正6角形、
    11角形はコアが正6角形+三角1個
    10角形はコアが正6角形+三角2個
    9角形はコアが正6角形+三角3個(2×2のピラミッド)

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