■コマネチ大学数学科108講:橋ゲーム

 芸術の秋と言えば「アキレスと亀」、食欲の秋と言えば「アキナスとヨメ」。コマ大ファイト!「たけしのコマ大数学科」

問題:「橋ゲーム(Brigd-It)」の必勝法を考えよ!

≪ルール≫先手は、上下に、後手は左右に橋を架けてつなげれば勝ち。ただし、お互いの橋(線)は交差してはいけない。

【遊び方】あなたは後手でプレイ。マウスでクリックすると線が引かれる。コンピュータの攻めを阻止することで、必勝法のしくみを考えてほしい。

《追記:10月30日》
※コンピュータの「後手」バージョンは、あまりにもアホで弱いので、削除した><;

 今回の問題は、必勝法を見つけるということで、それぞれのチームが制限時間内で必勝法を考え、発表は、竹内薫センセと対戦することで行う。

 コマ大数学研究会のロケは、「橋ゲーム」ということで、隅田川を水上バスに乗りながら、「レインボーブリッジ」や「かちどき橋」など、いろいろな橋を眺めながら、名前に「橋」がつく人などと対戦して、必勝法を考えた。

コマ大生(先手)VS 竹内センセ(後手)

 竹内センセとの対戦では、見事、コマ大生が勝利。一手ずつ追っていったのだが、番組では、途中端折って(カットされて)いた部分があり、爺の推測による手順(16手~21手)を交えている。コマ大生、ダンカンの必勝法は「勝つことよりも、負けないことを考えた」とのこと。「負けないように努力していれば、そのうち、人生いいこともあるよ」ということで^^;

マス北野(先手)VS 竹内センセ(後手)

 マス北野も勝利。「先手は上下方向の縦、後手は左右方向の横につなげていくが、先手は、後手の左右方向のベクトルを封じるように縦方向に伸ばしていく。先手は、一手先行しているので勝つ」という論理。

東大生(先手)VS 竹内センセ(後手)

 今回、生駒尚子さんは、ニューヨークへ短期留学ということで、東大生チームは、小橋りささんと山田茜さんが挑戦。いきなり画面の上、中央に線を引いたが、相手を錯乱する作戦か^^; はっきいり言って、何をしようとしているのかが、よくわからない。先手にもかかわらず、負けてしまった。

 結局、コマ大生がひさびさに「コマネチ・フィールズ賞」を獲得したが、爺としては、マス北野の戦略がかなり的を射ていると思う。囲碁の用語に「シチョウ」というのがあるが、互いにアタリの連続なので、自分の石を取られないようにすると、盤面は対角線上に伸びていく。一手の違いが勝敗に大きく影響するのだが、このとき、シチョウになるか、シチョウが崩れるかどうかは、対角線上に自分の石があるかどうかが重要になる。

 この「橋ゲーム(Brigd-It)」は、アメリカの数学者、デビット・ゲール(1921~2008)が1958年に考えたゲームだそうだ。竹内薫センセの「美しき数学の時間」で、このゲームの必勝法が紹介されたが、短い時間の中では、いまいちピンとこなかった人も多いのではないかと思う。上のFlashで「先手」のコンピュータは、ちゃんとした思考ルーチン(?)があるわけではなく、以下の表の通りに機械的に処理しているだけなんだよね(下の表が思考ルーチンとも言える)。

C108_06

出典:http://home.flash.net/~markthom/html/bridg-it.html

 先手の着手は、画面左下に縦棒を引く。その後は「後手」がどのような動きをしても、表の通りに対応すれば必ず勝てる。で、ガスコン爺が「なるほど~!」と思ったのは、点線で結んだ関係は、一方向ではなく、逆も真なりということ。両方向で成り立つのだ。

C108_07

 この「橋ゲーム(Bridg-It)」の盤面には、41か所、橋を架ける(線を引く)場所があるが、先手が第一手を着手を確定すると、残りは40か所。表は、どの点も、1対1で対応していて、重複する箇所や例外がひとつもない。つまり、必勝法になっているのだ。

≪追記:10月30日(補足)≫
 竹内センセによると、橋ゲームの必勝法は、「先手は、盤面の左下から始め、対角線上で相手の動きを阻止し、それ以外は平行」という戦略をとる。

 この戦略がなぜ必勝法なのか…納得できない人のため、爺なりに、もう少し、説明を付け加えたいと思う。

 先手は上下の縦方向に橋をつなげ、後手は左右の横方向につなげるので、その交差する点が攻防戦になることは、直感的にわかる。

 で、盤面の橋を架ける場所(線を引く場所)は、全部で41か所あり、双方とも任意の場所に橋を架けることができる。ここで、先手が盤面の左下に線を引くと、残りは40か所で、奇数番が先手、偶数番が後手になるので、途中で勝負がつかない場合、41番目は先手の番になる。このゲームの仕組みからいって、「引き分け」はないので、どちらかが勝利する。

 まず、後手は何も考えず、盤面の左上から順に空いている場所に線を引いていくとする。先手も何も考えず、「必勝法」の図のとおりに対応する。

C108_08

 対角線上での攻防がポイントであることがわかる。そして、マス北野の言うとおり、先手は一手先行しており、41手目で、一手違いで勝利を収める。

 では、今度は、後手は盤面の右下から順に橋を架けていくことを考えてみよう。

C108_09

 先手は39手目で勝利するが、いくらなんでも、後手はこんな戦略をとるはずがない。たとえば、先手が29手目を打った時点で、すでにリーチだ。そこで、後手はこれを阻止する。30手目以降の展開を見てみよう。


 というわけで、一手違いで先手が勝利する。必勝法の図は、先手の第一手のあと、後手の着手に1対1で対応していて、後手がどのような順番で着手しても、先手が勝利する構造になっている。

 もちろん、先手の第一手は、盤面の4隅のどこでもいいが、その場合は、必勝法の図を回転、あるいは、鏡転写して使うことになる。

 先日、放送大学の「線形代数入門」の講義をテレビで視聴していたら、講師の長岡亮介さんが、「私たちが理解する方法には、3つある。直感的理解、数学的(計算による)理解、そして、構造的理解である」と言っていた。

 この「橋ゲーム」の場合、マス北野のように直感的に攻略法を見い出せる部分もあるけれど、それによって必勝法がすぐにわかってしまったら、ゲームとしての面白味はなくなる。数学的には(ここでは、数式を用いてという意味)先手有利、あるいは先手必勝であることは、証明できても、必勝法の証明は難しい(計算可能な問題なので、爺には難しいけれど、解は存在する。総当たりでも、41の階乗で、約33.45極(33.45×10^48)通りの計算をするだけだ^^;)。でも、問題は、必勝手順を網羅することではなく、いかに効率的な必勝アルゴリズムを発見すること。そのためには、直感的な理解をさらに構造的な理解に推し進めて、必勝法を探ることだと思う。

 で、問題の本質は、多くの人にとって「橋ゲーム」の必勝法なんて、日々の出来事に比べたら、どーでもいいってことかも……><;

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※コマネチ大学数学科の「過去問題」はこちらから。
コマネチ大学数学科:2006年度全講義リスト
コマネチ大学数学科:2007年度全講義リスト


“■コマネチ大学数学科108講:橋ゲーム” への1件の返信

  1. たけしのコマ大数学科#108

    たけしのコマ大数学科#108(番組的には105回?)
    (旧名称・たけしのコマネチ大学数学科)
    フジテレビ 2008年10月23日 深夜OA
     
    今回のテーマは、
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