■コマネチ大学数学科103講:フラッグ

 北京オリンピックも終わたけれど、「まさか、北島康介が溺れるとはなぁ」とは、マス北野の弁(「たけしのコマ大数学科」は、北京オリンピック前に収録されたもの^^;)。

問題:直線に沿って1メートルおきに旗が13本立ててある。左端からスタートして、全部の旗をどこか1箇所に集めたい。ただし、一度に持てる旗は1本のみ。移動距離を最短にするには、旗をどこに集めたらいいか。また、その最短移動距離を答えよ!

【遊び方】旗の上についている数字は旗の数。どこか1箇所に集めると何本あるかわからなくなっちゃうからだ。[START]ボタンを押し、キーボードの[←]、[→]キーで移動。[↑]キーで旗を取り、同じく[↑]キーで旗を置く。13本の旗を1箇所に集めれば終了。赤い数字が移動距離。やり直すときは、[START]ボタンを押してね。

 「花の東大生数学祭り」で最下位になり、罰ゲーム(?)で赤いジャージを着た山田茜のコマ大ロケ。夏のお台場海岸は、紫外線も多く。日傘をささないと、顔も日焼けして、まっかな「トマト」になっちゃうよ。(正確には「トマト」は、山田茜が所属するテニスサークルの名称)。砂浜に旗を立てて検証開始。トマトちゃん、じゃない、山田茜(コマ大数学研究会)の答えは、左から7番目に集め、移動距離は78メートル。旗が13本なので、真ん中が7番目の旗で、これを中心にして、左右6本づつの対称となる。もし、6番目に集めると、その対称位置にある8番目と答えが同じになり。答えが2つになってしまう。答えが1つに定まるのは、7番目。と説明したが、この説明は、明らかに間違い。爺の作成したFlashで確認してもらえばわかるが、6番目に集めた場合は「81」、8番目に集めた場合は「79」になる。

 なぜかと言うと、スタート位置が左端(1番目の旗)と定まっているからだ。問題を簡略化して旗が3本の場合を考えよう。

 真ん中の2番目に集めた場合、移動距離は3メートルだが、3番目では4メートル、そして、1番目に旗を集めた場合は、6メートルになる。

 マス北野は、直観とひらめきで、わずか5秒ほどで答えを書いた。マス北野の考え方は、こうだ。直感的に真ん中の7番目に集めるのがよさそうだ。そこで、移動距離を考えると下の図のようになる。

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 旗が13本ということは、両端を結ぶ距離は12メートル。遠い旗から順番に真ん中に集めると、次は11、10……と距離は1メートルずつ縮まる。逆に考えると、1~12までをすべて足した数が距離「78メートル」になる。非常に明確で、じつにすっきりしている。また、旗の数が増えたとしても、1から(旗の数-1)の数を足せば、そうなるんじゃないかと。はたして、そうだろうか。たとえば、旗の数が奇数ではなく、偶数の場合だ。

 マス北野の考え方では、旗が4本の場合は、1+2+3=6になるが、実際に動かしてみると、そうならないことがわかる。爺の勘違い。実際に動かしてみても、ちゃんと6メートルになる。(8月31日:修正)

 東大理三の「秒殺シスターズ」の衛藤樹、伊藤理恵は、今回の問題も秒殺で解いてしまうかと思われたが、マス北野に先を越されてしまった。

 まず、旗を集める位置を「x」とおくと、距離は、
(x-1)+2{|x-2|+|x-3|+……+|x-13|}
この距離が最小となる「x」を求める。
x=7のとき、
6+2{5+4+3+2+1+0+1+2+3+4+5+6}=78
結局、式にいろいろな数を代入して求めたようだ。

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 竹内薫センセの「美しき数学の時間」の板書きをまる写し……。

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 というわけで、コマ大フィールズ賞は、マス北野&ポヌさんが獲得した。平方完成に関しては、Wikipediaの二次方程式の項を見てね。

 蝉の声が夏の終わりを惜しむよう。もうすぐ秋が訪れ「冷やし中華」もメニューから消える季節に……、

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(第1期)

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(第2期)

※コマネチ大学数学科の「過去問題」はこちらから。
コマネチ大学数学科:2006年度全講義リスト
コマネチ大学数学科:2007年度全講義リスト


“■コマネチ大学数学科103講:フラッグ” への2件の返信

  1. 今回は特に直観のもつ弱点がよく現れた問題だと思います。
    真ん中の旗に集めればよいことはわかるのですが、それを厳密に示すには竹内先生の解法がベストでしょう。実際、マス北野や東大生の解法だったら、試験では大幅に減点をくらいます。
    一般化してみますと、
    全旗の数がk枚、n番目の旗に集めるときの移動距離は
    (n-1)+2(1+2+…+(n-2)+2(1+2+…+(k-n))
    =2n^2-(2k+3)n+k^2+k+1
    =2(n-(2k+3)/4)^2+(4k^2-4k-1)/8
    よって、nが(2k+3)/4に最も近い整数のとき距離が最小。
    kが奇数のときは真ん中の旗
    kが偶数のときは真ん中より右(スタートから遠いほう)となります。

  2. たけしのコマ大数学科#103

    たけしのコマ大数学科#103
    (旧名称・たけしのコマネチ大学数学科)
    フジテレビ 2008年8月28日 深夜OA
    今回のテーマは、
    「フラッグ」
     (※この記事では回数が103になっているが、
        番組的にはSPをカウントしていないので、101回目であ…

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