■天秤パズル

 「書籍:数学でつまずくのはなぜか」の紹介記事で、せっかく「天秤」のFlashを作ったので、「素数入門」(芹沢正三/著)から「天秤」を使った問題を紹介しよう。

 問題:1グラム以上100グラム以下のオモリ「X」がある。この「X」の重さを1グラム単位で量るには、最低、何個のオモリが必要か?


(※出典:「素数入門」芹沢正三/著)

 答えは、見てのとおり。それぞれ、重さの異なる7個のオモリが必要だ。「X」の重さは乱数で決定しているので、1個や2個のオモリで量ることできる場合もある。しかし、1グラムから100グラムまで、すべてに対応するには、7個のオモリが必要になる。その理由を説明せよ!
(※「リトライ」ボタンがないので、繰り返し遊ぶときは、ブラウザをリロードしてね><;)

 1グラムと2グラムのオモリがあれば、1グラム、2グラム、3グラムを量ることができる。次は4グラムのオモリが必要だ。すると、4+(2+1)で7グラムまで量ることができる。同様に、次は8グラム、その次は16グラムのオモリを追加していく。

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 つまり、(2^n)-1 で、「n」が6の場合、63グラム、「n」が7の場合、127グラムまで1グラム単位で量れることになる。それぞれのオモリを「乗せる」「乗せない」を「1」と「0」で表すと、そのまま二進数表記となる。

 たとえば、100グラムの場合は、二進数で表すと、
「1100100」となり、
(64*1)+(32*1)+(4*1)=100となる。

 さて、以上は、当たり前ちゃ、当たり前。これではパズルにはならない。「天秤」を使うルールとして、片方の受け皿に「X」、もう一方の受け皿だけに「オモリ」を乗せる必要はない。たとえば、「X」が2グラムのとき、左の受け皿に「X」と1グラム、右の受け皿に3グラムのオモリを乗せれば、
X+1=3となり、
天秤はバランスが取れるので、「X」は2グラムと求めることができるわけだ。このように、どちらの受け皿にも「オモリ」を乗せてもよい場合、1グラム以上100グラム以下の「X」の重さを1グラム単位で量るには、最低、何個のオモリが必要か?

 今度は、オモリが「1」「3」「9」「27」「81」の5個になった。前の問題は二進数だったが、今回は三進数のようである。

 たとえば、「X」の重さが100グラムのときを考えてみよう。
100=1*(3^0)+0*(3^1)-1*(3^2)+1*(3^3)+1*(3^4)
100=1-9+27+81
100+9=1+27+81
というわけなのだが、もう少し説明すると、
100=(33*3)+1(1グラムのオモリは右皿)
33=(11*3)+0(3グラムのオモリは使わない)
11=(4*3)-1(9グラムのオモリは左皿)
4=(1*3)+1(27グラムのオモリは右皿)
1(81グラムのオモリは右皿)

 私は「素数入門」(芹沢正三/著)を読むまで、「絶対値最小剰余」という言葉を知らなかったのだが、そういうもんらしい。たぶん明日になれば忘れていると思う^^; 詳しくは、以下の本を参照してほしい。

20080717_02
素数入門
計算しながら理解できる

芹沢正三/著
講談社ブルーバックス
価格:1040円(税別)