■コマネチ大学数学科91講:ペル方程式

ストレス発散法にはいろいろあるが、アイスクリームたちのパーティーを開き、ひとりで食べまくっているという、衛藤樹さんと、仲の良い友達とおしゃれして銀座に繰り出しエセブ会(ニセのセレブ)を楽しんでいるという、伊藤理恵さんの「秒殺シスターズ」東大理Ⅲチームを迎えての「たけしのコマ大数学科」。お題は「ペル方程式」。

問題:兵士たちが正方形に並んでいる。これを1軍団とする。その軍団が「60」ある。これに王様が一人加わって、大きな正方形に並び直した。王様を含め、全体で何人になるか?

問題を理解するため、簡略化してみよう。

上の例は、最小の正方形(2×2)人の軍団が2つ。これに王様が加わり、(3×3)人で正方形を作ることができた。これを今回の問題に当てはめて考える。

コマ大数学研究会は、マッチ棒の頭に顔を描き、たけし軍団や石原軍団、CCガール軍団(?)などを作り、それに王様(たけしのマッチ棒)を加え、お台場の砂浜に刺して、正方形に並べていく(これまた、細かい作業だ^^;)。しかも、時間が経つにしたがい、満潮が近づき、水浸しに……。続きはスタジオで……という展開。しかし、スタジオでも正方形を完成させることはできなかった。ギブアップ。

今回、マス北野は、最初の正方形の一辺を「X」、並び直したときの正方形の一辺を「Y」と置き、秒殺で「60*X^2+1=Y^2」という式を立て、「961」人という答えを出した。これは、60*(4*4)+1=961=(31*31)ということ。平方数に1を加えた数が平方数になるので、大きな正方形の人数の1桁目が「1」ないしは「9」になることに注目。さらに、これより、大きな数の答えがあるのではないかと、計算を続けたが、タイムアップした。

東大理Ⅲ「秒殺シスターズ」の衛藤樹さん、伊藤理恵さんも、マス北野と同じ「60*X^2+1=Y^2」の式を立て、「961」人という答え。ただ、この式を変形させても、答えが求まるわけではなく、「X」に具体的な数値を入れて、式が成り立つような「X」と「Y」を求めるしかない。伊藤理恵さん言うところの「ゴリゴリ計算する」というわけだ。そこで、衛藤樹さんは、MOD(モジュロ)にも、注目してみたが(マス北野の1の位が「1」あるいは「9」という発想と共通する部分がある)、こちらも、うまくいかなかったみたいだ。

というわけで、竹内薫センセの「美しき数学の時間」。最初の正方形の一辺を「X」、並び直した正方形の一辺を「Y」としたときの、「60*X^2+1=Y^2」という形の式を「ペル方程式」と呼ぶ。ただし、これは数学者「ジョン・ペル」(1611~1685)とはカンケーがないという。レオハルト・オイラーがペルが研究をしていたと勘違いして、この式を「ペル方程式」と命名したそうな。

1766年、オイラーのアイデアを発展させ、ラグランジュが「D*X^2+1=Y^2」の解は、「√D」を連分数で表すと、そこに解があることを証明したとのこと。

連分数……;; ひさびさに「Maxima」のお出ましだ^^;

20080530_01

で、[7,1,2,1,14]ときて、その後も[1,2,1,14]と繰り返すことがわかる(ここでは、便宜上繰り返しの回数を「2」としたけれど、これが続く)。なんだか、よくわからないけれど、繰り返す一歩手前のところまでを計算すれば良いとのこと。だまされたと思って、とりあえず、計算してみる。

20080530_02

「こんなん、でましたけど…」。おお、分母に「X」の値、分子に「Y」の値が表れているではないか!!

というわけで、31^2=961人という答えになる。

では、マス北野が考えたように、この解のひとつ上の解は、どーなのか。以下のような計算式で求めることができるそうだ。

20080530_03

次の解は、369万241人。さらに次の解は……。

20080530_04

141億7790万3041人……。世界中の人間を集めても足りない;;

マス北野は、秒殺で答えを出し、かつ、竹内センセがヒントを出す前に、最小解だけでなく、それより、大きい解があることに気づいていたので、コマネチ・フィールズ賞を獲得。東大理Ⅲ「秒殺シスターズ」に一矢を報いた。

竹内薫センセの「美しき蘊蓄(うんちく)の時間」(ちょっといい歴史を紐解く話)には、続きがあって、じつは、「ペル方程式」は、インドがルーツとのこと。628年、「ブラーマグプタ」という人が「ペル方程式」のいろんな解を求める研究をした。そして、1150年頃には、「バースカラ2世」という人が研究して、14世紀には「ナーラーヤナ」という人が研究していて、ほとんど、研究しつくされていたそうな。それから1000年遅れて、ヨーロッパでは、ようやく「フェルマー」が数学者に対して「ペル方程式」をネタにした挑戦状を出したらしい。そして、1658年「ラーン」が本を出版したのだが、この本の編纂を「ペル」が助けたことから、「オイラー」は、「ペル」がこの研究をしていたと勘違いして「ペル方程式」と名付けということらしい。竹内センセによると、本来ならば「ブラーマグプタ方程式」となっていても、おかしくはないだろうという話。

古代ギリシャから始まり、中世ヨーロッパで「数学」は普遍化したわけだが、インドや中国でも「数学」は、独自の発展をしていたのだと思う。ただ、中世ヨーロッパの文化の隆盛と、その後の植民地化で、今で言う、グローバル化が「数学」という分野でも進んだのではないかと……、浅薄な爺の知識では、わからないけれど、夢は枯野を駆け巡る……とゆーか「いいちこ」な酔いに朦朧状態だ。


“■コマネチ大学数学科91講:ペル方程式” への2件の返信

  1. 録画しておいて今さら見ました(笑)。
    問題はともかく、絵が非常に分かりづらかったですね。
    あれでは外周にしか並ばないようにしか見えませんでした。
    もちろん外周だけ並ぶ場合は、どうやっても人数が偶数になるので、
    問題が成り立ちませんが。

  2. たけしのコマ大数学科#90

    たけしのコマ大数学科#90
    (旧名称・たけしのコマネチ大学数学科)
    フジテレビ 2008年5月29日 深夜OA
     
     
    今回のテーマは、
    「ペル方程式」
     
     
    【New!! DVD】
    たけしのコマ大数学科DVDBOX 1
    ¥5,284
    【定番本】
    コマ大数学科
    特別集中…

コメントは受け付けていません。