■コマネチ大学数学科88講:シュタイナー

 コーヒーメーカーで作った温泉たまごを毎日食べている衛藤樹さんと、甘いものが大好きで携帯にフォルダを作り、毎日、甘いもの画像を見て、しあわせ気分に浸っている伊藤理恵さんの東大理科三類チームを迎えての「たけしのコマ大数学科」。中村亨センセの講義は「シュタイナー」。

20080508_01問題:一辺の長さが1の立方体を切り開いて、展開図を作るとき、切る長さが最短になる展開図と、その長さを求めよ。

 コマ大数学研究科は、ダンカン部長が風呂場で転倒、骨折をしたため、無法松、〆さばアタル、ガンビーノ小林の3人で、千葉房総の金谷町でロケ。アジの開きを売っているおじさんや、洋品店で働く、(箱を)アケミちゃんに答えを乞うて、出したのが、以下のような答え(スタジオでは、元気な姿でダンカン部長も出演)。

20080508_02

 図形問題にはヒラメキを発揮するマス北野は、いろいろな切り方の図を描いていたが、ポヌさんの描いた展開図のほうが切る長さが最短になると計算して、答えにした。しかし、「まだなんか、ありそう…」とマス北野。

20080508_03

 東大理科三類チーム、衛藤樹さん、伊藤理恵さんの答えは「4√2+1」。マス北野は、「コマネチ大学数学科85講:人工衛星」で、秒殺で正解を出されたため、今回は図形問題ということで、はりきり、ボードにも「秒殺」と解答に至る時間を強調したが、番組を見る限り、最初の段階で、東大生チームは「4√2+1」を導き出していた。残り時間は、他の解がないかどうかの検証に使っていたという感じ。でも、結局、マス北野、ポヌさんコンビの答えと、展開図も同じになった。

 今回は、全員、不正解!

 中村亨センセの「美しき数学の時間」

20080508_04

 まず、切る長さが最短になる戦略として、立方体のどこか1個所の縦の辺を切り、側面を広げる形にする。問題は、上面と底面をどのように切るかだ。対角線(√2)で切るのが最短のように思えるが、上の図で示したように切ったほうが短くなる。赤で表した切り口の線は、互いに120度の角度で交わっている。すると、aの長さは(1/√3)、bの長さは(1-(1/√3))になり、切断する線の長さは…

20080508_05

 上面と底面を同じ形で切り、立方体の一辺の長さを加えるので、切り口の全体の長さは…

20080508_06

 マス北野は、いろいろな切り方の図を考えていたとき、上図のような切り方を描いていたにもかかわらず、おしいところで、逃してしまった。でも、今回は、東大生チームも同じ「4√2+1≒6.656」という答えだったので、コマネチ・フィールズ賞を獲得した。

 今回の問題は、演題の「シュタイナー」に注目し、「4点間における最小シュタイナー木」を知っていれば「ははぁ~ん! なるほどね」となる問題である。

 ヤーコブ・シュタイナー(1796~1863)は、スイスの幾何学・数学者で、中村亨センセによると、計算が大嫌いな数学者であったらしい。

 で、1876年にアレキサンダー・グラハム・ベル(1847~1922)が電話機を発明した。今日、電話回線網は、蜘蛛の巣のごとく世界中に張り巡らされているが、都市と都市を結ぶ回線の長さをいかに短くすることができるかの研究が進み(なにしろ、回線の全長が長くなるほど、コストに影響するからだ)、そこで注目されたのが「シュタイナー」というわけだ。

 1901年には、電話の特許による収益により、ベル研究所(AT&T,Bell Laboratories)が設立され、「最短シュタイナー木」を見つける研究が盛んだったという。

 「最短シュタイナー木」とはなにか。それは、平面上に、n(≧3)個の点を正n角形(1辺の長さを1とする)に配置し、各頂点を結ぶ、最短のネットワークを考える問題だ。

20080508_07_2

  「最小シュタイナー木」は、実際に次のような方法で確かめることができる。2枚のプラスティックの板を重ね合わせ、4つの頂点にあたる、2枚のプラスティックの板の位置にロッド(棒)を取り付ける。その装置を石鹸液の中に浸し、静かに引き上げる、すると、石鹸溶液は、2枚の板の間で、4本のロッドを柱として、石鹸皮膜(シャボン玉の膜)を作る。そのとき、石鹸皮膜は表面張力の関係で、必ず、その表面積を最小にするような形になる。五角形の場合もね。

20080508_08

 もちろん、正n角形でない、任意のn角形の「最短シュタイナー木」は、証明されていない。中村亨センセが言った「どんな場合でも、最短ルートであることを証明したら100万ドル」という、「未解決問題」は、このことを言っているのだと思う。

 宇宙は、均等に星や星雲が散らばっているのではなく、あるところでは、密になり、あるところでは、疎になる。観測結果を3次元マップで表示すると、シャボン玉の膜のようになる、という研究報告があるよね。昔、「♪恋は儚い、夢のようなものだから♪」という歌があったけれど、けっこう、宇宙は、泡のようなものだから、「♪シャボン玉飛んだ、宇宙まで飛んだ、宇宙まで飛んで、(バブルが)はじけて消えた♪」という儚い夢なのかもしれない。「♪明日という日は、明るい日と書くのね~♪」、「♪幸せという字は辛いという字ににてるわ~♪」という歌もある。だからなんだと、ツッコミを入れたくなる気持ちもわからないではないが、今宵は、「儚い(はかない)という字は、人の夢と書くのね」と、しんみり「いいちこ」な気分でしめくくりたい気分^^;


“■コマネチ大学数学科88講:シュタイナー” への2件の返信

  1. たけしのコマ大数学科#87

    たけしのコマ大数学科#87
    (旧名称・たけしのコマネチ大学数学科)
    フジテレビ 2008年5月8日 深夜OA
     
     
    今回のテーマは、
    「シュタイナー」
     
     
    【New!! DVD】
    たけしのコマ大数学科DVDBOX 1
    ¥5,284
    【定番本】
    コマ大数学科
    特別集中講…

  2. 「最短シュタイナー木」
    見事です・・・
    自然の神秘と不可思議さを感じずにはいられないですね。
    特に、正五角形の最短経路は幾何学的にどういった形になっているのかが非常に気になります。
    これが、正六角形、正七角形になると凸包になるというのも非常に不思議です・・・
    「測地線」~「慣性の法則」が見え隠れする所に神秘を感じます。

コメントは受け付けていません。