■コマネチ大学数学科73講:数学ワールドカップSP

 今回の「たけしのコマネチ大学数学科」は、先の「国際エミー賞」のVTRを含めた、「数学ワールドカップ」1時間特番。「国際エミー賞」に関しては、残念だったけど、2006年4月にスタートした、当番組は、2学年。マス北野の「もいっかい、行ってやろうかな」の言を信じ、来学年に期待。今回はアメリカから東大に留学中のジョナサン・ヘッドさんと、ソウル大学医学部卒業の韓国スター、ジョンフンを迎え、いつもは、マス北野とチームを組む、ポヌさん、東大生チームの木村美紀さんと、松江由紀子さん。そして、マス北野と、我らがコマ大数学研究会を含めた、個人バトルだ。

 まずは、第1ROUND。マス北野が得意とする「直観、ひらめき」勝負の問題。挙手による解答順で、正解者には、20pt、15pt、10pt、5ptが与えられる。

 第1問は、マス北野は一番早く挙手するも、解答は「25個」と不正解。ジョナサンさん以外は、全員不正解で、ただひとり、20ptを獲得した。

 第2問もマス北野が早かった。

Comaneci73_02m

 自分でも「きれいだね~」と自賛するのもうなづけるほど、美しい解答だ。2番手は、ジョンフン、そして3番手はコマ大生と続くが、コマ大生の解答は「最大公約数とはなんなのか? が最大の謎」と言う通り不正解^^;ジョンフン、松江由紀子さん、木村美紀さん、ポヌさんが正解した。ジョナサンさんはギブアップ。

Comaneci73_02

 「ユークリッドの互除法」は、12345654321を123454321で割り「除数をその余りで割る」を繰り返していく。最後に余りが「0」になる場合は、その直前の余りが最大公約数となる。

 2問終了時点で、マス北野とジョナサンさんが得点20ptで並ぶ。第3問も、マス北野が一番早く挙手したが、切った紙を並び替えるのに手間取っている間に、ジョンフンが挙手。戸部アナが「1番」の札をジョンフンに置き換えてしまった^^;コマ大生は、4番手で正解。

 予選第1ROUNDが終了した時点での得点は以下のとおり。決勝ROUNDの第4問は、中村亨センセの「美しい解き方」を含めた、判定ポイント(100点満点)が加算される。

Round1

 マス北野とジョンフンが35ptで並んだ。決勝ROUNDの第4問は「ハノイの塔」。ただし、通常の「ハノイの塔」と違い、AとCの棒に5段のハノイの塔があり、これをすべてBの棒に移動せよ! というもの。ルールは同じで一度に動かすことのできる円盤は1個。小さい円盤の上に大きい円盤を重ねてはいけない。ハノイの塔を完成させる、最小手数を求めよ。

【遊び方】たとえば、AからBへ移動させるには、Aのボタンをクリックしたあと、Bのボタンをクリックする。小さい円盤の上に大きい円盤を重ねてはダメというルールはチェックしていないので、自分で判断してね。

 ジョンフンは、ただひとり「ハノイの塔」の模型を使わず、ひたすら鉛筆を動かす。完成形の前段階、1手前、2手前に求められる形を考え、順にそこに至る手数を数える、数学的発想だ。答えは「112手」だが、自信はないと言う。

 松江由紀子さんは、円盤が数が少ないときの手数を数え上げ、それらを足し合わせる考え方。複雑な問題を理解できる単位に分解し、法則を見つける。これも数学的発想法のひとつ。答えは「91手」で、解答の中ではもっとも小さい。

 マス北野は、一般的な「ハノイの塔」の手数が(2^n-1)になることを知っていた。しかし、答えは、解答の中でもっとも大きい「238手」。本人曰く、途中から江原啓之の「この数字を書け」という声が響き、従ってしまったと^^;

 コマ大数学研究会は、公開ロケで検証した結果は「113手」だったが、神が舞い降りたのか、スタジオでの検証では「96手」になった。

 というわけで、正解は「96手」で、コマ大数学研究会のみが正解した。

 一般的な「ハノイの塔」を解く手数の一般式は、マス北野の言うとおり「2^n-1」になる。この問題の一般式は、「(40×2^n-18×n-39-(-1)^n)÷12」になるそうだ。

 さて、中村亨センセの判定ポイントを加算した最終結果は……。

Round2

 優勝は韓国スターの「ジョンフン」に決定した。しかし、私としては、コマ大生の奮闘を讃えたい。

 最後に今年一年間、このブログを訪れてくれた多くの方々に感謝。よいお年を……。


“■コマネチ大学数学科73講:数学ワールドカップSP” への10件の返信

  1. 今年は応援ありがとうございました!
    4月にはDVDが発売される予定です。
    来年もよろしくお願いいたします。

  2. コマネチ大学2007年末SP (数学ワールドカップSP編)

    コマネチ大学2007年末SP
      (数学ワールドカップSP編)
    たけしのコマネチ大学数学科
     数学ワールドカップSP  2007/12/27 深夜OA
     
     
    「マス北野現役東大生に最強刺客勝者は誰!?
     数学、ワールドカップ。開幕!!」
     
     ※記事が二つに分かれています。
      国際…

  3. コマネチ大学2007年末SP (国際エミー賞舞台裏 完全密着ドキュメント編)

    コマネチ大学2007年末SP
     (国際エミー賞舞台裏 完全密着ドキュメント編)
    たけしのコマネチ大学数学科
     数学ワールドカップSP  2007/12/27 深夜OA
     
     
    <第35回・国際エミー賞舞台裏 完全密着ドキュメント>
     
    クリックすると国際エミー賞のサイトへ
     ※…

  4. あけましておめでとうございます。
    番組で紹介されていたのとは、別の一般式を導きました。
    n段2つのハノイの塔の、最小手数をS(n)とする(nは自然数)。
    S(1)=2
    S(2)=7
    S(≧3)=S(n-2)+1+2{2^(n-2)-1}+2(2^n-1)
         =S(n-2)+10・2^(n-2)-3
    どうでしょう(^^;)下の2段を無視して、残りを真ん中に集めるのにS(n-2)手。端から端へ1個動かして、そこに真ん中の塔を移すのに1+2{2^(n-2)-1}手。残りが2(2^n-1)手。整理してS(n-2)+10・2^(n-2)-3手。
    ただ、こっから「(40×2^n-18×n-39-(-1)^n)÷12」を導くのは、私の素養では無理です。

  5. 先日、初書き込みをしました藤崎といいます。
    このハノイの塔の問題は「2つの山を一つにまとめる回数」を求めますが、このまとめかたで回数が変わります。円盤の数をn枚としたとき
    番組で出した「中央にまとめる回数」を x(n)
    「左右どちらか一方にまとめる回数」を y(n)
    とおくと次の関係があります。
    x(n) = y(n-1)+2^(n+1)-2
    y(n) = x(n-1)+2^n-1
    以上から
    x(n) = x(n-2)+5*2^(n-1)-3
    という式が出ます。この式と x(1)=2, x(2)=7 という数(この数は実際に動かして調べる?)を使うと x(n) が計算できます…
    と簡単に書きましたが、この計算はおそらく大学入試以上のレベルの問題だと思います。同じように y(n) も計算できますが x(n) の計算でもううんざりです。

  6. 謹賀新年
    あけましておめでとうございます
    昨年はお世話になりました。
    今年もどうぞよろしくお願い致します。

  7. あけましておめでとうございます。
    竹内センセ、ともみさん、藤崎さん、シャブリさん、
    コメントありがとうございます。
    正月の三が日も過ぎ、お屠蘇気分でもアルマーニ、私の場合は、いつも「いいちこ」気分なので、あいかわらず酔っ払っています。
    一般的なハノイの塔の手数をH(n)とすると、
    H(0) = 0
    H(1) = H(0)+1+H(0) = 0+1+0 = 1
    H(2) = H(1)+1+H(1) = 1+1+1 = 3
    H(3) = H(2)+1+H(2) = 3+1+3 = 7
    H(4) = H(3)+1+H(3) = 7+1+7 = 15
    H(5) = H(4)+1+H(4) = 15+1+15 = 31
    ≪参考≫
    「プログラマの数学」結城 浩/著
    というわけで、[n]段のときの手数は、ひとつ前の段の答え(n-1)を2倍して1を加えると得られます。一般式は「2^n-1」になりますよね。
    「コマネチ大学数学科:ワールドカップSP」のダブルハノイの塔の一般式(閉じた式)が、なぜ「(40×2^n-18×n-39-(-1)^n)÷12」になるのか、私にも導出することができません><;
     それどころか、ともみさんや、藤崎さんのように漸化式を求めることも、あきらめてしまいました;;
     でも、上記の「プログラマの数学」をマネて、ダブルハノイの塔の手数をS(n)とすると、
    S(0) = 0
    S(1) = S(0)+2+S(0) = 0+2+0 = 2
    S(2) = S(1)+2+S(1)+? = (2+2+2)+1 = 7
    S(3) = S(2)+2+S(2)+? = (7+2+7)+3 = 19
    S(4) = S(3)+2+S(3)+? = (19+2+19)+4 = 44
    S(5) = S(4)+2+S(4)+? = (44+2+44)+6 = 96
    ……となり、「?」の部分は[n]が偶数のときは、1コ増え、奇数のときは2コ増えます。
    「だから?」と言われても困るんですが、これも法則だと思うんですよね^^;
     ちなみに、記事中、解答のFlashムービーを掲載しましたが、これは、再帰的なプログラミングで計算したものではなく、1手ごと、コツコツと自分で動かして、それをムービーにしたものです。「なぁ~んだ」という感じですね><;
     だから、私は、数学落ちこぼれの爺なんだってば^^;
     こんな爺ですが、本年もよろしくお願いいたします。

  8. ハノイの塔の一般式導いてみました。
    ちなみに、
    ①両側n枚×2を全部真ん中に集める回数をx[n]
    ②両側n枚×2を右か左に全部集める回数をy[n]
    ③ひとつの棒に2n枚あるのを他の棒に全部移す回数をz[n]
    として漸化式をたてました。一応高校レベルで解けますが、非常に解きがいがあるものでした。
    ちなみに答えはnが偶数の時と奇数の時で違います。番組で紹介された一般式は、(-1)^nを利用してすべてのnに対する一般式を求めたみたいです。

  9. 全く才能なしですが、なんとか漸化式を導けました。
    一部、不明な点もありますが、どなたかフォローしてくれると
    ありがたいです。
     まずは私なりの手順の解釈です。
    1.左右の上部n-2段までを中央に移動
    2.右(左でもいい)のn-1段を左に重ねる
    3.真ん中に集めたn-2段までを全部左に
    4.右に残った最後のn段目を真ん中に移動
    5.左の一番下を除いたn-1段までを全部右に移動
    6.左に残った最後のn段目を真ん中に移動
    7.右のn-1段すべてを真ん中に移動
    で、以上を式にすると、
    D(n) = D(n-2) + 1 + 2S(n-2) + 1 + 2S(n-1) + 1 + 2S(n-1)
    となります。1.は即ちn-2段の2つハノイの塔の手順ってことなので、D(n-2)となります。
    S(n)は通常の1つのハノイの塔n段の場合の手順数で、すでに紹介されているように、
    S(n) = 2^n – 1
    3.の手順は、各段が2枚ずつになったn-2段の通常のハノイの塔と考えられるので、移す手順は2*S(n-2)です。
    5.7.も同様です。
    で、上の式を展開すると、
    D(n) = D(n-2) + 2*(2^(n-2) – 1) + 4*(2^(n-1) – 1) + 3
    = D(n-2) + 2^(n-1) – 2 + 2^(n+1) – 4 + 3
    = D(n-2) + 2^(n-1) + 2^(n+1) – 3 ・・・式1
    となりました。
    これでも十分問題を解けるのですが、漸化式を目指します。
    いろいろ調べたのですが、
    D(n) = (Dn-2) + f(n)
    の形をズバリ解く方法は見当たらなかったので、自分流で強引に行きます。
    式1をn=2..nの範囲で足すと、左辺と右辺の最初のD(n-2)の項が打ち消しあって
    D(n) + D(n-1) = D(0) + D(1) + ∑(k=1..n-1 2^k) + ∑(k=3..n+1 2^k) – 3(n-1)
    = 0 + 2 + [2^n -1 – 1] + [2^(n+2) – 1 -(2^0+2^1+2^2)] – 3(n-1)
    = 5*2^n – 3n – 5 ・・・式2
    ここで、
    ∑(k=0..n x^n) = (x^(n+1) – 1)/(x-1)
    という公式を利用しています。kの範囲に注意して余計な項を引きます。
    で、
    D(n) = -D(n-1) + 5*2^n – 3n – 5
    D(n-1) にマイナスが付いていなければもっと楽なのですが、この場合は両辺を
    (-1)^n で割って(掛けてもこの場合は同じ)
    D(n)*(-1)^n = -D(n-1)*(-1)^n + 5*2^n*(-1)^n – 3n*(-1)^n – 5*(-1)^n
    d(n) = D(n)*(-1)^nとおくと、
    d(n) = d(n-1) + 5*(-2)^n – 3n*(-1)^n – 5*(-1)^n
    となり、式2を導いたときのように総和の公式を使って、
    d(n) = d(1) + ∑(k=2..n 5*(-2)^k) – ∑(k=2..n 3n*(-1)^n – ∑(k=2..n 5*(-1)^n)
       ・・・式3
    ここで、正直2番目の項∑(k=2..n 3n*(-1)^n) を展開する方法がわかりませんでした^^;
    ただ、0,-3,3,-6,6,-9,9,… という数列になるので、これに合うように
    ∑(k=1..n 3n*(-1)^n) = 3n{1-(-1)^(n+1)}/4 – 3(n+1){1-(-1)^n}/4
    としました。これを使って、式3は
    d(n) = d(1) + [5{(-2)^(n+1) – 1}/(-2-1) – (-10) – 5]
    – [3n{1-(-1)^(n+1)}/4 – 3(n+1){1-(-1)^n}/4 – 3]
    – [5{(-1)^(n+1) – 1}/(-1-1) – (-5) – 3]
    = …
    = -5*(-2)^(n+1)/3 – 3n*(-1)^n/2 – 3*(-1)^n/4 + 5*(-1)^(n+1)/2 – 1/12
    となります。これを元のD(n)に戻すために各辺に(-1)^n を掛けると、
    D(n) = 5*2^(n+1)/3 – 3n/2 – (-1)^n/12 -13/4
    となりました。中村センセの一般式と同じ、ですよね?
    一応、5段まで検算しましたけど、あっていそうです。
    あー、超疲れました。一部インチキなので、誰かわかる人フォローお願いします。。。

  10. みのりあんさん、コメントありがとうございます。
    & お疲れさまでした^^
    すごいっス。

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