■Flash:ノミのジャンプ

問題:互いに1メートルの距離をおいて3匹の猫がいる。この3匹の猫を結ぶ線の内側に1匹のノミがいる。ノミは、いずれかの猫めがけてジャンプするが、たえず目測を誤り、目標とする猫の半分の距離までしか跳べない。ノミは目標とする猫を気まぐれに選び、ジャンプを繰り返す。はたして、ノミは猫にたどりつくことができるか。また、ノミが着地できる場所はどの部分か。もしも、ノミが着地した場所に印をつけていくと、面積はどのくらいになるか。

出典:数学の部屋ノミのジャンプ

 ノミの軌跡がどんな図形になるかを思い浮かべて、画面内をクリックしてね。

 ノミがジャンプを繰り返すと、シェルピンスキーのギャスケットが浮かび上がってくるではないか。「3匹の猫のいずれかに向かい、半分の距離を跳ぶ」という簡単なルールで、シェルピンスキーのギャスケットが描かれるのは驚きだ。三角形の中ならば、ノミの初期位置はどこにあってもよい。「数学の部屋」には、上のFlashと同様とゆーか、もっと高機能なプログラムが公開されているのだけれど、この問題を目の当たりにして、どうしても本当にこんな簡単なルールで描かれるのか、自分で確かめたくなったわけ。

 出典元の「数学の部屋」には、(引用 21世紀への学校数学の展望 横地 清監修 誠文堂新光社 1994) とある。私は、この本を読んでないので、孫引きで申し訳ない;;

 で、「数学の部屋」では、問題を次のように置き換えている。一辺が20cmの正三角形から、順に辺の長さが半分の正三角形を切り抜いていく……。

問題1:この操作を2回、3回、4回と繰り返したときの三角形の面積を求めよ。

問題2:正三角形が2187個できるのは、何回目の操作の後か。

問題3:この操作を無限に繰り返していくと、この図形の面積の和はどうなるか。

 小学生や中学生を含む、数人から回答が寄せられているので、模範解答は「数学の部屋」を参照してほしい。

 「数学の部屋」が元々の問題を置き換えているのは、ややもすると、禅問答に陥ってしまうのを避けるためではないかと思われる。「ノミは猫にたどりつけるか」は、「アキレスと亀」のパラドックスのごとく、アキレスがどれだけ速くとも、亀との距離の(1/2)の地点を通過する。この(1/2)の地点は、無限に存在するので、アキレスは亀に追いつけない……といったもの。昔の電卓のように「(1/3)*3=」としたときに「0.9999999……」と表示されるのは、計算誤差のせい。もしも「0.9999999……≠1」とすると、実数の連続性に穴があいてしまうことになる。ん、まてよ。同じ猫に向かって無限に(1/2)ずつ距離を縮めるわけではなく、ノミは気まぐれだ。跳ぶ方向を変えてしまう。すると、ノミは猫にたどりつけないのか……。いやいや、そういう考え方こそ、「アキレスと亀」のパラドックスに陥る原因で、同じ猫に跳び続ける場合と、違う猫に方向転換する場合は、「無限」においては、同じく存在する。やっぱり、ノミは猫にたどりつけるのら^^;

 「ノミが着地できる場所はどの部分か」は、Flashムービーで確認したように、シェルピンスキーのギャスケットのようになる。しかし、初期位置は、正三角形の内部ならどこでもよい、となっているので、最初の2,3点は、見た目にも、これからズレることを確認できる。以後、限りなくシェルピンスキーのギャスケットに収束していく。

 最後の「ノミが跳んだ跡の面積」なのだが、もともと、座標の点は面積を持たないので、これをいくら集めても面積は「0」だ。コンピュータによるシミュレーションでは、ノミの跳んだ跡(印)を、具体的な面積を持つピクセルで表しているので、面積があるように見えちゃうけどね^^; しかし、ノミは小さいとは言え、足跡には、面積があるはずだ。狭い面積を表す比喩として「猫の額」という言い方があるけれど「ノミの足跡」という言葉は聞いたことがない。ノミの足跡を誰も見たことがないからだと思う。小心者という意味での「ノミの心臓」という言葉はあるけれど……。でも、すごいジャンプ力を誇るノミならば、心臓も強いに違いない……って、いったい何の話?

 ところで、「数学の部屋」に掲載されているプログラムでは、正三角形の他にも、正五角形や正六角形の図形を描くことができる。その際、ノミの跳ぶ距離(倍率)を選べるようになっているのだが、「0.5」「0.6」「0.7」のように小数点以下、1桁までしか指定できない。ノミが跳ぶ回数(ループ回数)も5000回までだ。実際に描いてみるとわかるが、なんとなく図形が浮かび上がるものの、ピントが合っていないというか、細部まではわからない。なんとしても、その先を見てみたい……。

 そこで、猫が5匹になった場合のFlashを作成してみた。どんな図形になるかイメージしてね。

 ここで、爺からの問題というか、質問^^;
このFlash(正五角形)では、ノミの跳ぶ距離を「0.6」ではなく「(1+(√5-1)/2)-1」(0.618033988749895)としている。この値は、爺が「いいちこ」な塩梅で決めたもの。ぶちゃけ、「黄金比」から「1」を引いたわけだが、この値が正当(図形の重なりがなく、かつ、最大で図形の誤差が最も少ない)か否か。もし、そうならば、その理由を述べよ……というか、酔っ払い爺にもわかるように教えてほしい。

 同様に、猫が6匹(正六角形)のときのジャンプ距離の倍率は、結果オーライの爺のいいかげんさが爆裂。こんな爺に惑わされることなく、最適なノミの跳ぶ距離(倍率)を考えてほしい。さらに、正n角形のときのノミのジャンプ力を求める、数式(一般項)を求めることは可能なのか? 酒ノミの爺に愛の手を……。

■ダウンロード(fleajump.zip:33KB)
fleajump.fla(Flash8)
fleajump.swf
fleajump.html

猫が5匹のバージョン
■ダウンロード(pentagon.zip:36KB)

正四角形から正八角形まで描くテストバージョン
■ダウンロード(flea_test.zip:173KB)

“■Flash:ノミのジャンプ” への3件の返信

  1. 「21世紀への学校数学の展望」ですが、Amazonで「古書」として入手しました。1994年の発行とあって、学校教育の現場にもコンピュータがさかんに導入された時期。「数学の授業」はどうあるべきか、12人の著者が語っています。
     教育に携わる「数学」の先生方が読む本で、「数学教育史」や「数学文化史」といった章を含め、全486ページもあります。なので、興味のあるところだけを拾い読みしました。面白いと思ったのは「割り算」の教え方というか、計算方法って、国によって違うんですね。
     「ノミのジャンプ」に関しては、BASICのプログラムが掲載されていました。任意の多角形(N)とジャンプ距離:倍率(M)を入力して図形を描くものです。中学校の数学のカリキュラムに「いろいろなフラクタル図形を描いてみる」といった授業があったら楽しそう……。
     21世紀の現在、学校数学の現状はどうなっているんでしょうか。

  2. あれから13年たちました。21世紀になったら学力低下。そこで数学の勉強の内容は1990年に戻ることになりました。タイムマシンですね。
           ノミのジャンプの作成者 

  3. ノミのジャンプの作成者さま、コメントありがとうございます。
    「ノミのジャンプ」は、目標の半分の距離を跳ぶという簡単なルールを繰り返し実行すると、その軌跡が「シェルピンスキーのギャスケット」になることに、まさに目からウロコが落ちる思いでした。考えてみると、パスカルの三角形を遇奇によって色を塗り分けることと、一緒だったんですね。
    私が学生の頃は、コンピュータはパーソナルなものではなく、かなり歳をとってから、出会ったわけですが、当時は高額なオモチャでした。
    現在、学校教育の現場で、コンピュータを使った、どのような授業が行われているのか、興味深いところです。

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