はじめての数式処理ソフト CD-ROM付 (ブル-バックス) 著者:竹内薫 出版:講談社 価格:1200円+税 発行年月:2007年7月 ISBN978-4-06-257560-7 |
私にとって「Maxima」は、文字通り「はじめての数式処理ソフト」だ。「Mathematica」など、その存在と名前くらいは知っていたけれど、なんとなく「数式処理」という言葉から連想したのは、分数や二乗、さらには「Σ」などの数学記号をちゃんと表示することができるソフトというくらいの認識だった。
たとえば「y=x^2-x-1」という数式があったとき、変数xにある値を代入すれば、yの値を計算できる。パソコンは計算は得意なのだが、「y=0」のとき、つまり、「x^2-x-1=0」の「x」を求めるには、2次方程式の解の公式を用いて「x=なんたらかんたら」という式に変換しなければならない。
「Maxima」の場合は……。
パソコンでの計算式を入力すると、ちゃんと数式として表示される。この最初についている(%i1)とか、(%o1)は、inputの1行目、outputの1行目を表している。処理した行を覚えているので、たんに(%)を指定すると、直前の式を参照する。
この式に「solve(解答する)」という命令を与えると、2次方程式の解を「x=」の数式のまま表示する。
小数で表示したいなら「float(浮動小数点)」とすればいい。
この「(√5+1)/2」(約1.618)は、黄金比と呼ばれる。この黄金比を連分数の形で表してみると……。
なんとも、スッキリとした美しい式になった。よく「ミロのヴィーナス」や「パルテノン神殿」には黄金比が隠されていて、黄金比で作られたものを人間は美しいと感じるというが、なぜ、人間はそれを美しいと感じるのかは、説明しきれていない。ある人は黄金比の構造が「入れ子状態」にあることに着目し、自然界にたくさんある自己相似を見るからだと説明する。つまり黄金比の中に自然(神の摂理)を感じるからだと……。
話を戻すと、Maximaのもうひとつの魅力は、同じくフリーソフトの「gnuplot(グニュープロット)」と連携して、グラフの表示ができること。もちろん「はじめての数式処理ソフト」のCD-ROMの中に「gnuplot」も含まれていて、一緒にインストールされる。
本書の中でも解説されている黄金比のサンプルを表示してみた。
さらに、スゴイのは「ペンローズのツイスター」の描き方や、「カラビ-ヤウ空間」の描き方まで掲載されていること。CD-ROMには、そのサンプルも収録されている。
これは「gnuplot」の画面をキャプチャーした画像だが、実際は、マウスでドラッグしてぐりぐり動かすことができる。
まだ「はじめての数式処理ソフト」を、ざっと読み終えたところなので、私自身、Maximaの入口に立ったばかり。もっと使い込めば、新たな魅力に気づくだろう。本書の裏表紙には「理系学生なら、絶対必要! 必ず役立つ!」とあるけれど、計算が苦手な文系の人、数学落ちこぼれの爺にもオススメ^^; なによりもうれしいのは、すごく高価な「Mathematica」には手が届かないけれど、「Maxiam」なら手軽に始められることだ。
本書の3章では「たけしのコマネチ大学数学科」で出された問題も紹介されている。私にとって、非常にうれしかったことは、本書の巻末にある「参考文献・URL」のページに、この「ガスコン研究所」のURLが紹介されていたことだ。竹内薫センセ、ありがとう。
《関連リンク》
先日、お尋ねしました。gnuplotの使い方が分からなかったのですが、TXTファイルに書いたものを直接貼り付けただけで、うまく行きました。3章の連分数の所で、円周率πはうまくいかないとありましたが、πの値を数値で与えてやれば、297の次ぐらいまで、出てきました。
8章のボームの量子ポテンシャルの理論なかなか面白いでした。特に、ポテンシャルの様子が具体的に図に出てきて、暑さも老いも忘れて、楽しみました。有難う。
嶽 鐘二さま、コメントありがとうございます。
コメントの内容から察すると、以前にコメントを寄せてくれたことがあるように受け止められます。ところが、私のほうに覚えがないのです……。
ひょっとして、酔っ払って間違えてコメントを削除するという重大なミスをしでかしてしまったのかと、コメント通知メールを検索して探しました。しかし、見つからないのです。
過去にココログでは、コメント通知メールが届かないというシステムトラブルが発生したこともあり、もしも、それに私のミスが重なったとしたら、大変、申し訳ないことをしてしまいました。