■オートマトン

 セルオートマトン(Cellular Automaton)とは、ひとつひとつのセル(細胞、あるいは、区域)がオートマトン(情報を自動処理)して、自己増殖するプログラムだ。「ライフゲーム」もセルオートマトンの一種。その(自己増殖の)ルールは非常に単純なものだが、情報処理を繰り返し行っていくと、全体としてはおもしろいパターンが出来上がる。ここでは、ある程度進んだら2つに枝分かれするルールを適用してみる。

 ランダム(乱数)要素を入れているので、「枝の広がり」の数値を変更しても、変化を感じにくいかもしれないが、最小値の「10」と最大値の「90」では、結果的に大きく違うことを確かめてほしい。

 このActionScriptは、「シミュレーション物理入門 ― 超粒子モデルの世界」という本に掲載されていた、PC9801(N88BASIC)用のプログラムを参考にした。私の手元にあるのは、1990年の第3刷だが、こんな昔の本は、いくらなんでも、もう入手困難だろうと思いながら、アマゾンで調べたら、なんと「在庫あり」だった^^;

 どんな内容の本なのか、ざっと目次から拾ってみると、2章「格子力学」の「神経回路網モデル」では、スピン系とニューロンモデル、記憶と学習のシミュレーション、連想過程のシミュレーションなど。3章「量子モンテカルロ」では、プランクの量子仮説から始まり、ボーアの理論、シュレディンガー方程式、不確定原理とフーリエ変換と続き、虚時間シュレディンガー方程式のモンテカルロ法……と、頭が痛くなる内容だ。私には呪文のような数式もバンバン出てくる。以降、4章「格子ガスセルオートマトン」、5章「分子動力学」、6章「天体物理学」、7章「核融合とプラズマ」という構成。

 難しい話はともかく、意味がわからないながらも、パソコンで図形を描けたときはうれしいし、いろいろパラメータをいじったりするのも楽しい。呪文のような数式を解き明かすとゆーか、パソコンで計算するだけでも、ある程度「数学」の基礎的な知識が必要だなぁ……と感じる今日この頃なのだ。

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シミュレーション物理入門 ― 超粒子モデルの世界
著者:矢部孝/川田重夫/福田昌宏
発行:朝倉書店
価格:3,675円(税込)
ISBN4-254-13044-9

※私の手元にある版は価格が「2,600円+税」だが、重版、あるいは改訂版のときに価格を変更したのかも……。