■コマネチ大学数学科52講:ファニャーノ

今回は「ファニャーノ」というわけで、戸部アナも「猫耳」をつけて登場した^^;猫好きの竹内薫センセが講師を務める「たけしのコマネチ大学数学科」第52講。で、今回はイタリアの数学者「ファニャーノ」が考えた問題ということだが、「ファニャーノ」って誰?

問題:△ABCの3辺上に3辺の長さが最小になる△DEFの3点、D,E,Fを作図せよ(ただし、△ABCは鋭角三角形とする)。

コマ大数学研究会は、三角形の鉄棒にぶら下がり、3人にロープを繋ぎ、ロープが最短になるポイントを探る。昔は、鉄棒で懸垂50回は軽くこなしていた私だが、爺になってめっきり体力は衰えた。それはダンカンも同じだ。そこで、みなさんもダンカンになったつもりで、司令塔になり、黄色い三角形をドラッグして動かし、「もっと右」とか「もっと左」というように、D(ケンタ)、E(小林)、F(無法松)に指示を与え、最小距離を求めてほしい。

ちなみに、上図の場合、三辺の長さ(合計)が「368」以下なら、誤差範囲として勝手に正解とする。「ガイドを表示」ボタンは、ネタばれボタンなので、使わないでね。

そんなわけで、コマ大数学研究会は、意外と体力を消耗する実験に25回の試行数で断念。

マス北野は、最初の考え方は合っていたものの、深読みしすぎて失敗。東大生チームは、証明まで、そつがなく、コマネチフィールズ賞を獲得した。

さて、コマ大数学研究会方式でも、ある程度、正解に迫ることができる。問題は、それが最小となる証明だ。

おまたせ、竹内薫センセによる「美しき数学の時間」。まずは、三辺に任意の点、D,E,Fを決める。この三点を結んだ辺の長さが最小になるようにするわけだ。過去「ビリヤード」の問題(第3回:モーペルテュイの原理)でも「最短距離は直線になる」というのがあった。

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点Dが辺ABに対して鏡像になる点をD’とする(東大生チームは、三角形全体を辺ABを中心にしてパタッと反転させるという方法を取った)。同様に辺ACに対して点Dの鏡像となるD”を作図する。D’とD”を直線で結ぶと、3つの辺、D”E’、E’F’、F’D’の合計となる。

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任意の点Dは、BC上ならどこにも置くことができる。ここで三角形AD’D”に注目すると、D’D”の距離を最小にするためには、AD’、AD”を最小にすればよい。AD’とAD”は言うまでもなく、ADと同じ長さ。点Aから、辺BCに対して最小の距離になるのは、垂線。そして、このとき、CFも辺ABに対して直角、BEも辺ACに対して直角となる。つまり、点A、B、Cから、それぞれ垂線を引き、点D、E、Fとしたとき、それらを結ぶ線が最小となる。

で、この「ファニャーノ問題」なのだが、竹内センセによると文献を調べても「ジュバンニ・ファニャーノ」とか「I・F・ファニャーノ」など、いろいろな名前が出てくるらしい。まあ、もっとも有力なのがイタリアの数学者「ジュリオ・カルロ・ファニャーノ」(1682~1766)で、たぶんこの人が考えたんじゃないかと。貴族出身で独学で数学を学んだということだが、数々の偉業を残しているわりには、文献として残されていないという。もともと「ファニャーノ」ってイタリアの地方の名前だから、日本で言えば、田中さんや鈴木さんのように、多い名前なのかも。

次回は「数学オリンピック」に挑戦ということで、コマ大数学研究会に強力な助っ人登場か?

Neko2
猫はカガクに恋をする?
竹内薫/著 藤井かおり/著
インデックス・コミュニケーションズ
価格:1,470円(税込)
発行年月:2007年06月
ISBN:978-4-7573-0455-0