数学ガール 結城浩/著 ソフトバンク クリエイティブ |
頭の中でカタラン数が「カタラン、ワカラン」と音を立てている……と、誰でも引いてしまうようなブログの記事を書いたとき、結城浩さんがコメントを残してくれた。それが縁で、結城さんの最新刊「数学ガール」のレビューワーという栄誉を授かることになった。
レビューワーは、本の発行前、章ごとにまとめられた執筆途中の原稿を読み、感想を書くだけだが、私には、とても新鮮な感覚だった。編集者としてではなく、まったく利害関係のない一読者として素直な感想を書くことができる。もっとも、数学オチこぼれの酔っ払い爺には、難しい数式はわからないので「ぜ~んぜん、ワカラン!」と書く。結城さんも「なんでこんな爺をレビューワーに……」と後悔したことだろう^^;
「数学ガール」の物語に引き込まれ、私は「僕」と一緒に数学の冒険の旅に出る。「エレガントな解法で僕を打ちのめす才媛、ミルカさん」、「真剣に問いを投げかけてくる元気少女、テトラちゃん」とともに呪文のような数式を解き明かし、それを武器に変える。まさしく、ロール・プレイング・ゲームのように楽しめる。たんにゲームの経験値(EXP)というものではない。それは、現実の自分自身の体験なのだ。思えば、こんなに楽しく数学を体験したことなかった。
「学校の先生は、どうして先輩のようにていねいに教えてくれないんでしょうか……」というテトラちゃんの言葉を、本当に中学、高校の時代に戻り、先生に言いたいくらいだが、それよりも、当時の私に「数学ガール」を読ませてあげたい……と素直に思った。しかし、この物語の「僕」は「僕たちは好きで学んでいる。先生を待つ必要はない。授業を待つ必要はない。本を探せばいい。本を読めばいい。広く、深く、ずっと先まで勉強すればいい」と言う。
たしかにそうなのだ。中学や高校だけでなく、大人になってからでも、私のように爺になってからでも学ぶことはできる。今、その本は目の前にあるのだから。
《参照》
書籍『数学ガール』(結城浩)
http://www.hyuki.com/girl/