■同時確率と条件付き確率

またまた、「コマネチ大学数学科」38講の「スパゲッティ問題」である。茹でる前のスパゲッティを折る話なので、こんがらがることはないと思うのだが、私の頭の中では、複雑にからみついて、なかなか解きほぐせない。

前回の「スパゲッティ問題(その2)」では、モンテカルロ法でこの問題を解こうとしたら、期待したとおりの値にならなかった。変数名や図がひとりよがりでわかりにくく誤解を与えた部分があったので、そのへんを整理してみた。


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三角形ができる条件も変数名を変えただけで、やっていることは同じ。

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結局、何がいけなかったかと言うと、30cmのスパゲッティを無作為に折る点を求めるのに、A,Bとも、0以上30未満の任意の値(乱数)で表しているので、黄色い部分も含めた正方形の範囲になる。このうち、三角形ができるのは、オレンジの部分。つまり、全体から見ると「1/8」=0.125になってしまったわけ;;もちろん、1本のスパゲッティの長さは30cmなので、A+Bが30cmを超えることはない(緑の三角形の範囲)。これを考えれば「1/4」という正しい答えになる。

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A+Bが30を超えることはありえないので試行数にカウントしないという方法が正しいと思うが、ここでは試行数の半分は黄色の部分なので、たんに試行数を2で割ってごまかした。また、三角形を作ることのできる定義をわかりやすくした(各辺が15cm以下と意味は同じ^^;)。ちなみに「and」を「&&」に置き換えているが意味は同じ。Flashのヘルプを見たら、Flash5以降では、「and」を使わず、「&&」を使うようにとあったので、それに従った。なんか、データ捏造のような感じだけれど、とにかくこれで、モンテカルロ法によるシミュレートで25%近くに収束するようになった。


最初、私はこの「スパゲッティ問題」を難しく考える必要がなく、スパゲッティを折るとき、その断片が15cmより短いか、15cmより長いかの確率は「1/2」。そして、2本のうち、短いほうか、長いほうを選ぶかは「1/2」。短いほうの断片を選んでしまうと三角形ができない。つまり、長いほうのスパゲッティを選ぶ確率は(1/2)*(1/2)で「1/4」になる……と大ポカをこいた。ちょっと考えれば、長いほうを選んでも、必ずしも三角形が作れないことは明白だ。

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■竹内薫センセのコメント

実験をする場合には、「最初に2つに折ってから、長いほうを折ると確率は0.386になるので気をつけろ」と書いているくらいです。(2回目を長いほうではなく、1/2の確率で長いほうか短いほうを折ると確率は0.193になる!)

■シャブリさんのコメント

一発で折る場合と、2回に分けて折るときでは、確率が違うと言うことなのでしょうか。

数学落ちこぼれの私には、数式で証明することができないので、モンテカルロ法で検証しようとしたわけだ(いきなり、つまづいてしまったが;;)

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というわけで、ちゃんと竹内薫センセの言うとおり、38.6%前後に収束するように見える。これは「同時確率と条件付き確率」との違いらしい。

以前「モンティホール問題」のときにも書いたけど、確率の問題って難しいよね。SPA!に掲載された「あるタレントに隠し子が2人いることが発覚!1人は女の子。もう1人は男女どちらの確率が高いか?」という問題も、人によっていろいろな捉え方があって、議論が紛糾しておもしろかった。これも、同時確率か条件付き確率か、どちらの立場を取るかで意見が分かれるのだと思う。

“■同時確率と条件付き確率” への2件の返信

  1. これ、からくりが分かればあっさりしてますよ
    仮に割れ目の一方が25cmと5cmの場合、一気に割った場合は
    25cmの方が折れる確率が圧倒的に高いです
    ですが、1回折って選びなおすという作業が入ると
    25cmも5cmも1/2の確率で選ばれるため、計算がずれるわけですね

  2. コメントありがとうございます。
    出水さんは、この問題(三角形を作る)以外に、5角形や7角形のような多角形についても、パソコンでシミュレートしていらっしゃるんですよね。そのデータは、ホームページやブログなどで公開されているのでしょうか?

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