「XML」で標準化への流れ

 このところ、私のブログの中に「XML」という言葉が頻繁に登場している。

Sake_061  「Google」のパーソナライズド画面に自作のガジェットを追加するのにも「XML」が使われているし、「ブログを無料でPDFへ!」でも、ブログのコンテンツをエクスポートする際に「XML」が使われている。

Sake_062  また、「Google Earth」のデータ形式は「KML」または「KMZ」だが、これは「XML」で「KML」というデータ形式を定義したもの。「KMZ」は「XML」を「ZIP」で圧縮したものであり、試しに「KMZ」という拡張子を「ZIP」に書き換えて、解凍(展開)すると「XML」で記述した「KML」が出来上がる。

Sake_063  「XML」は、その名のとおり「eXtensible Markup Language」というマークアップ言語のひとつなのだが、ユーザーが独自のタグを指定することが可能なことから、マークアップ言語を作成するための、「メタ言語」として注目を浴びた。標準化が進むウェブのマークアップ言語である「XHTML」や、ウェブで数式を記述するための「MathML」なども「XML」で記述されている。

 来年早々にも投入される「Windows Vista」だが(またまた、延期?)、「2007 Microsoft Office system」の標準保存形式も「XML」だ。「Word」も「Excel」も「PowerPoint」も保存形式は「XML」をZIP圧縮したもの。たとえば、「エクセル」ならば「XLSX」という拡張子になるようだ。

 文字、数値、画像などのデータをすべて文字データとして表現することは、じつは効率が悪いらしい(変換が必要なため)。しかし、コンピュータの性能の向上によって、共通のフォーマット(構造化した文書)としてのメリット、テキストという可視性のある文書としてのメリットのほうが、処理に時間がかかるというディメリットよりも上回るようになり、近年、一躍、華々しい表舞台に登場したわけだ。

 なにやら、楽しくなりそうな予感はするのだが、やりたいことが多すぎる……。

10日でおぼえるXML入門教室 第2版
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著者:山田 祥寛
販売元:翔泳社

Web標準の教科書
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―XHTMLとCSSでつくる“正しい”Webサイト

著者:益子 貴寛
販売元:秀和システム


「500円でわかるグーグル」発売!

Google_mook  「ウェブ進化論」や「グーグル Google 既存のビジネスを破壊する」などの新書がベストセラーになり、「Web2.0」なる言葉がひとり歩きを始めた。

 「Web2.0」なる言葉は、誤解されやすい。何もわからない会社の上司が「うちの会社は『Web2.0』なのかね」とか、ユーザーが「私も『Web2.0』を使いたいのですが、どこで入手できますか?」とか、「『Web2.0』にバージョンアップする方法を教えてください」とか……以上は、私の妄想だが、こんな事態も、まんざら笑い事ではないと思うのだ。

 これが「Web第2世代」という言葉だったら、もっと、穏やかな反応だったと思う。それだけ「Web2.0」という言葉のインパクトは強く。どこそこの会社が「Web2.0」を商標登録したとか、そのため、「Web2.0カンファレンス」という名称が問題となるとか、世の中「Web2.0」の狂想曲が流れている。

 そんな中、出版されたのが学研「500円でわかるグーグル」(6月30日発売)である。この本は、「SPA!」や「R25」などでも執筆している石井敏郎氏と私(金矢八十男)の共同執筆。私は、第3章を担当した。

 本書は、パソコン初心者が「Google」が提供するさまざまなサービスを使うためのガイドである。自分自身で「Google」のサービスを使いこなせる人には無用の本だ。だから「購入したけど、得るところは、何もなかった」的なコメントは、かんべんしてほしい。しかし、「グーグルマップ」のどこがスゴいのか、これまでの地図サービスと一緒じゃんと思っている人は、読んで見る価値はあるかも……です。「グーグルマップ」は、マウスでドラッグしてグリグリ動かせるところがスゴいんです。だって、これまでのWebでは、リロードして画面を書き換えていたのだから。

 そして「グーグルマップAPI」を公開することによって、さまざまな「マッシュアップ」サービスが登場してきている。このことが「Web2.0」という、なんだかわからない言葉への、かたちある、ひとつの答えだと思うんだよね。もちろん、これもひとつの事象、ひとつの側面から見た場合だが……。

 かつて「マルチメディア」という言葉が世の中を騒がしたことがあった。テキストや音声や画像などを統合的にデジタル情報として扱えるようになったことが、当時としては驚きだったのだ。扇情的な情報で、この新しいビジネスの流れに乗らないと取り残されるような不安感やら危機感で、あちこちの会社に「マルチメディア事業部」やら「マルチメディア推進部」などが作られた。

 「Web2.0」も都会のアスファルト道路にゆらめく蜃気楼「逃げ水」のようなもの。遠くにあったときは、ゆらゆらと見えていたのに、その地点に到達すると、あとかたもなく消えている。世の中に溶け込み、誰もがあたりまえのようになった時点で「Web2.0」なんて言葉は意味を失ってしまうだろう。

 本書を書いて、つくづく感じたのは、Googleが次々と繰り出す新しいサービスに出版というかたちで追いついていけないこと。原稿アップ後も「Google Toolbar」や「Google Earth」のバージョンアップに追われた。

 作る側としては、現時点での最新情報をできるだけ盛り込んだつもりだが、6ヶ月後には改訂版が必要になるだろう。ならば、なるべく旬のうちに召し上がってほしいというのが正直なところ。そして、私を含め、一部の「新しモノ好き」な人たちだけでなく、これまで「Google」に興味を持っていなかった多くの人たちに「Google」が提供するサービスの「便利さ」や「おもしろさ」を実感してほしい……と思う、今日この頃、みなさま、いかがお過ごしですか?(ブログのマネ^^;)。


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