算数・数学が得意になる本

 「数学落ちこぼれ」の私が、つい最近「算数・数学が得意になる本」(芳沢光雄・著)を読んだ。帯に「つまずいても大丈夫!」と書かれていたからだ。

 この本は、算数、数学の授業の中で、どこで「つまずき」やすいのか、「つまずく」原因を丹念にわかりやすく説明し、その「つまずき」を解消してくれる。

 また、おもしろい数学クイズ、数学にまつわるおもしろ話としても読むことができる。

おもしろ数学クイズの例──。

【問題】太郎君だけで行うと10日間かかり、花子さんだけで行うと15日間かかる仕事があります。この仕事を太郎君と花子さんの2人で行うと、何日間で終わりますか。

Sake_071  これは小学校の問題。ポイントは、仕事全体を1として、1日あたりの仕事の進み具合を「分数」で表すこと。分数の足し算でふたりの1日あたりの仕事量が「1/6」になるので「6日間」で仕事が終わることがわかる。

【問題】行きは時速30kmで走り、帰りは時速60kmで走る自動車があります。その自動車の往復の平均速度を求めなさい。

 ついつい、(30+60)÷2として、平均時速「45km」としてしまいがち。平均速度は、距離÷時間なので、たとえば、目的地までが60kmの場合なら……。

Sake_072 となるわけ。もちろん、目的地までの距離を変えても結果は同じ。

次におもしろ話の例──。

 割合を表す0.01を1%と書くことはよいとして、0.1を1割、0.01を1分、0.001を1厘で書くことに関して、注意しなくてはならないことがあります。それは「九分九厘成功する」というときは「99%成功する」という意味だからです。

 50数年生きてきて、指摘されるまで気がつかなかったよ。「九分九厘成功する」は、文字通りに受け止めれば「9割がた失敗する」ってことじゃないか!  芳沢光雄氏によると、江戸時代の算術の教科書『大全塵劫記』に小数の説明があって「分、厘、毛」と並んでいるが「割」はない。「割」はあとから割り込んできた概念なのだとか……。

Sake_073  ちなみに「エクセル」で小数を「○割○分○厘」と表示するには、このようにする。意外とどの「エクセル」本にも載っていないんだよね(野球の打率を計算するときぐらいしか、必要性がないせいかも;;)。

 というわけで、おもしろく読み進み、第3部、高校数学の「つまずき」に入ると、一度読んだくらいでは理解できなくなった。三角関数、順列、帰納法、ベクトル、行列……。「行列」と聞いても「行列のできるラーメン店」くらいしか思い浮かばないよー(オヤジ臭が;;)。そして、最後に控えしは「微分積分」。

 でも、芳沢光雄氏は「つまずいても大丈夫!」と励ましてくれる。あきらめずにがんばろう。

算数・数学が得意になる本
算数・数学が得意になる本

著者:芳沢 光雄
販売元:講談社