第5回:ケプラー予想

 「たけしのコマネチ大学数学科」の第5回のテーマは「ケプラー予想」だ。「ケプラー」と言えば「天体運動」が、まず頭に浮かぶが、今回の「ケプラー予想」とは「同一の大きさの球を箱に詰めるとき、一番効率的な詰め方は何か」というもの。いわゆるパッケージ(最密度充填)問題は、証明が難しいらしい。数百年もの間、数学者の頭を悩ませてきたという。

 竹内薫センセの解説によると「ケプラー予想」はヘールズという人がコンピュータを使い、1998年に証明したが、その検証には、やはりコンピュータを使い、2003年に「どうやら99%は正しい」ことが判明したが、いまだ余地が残されているらしい。これが「ケプラー原理」ではなく、「ケプラー予想」と言われる所以だとか。

Ex_12  さて、今回は「直径5cmの缶は、縦10cm、横502.5cmの枠に何本入る?」という問題。

 縦が10cmなので、2列にして並べれば200本入ることになる。しかし、どうやら「500cm」ではなく、「502.5cm」と中途半端なところがポイントらしい。

 そこで缶の並べ方のパターンを考えてみると、3本を三角形に並べ、それを上下反転しながら並べていく方法が見えてくる。この並べ方で「Xの長さ」が5cmよりも短ければ、それだけ密度が高く、効率的にパッケージすることができることになる。

Ex_13  まず、缶を3つ並べたときの中心を結ぶ赤い正三角形のを2等分した直角三角形の辺の長さは「2:1:√3」だから、赤い正三角形の高さは「5×√3÷2」になる。枠の縦は10cmなので「10-((5×√3÷2)+5)」が、枠との隙間、すなわち、青い三角形の高さになるわけだ。

 青い三角形の高さがわかれば、ピタゴラスの定理で、Xの長さを求めることができる。

Ex_14

(※クリックで拡大表示)

 「エクセル」で計算してみると、こんな感じだ。「5+2x」という6缶パックが502.5cmの枠には33個……ということは、33×6で198本入り、余りが10cm以上あるので、1.5×2で3本、つまり201本入るわけだ。

 ううむ、計算上は確かにそうだが、なんかだまされている気がする。本当に201本入るのか。「たけし軍団」と同じく体を張って「エクセル」のA列に1本づつ缶を並べていく(もちろん、オートフィルで連続入力)。ここでは、下段の缶だけを考えることにする。すると、100本入れた時点「=SUM(A1:A100)」で「497.025cm」、101本入れたとき「=SUM(A1:A101)」では「502.025cm」になった。上段の缶は、初めに2.5cmの隙間があるので、100本までしか入らない。美しい方法とは言えないが、これでやっと納得できた。

 私としては、正解を出した「軍団」にもトロフィーをあげたい気分。「たけし」は文句なく正解。女子東大生は、並べ方のパターンに気をとられ、時間切れの「ギブアップ」となった。第5回を終えた時点で「たけし」は2勝2敗1引き分け、女子東大生と並んだ。

“第5回:ケプラー予想” への2件の返信

  1. > 限られた大きさの箱ならば、実際にやってみれば
    > わかるが
    それは嘘です。
    無限空間の方が簡単かも。

  2. コメントありがとうございます。
    というわけで、以下の部分を削除させてもらいます。
    いわゆるパッケージ(最密度充填)問題は、
    > 限られた大きさの箱ならば、実際にやってみれば
    > わかるが、無限空間にとなると、
    証明が難しいらしい。

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