補習[1]:ルドルフ数(円周率)

 昨日の「たけしのコマネチ大学数学科」のテーマは「折り紙で最大の正六角形を作る」だったので、エクセルの出番はなかった。そこで、番組とは関係なく、正六角形に関連する問題を解いてみよう(ちょっと強引な展開だが……)。補習のテーマは「ルドルフ数」だ。

 古代ギリシャの数学者「アルキメデス」は円に内外接する正96角形を手計算し、少数以下2位までの精度で円周率を導き出した。中世ドイツの「ルドルフ・ファン・コレイン」は生涯をかけて円周率を70桁まで計算したが、正しい値は35桁までだった。ドイツでは、彼の功績を称え、円周率を「ルドルフ数」と呼んでいる。

 円周率を使った計算をするために「エクセル」には「PI」関数が組み込まれている。セルに「=PI()」と入力すれば、小数以下14位までの円周率の近似値を求めることができるが、過去の数学者と同じ手法を用いて「エクセル」で円周率を計算してみよう。計算と言っても、計算は「エクセル」が行ってくれるので、数式をオートフィルで連続入力するだけだ。

Ex_10  まず、直径1の円に内接する正六角形の辺の長さは、半径が「1/2」なので「6×1/2=3」になる。外接する正六角形の辺の長さは、ひとつの三角形の高さが「1/2」となり、「6×√3÷3=2√3」になる。つまり円周率は「SQRT(3)*2」より小さく、「3」よりも大きい。次に辺の数を倍にして、直径1の円に外接する正12角形の辺の長さは、セルを参照して「=(A3*B3*2)/(A3+B3)」、内接する正12角形の辺の長さは「=SQRT(A4*B3)」と入力する。

Ex_11 (※画面をクリックして、拡大表示してね)

 数式を入力したら、あとは簡単。「セルA4」と「セルB4」を範囲選択し、オートフィルで適当な行まで連続入力すればいい。「エクセル」の計算精度の限界はあるが、例では、22行まで入力すると、円周率の小数点以下10位まで正しい値に収束させることができた。

 円周率にまつわる話は多くあり、また、円周率を導き出す式もたくさんある。興味のある方は「円周率ものがたり」や、「πの部屋!」を訪れてみよう。

 2002年、東京大学「金田研究室」が HITACHI SR8000 を用いて「高野喜久雄」の公式と分割有理数化法により 1兆2411億桁まで計算した。

【訃報:2006年5月1日】
 高野喜久雄氏は、詩人として高名な方だが、数学の分野でも、逆三角関数(arctan)を利用した円周率の公式を80年代に発表し、これが円周率計算の世界記録樹立につながった。訃報に接し、心よりご冥福をお祈りいたします。