第3回:モーペルテュイの原理

 先週は特番のため、1回お休みとなった木曜深夜の数学バラエティ「たけしのコマネチ大学数学科」。今回のテーマは「モーペルテュイの原理」。私もぜんぜん聞いたことがなく、なにやら難しそうだが、竹内薫センセの解説によると、これは「最小作用の原理」とも言い、要は「自然はムダがなく最小の作用で働く運動を選ぶ」ということらしい。

 そこで、今回の問題はビリヤード。「XY座標(3,3)にある球を3クッションして右下のポケット(座標12,0)に最短距離で入れるためには、どこを狙えばよいのか」という問題。

Ex_05  右下のポケットに球が入るには、3クッション目が上辺か左辺に当たることになる。番組内でも解説されているので、詳しい説明を省くが、3クッションで右下のポケットに球が入るコースは、3つある。しかし、最短距離ということを考えると、ビリヤード台の短辺でクッションする方法は、除外していいだろう(当然、軌跡が長くなるので……)。

 そうなると、おのずと、コースは見えてくる。問題は、どのポイントを狙うかだ。番組内では、触れられていなかったが、球の大きさは、この際、考慮しない。球に回転をつけて入射角と反射角を変化させるなどという小細工もなしだ。

 で、このブログの趣旨は、問題を「エクセル」で解くことを主眼にしているので、番組とは、違ったアプローチをしてみたいと思う。

 入射角=反射角なので、グラフ上での傾き(係数)は一定だ。もちろん、反射により、その正負は反転するが……。となると、最初に狙うポイント(第1クッション)を定めたら、第2、第3クッションのX座標は、簡単に求めることができる。

Ex_06_1  たとえば、最初にXY座標(4,6)に狙いを定めた場合、Xの増分は1、第2クッションまでは、その倍の距離を進むので、X座標は6となる。第3クッションも増分は2で8、そして、最終的に右下の座標は10になり、ポケットには球が入らないことになる。

 ちなみに、第2クッションのX座標は「=(B3-B2)*2+B3」、第3クッションのX座標は「=B4+B4-B3」、最終値は「=B5+B4-B3」の数式が入る。掛け算と足し算、引き算しか使っていない。

 そして、ここからが「エクセル」の真髄。最終値のX座標(セルB6)を選択した状態で、「ツール」メニューの「ゴールシーク」をクリック。「ゴールシーク」とは、数式を逆算して、結果から元の値を収束させる機能だ。目標値を右下のポケット(X座標「12」)と入力し、変化させるセルには、第1クッションのX座標である「B3」を指定し、「OK」ボタンをクリックする。

Ex_07_1  最初に狙う場所は「X:4.285714、Y:6」という結果になった。

 番組では「たけし軍団」はいつものように体を張り「ゴムぱっちん」で最短時間になるような、それぞれのクッション位置を求めたが、ゴムは長く伸ばせば、それだけ縮む速度も速い。ビリヤードの球は転がり抵抗や、反射するときのエネルギーロスを考慮しなければ、等速運動なので、違った結果となる。「たけし」は、最短距離=直線に目をつけ、立体的なグラフを展開する手法で、ほぼ正解。現役の女子東大生は、三角形の相似を用い、XY座標軸「30/7,6」を導き出した。というわけで、今回の勝負は、引き分け。

 「たけしのコマネチ大学数学科」は、30分番組なのだが、今回は竹内薫センセの解説部分が編集されていて、すべてを聴くことができなかったのが残念……。

“第3回:モーペルテュイの原理” への2件の返信

  1. TB、ありがとうございます!
    それにしても、こんなふうにエクセルで解けるなんて、ちょっと驚きです。
    数学って、いろいろな楽しみ方(解き方)があるんですね。
    今後ともよろしくお願い申し上げます。

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